電子書籍での読書は如何?(kindle paperwhite)

電子書籍での読書は如何?(kindle paperwhite)

溜まりに溜まった本の山もようやく平常レベル(要は数冊読み残しがある状態…)、年末に買ったまま殆ど仕事用のPDFビューアーと成り果てていた電子書籍でちょこちょこと書籍を読み始める。

kindle paperwhiteと紙の本

現在使っている電子書籍端末はkindle paperwhite。実は電子書籍を買ったのは初めてだったりします。

これまでも色々な電子書籍端末が出ていましたし、思わず買いそうになった端末はそれこそ枚挙に厭わないのですが、どうしても「もう一歩」足りない点があったのも事実なので毎回理性が打ち勝っている状況でした。が、今回のkindle paperwhite、端末としては「ほとんど完璧」に達したのではないでしょうか。

  • 適切な端末サイズ(文庫本から新書本くらいのサイズ感)
  • 書籍と変わらない重量(本音はもう少し軽いと嬉しいが)
  • 必要充分な表示エリア、表示密度(ここに至るまでが遠かった)
  • 非常に読みやすい表示になったEinkの表示系(これも遠かったですね)
  • Eink故の圧倒的なバッテリーの持ち(月に一回の充電でも実用的)
  • 一応付いている3G/Wifiにより、何時でも書籍が入手可能(おまけで何時でもwikiが使える)

これまで多くの電子書籍が無し得なかった「使える使いやすさ」が必要充分に揃っています。

kindle paperwhite 縦表示

日中の日差しや手元のスタンドの光があれば、フロントライトなしで十分に読書が楽しめます。

kindle paperwhite 横表示

縦書き文章を好む日本人的にはこのフォーマットが最も馴染めるのではないでしょうか。

丁度、左側のスペースを左手で掴んでいると、文庫本の左のページを掴んで片手で読むスタイルと同じ感覚で読むことが出来ます。見開きで読めるので紙の左右ページを押さえながら読むより快適に読めます。

kindle paperwhite文字表示

最も拘ったといわれている文字表示についても、この通りでジャギー等はほとんど気にならないレベルです(一見しては判りません。この画像では縦表示で文章の左半分くらいを表示している倍率です)

kindle paperwhite フロントライト点灯

そして、紙の書籍と最も異なる点は、このようにフロントライトが使えることではないでしょうか。

発売当初は画面の外周部に影が出るとのクレームが騒がれましたが(原理的には仕方がない事なのです)、実際に見た場合、視認性に取り立てて問題はなく、大騒ぎするようなことではないと思います。

電子書籍端末としての使いやすさ、利便性という意味では文句なしのkindle paperwhiteですが、電子書籍全般で見た場合、弱点が解消したわけではないようです。

1.根本的にコンテンツが限られている

電子書籍が出て来た時からの永遠の課題だと思いますが、依然として読みたいと思っている書籍の電子版はほとんど出てきませんね。

「最後の大物」などと呼ばれて登場したkindleですが、この数か月の状況を見ていると、他の電子書籍(いや、電子出版全体と言った方が良いでしょうか)同様に「コミックリーダー」と化していることを、amazon自身が認めています。

kobuを手に入れて日本の電子書籍市場に乱入?をかけてきた楽天が明快に述べているように「日本の電子書籍市場はコミック品揃えの優劣が決する」というのは「Bookoff」の店舗展開とそのビジネスモデルを見れば言わずもがなですよね。そのような意味では、どんな綺麗な表示ができる電子書籍端末が登場しても、欲しいコンテンツが「簡単に」選べるようになるインフラが揃わなければ、恒常的に利益を生み出すビジネスにはなりえないという事になります。

従って、一般書籍を電子書籍で読みたいと思っている方々はこの流れからちょっと蚊帳の外に置かれてしまったのかな?という感覚がここ最近の印象です。

最も、読みたいと思っているコンテンツ(新書版の叢書ですね)はなかなか電子化されにくいと睨んでいたので、あまり気にしないようにしていた(単なるPDFビュアーでもいいやと割り切っていた)ところ、「新潮選書」の電子化が始まりましたので、徐々に変化していくものと思われます(今回使用した画像はその中から「律に学ぶ生き方の智慧(佐々木 閑)」です)。

2.電子書籍は何時までも「蔵書」にはなってくれない

電子書籍の著作権は非常に不思議で、購入した電子書籍の所有権は認められていません。購入者に認められているのは「購入先との契約に基づく期間内において、閲覧をする権利」です。

すなわち、電子書籍とは「有償の図書館」で本を借りているようなもので、借りている限り、その本自体が自分の物になるわけではなく、いずれは返却しなければならないという法の認識に基づいています。

もちろん、一般的な電子書籍は購入先が何からの形で消滅しない限り永続的に読み続けることが可能ですが、例えば購入先が倒産して、電子書籍のデータがサーバーから削除される、もしくは暗号化された電子書籍の解除キーが無効となっても所有権の救済を求める手段はないという事になります。

逆に「閲覧物」故に、閲覧回数を絞ったり、閲覧期間を限定することで、これまで書籍では困難だった「興業的」な手法が取れるようになる点は出版社側にとっては大きなメリットになるのだと思います。

実際に、書籍に非常に近いけれと取扱い方法が全く異なる「書画」の場合、複製は幾等でも入手可能ですが、本物は収蔵先で閲覧しなければ見ることが出来ないのと同じ事ですよね。

メディアコンテンツにおいて、殆どの場合マスターと配布物には何らかの差別的な処置(例えば映画においても上映版と家庭用のDVD/BDでは決定的に鑑賞する環境、品位が異なります)が施されますが、書籍だけはそれ自身がマスターとの差異が小さいため(手書きの原稿と異なるという意見はちょっと外しますが)配布物自体が、一次製品と言って殆ど差支えありません。

このように一次製品としての書籍に二次的な付加価値を乗せることも、あるいは何らかの形でディスカウントすることも難しいという弱点を、電子書籍では閲覧方法を制御するという手法で補うことが出来ます。

このあたりの感覚が許せるかどうかは、「愛蔵書」をコレクションする方にとっては絶対に譲れない点でしょうし、新刊コミックを一度読んだらすぐに中古書籍店に売りに行くようなスタイルの方であれば、全くOKと思うことだと思います。

書籍自体には「読む」という行為と「集める」という行為の両方が含まれているので、このバランスはなかなかに難しい所かとは思いますが、最近の書籍装丁がそれこそ凝りに凝りまくってきたのは、書店で目立つ必要があるのと同時にこのような「コレクション性」も求められてくるからかもしれませんね。

3.「回遊性」の違い

本屋さん巡りが好きな方にはこれ以上の説明は不要かと思いますが、本屋さんの存在意義として「探し出す」楽しさが常にあると考えています。

これだけ検索サービスが巨大化したのも「探す」欲求が如何に大きいかの現れかと思いますが、電子書籍にしても紙の本にしても、購入する最初の一歩は「探す」ことから始まります。

電子書籍や紙の本でも狙った本だけを買うのであれば、それこそamazonのようなサービスは快適ですし、電子書籍とwebの世界に拡散している情報を結びつけて購入することは非常に容易に実現でき、かつ、入手までの手間が最小になるメリットを享受できます。

webの世界で情報を探し出すのと同じように、本屋さんに並ぶ「本の波、蔵書の密林」を漂いながらお気に入りの一冊を求めていくのも「探す」という行為自体は変わりません。

ただし、決定的な違いとして、電子書籍は平面画面中で連続的に探し出していくのに対して、紙の書籍を探す場合、本屋さんという空間内で彷徨いながら立体的に探し出していくという事です。

電子書籍は確かに「閲覧」の部分だけ取り出せば、既に紙の書籍を追い抜いたと思います。それでも紙の書籍に拘ってしまいたいと思わせるのはこの「探している空間」を楽しみたいからではないでしょうか。

将来的にはVRによって仮想書店すら実現すると思いますが、今は本屋さんに並ぶ背表紙を指で追いながら「自分の一冊」を探し求める事が楽しいのだと思います。

そんな事も考えながら、頁をめくる代わりに黙々と画面をスワイプする自分がいたりします。

広告