今月の読本「マルハニチロおかさなポスター縮刷版」おいしく食べてよ、人間君。

最初に見た時から、何時か本にしてほしいと思っていた「マルハニチロおさかなポスター」。

イラストレーターの鈴木勝久氏によるテーマ毎に纏められた精緻な魚のイラストと詳細な解説がB1版というビックサイズのポスターの中にぎっしりと描かれているのを見た瞬間、これだ!と思ったものです。

残念ながらその巨大なサイズ故に自宅にコレクションするにものんびり鑑賞するにもちょっともてあそんでしまうため、是非書籍化して欲しくてアンケートまで書いたものです(厚かましくてスミマセン)。

そんな我儘な魚食民を憐れんでか、昨年からはクリアファイルに手提げ紙袋、年末にはポストカードカレンダーとあと一歩で書籍かな…と期待を持っていましたら、遂に待望の書籍化なのです!

マルハニチロおさかなワールド1

表紙はこんな変哲もない、どこかの企業案内みたいに見えますし、価格は非情にも1000円(送料別)もするのです。でも、そんな非情さもページをめくれば吹っ飛んでしまいます。

マルハニチロおさかなワールド3

じっくり眺めたかった「おさかなポスター」そのもの、美しいイラストの縮刷版が左ページに、そして右ページには各ポスターに関するライナーノーツと掲載魚種の分類表記が。

ポスター中の解説文も活字化して欲しかったのですが、残念ながら目を凝らして縮刷から読み取るしかありません。せっかく魚種の簡単な解説や調理法、旬などが書かれているのですが、縮刷のため極めて読みにくいのが残念。

掲載されているポスターは全部で18種類です。

魚種シリーズ

鰹・鮪 / 鯛 / 鮭・鱒 / 海老 / 蟹 / 鱈 / 烏賊 / 平目・鰈 / 貝

マルハニチロおさかなワールド2

マルハニチロと言えば「あけぼの鮭缶」ですよね。鮭鱒類への愛着がコメントにも溢れています。

マルハニチロおさかなワールド4

マルハニチロのもう一つの名アイテムと言えば「魚肉ソーセージ」そして、練り物と言えば鱈ですよね。北方に縁深い企業ゆえに、解説も豊富です。

市場扱い種類シリーズ

青物 / 赤物

マルハニチロおさかなワールド3

市場で扱われる名称ごとに纏められたシリーズ。やっぱり魚と言ったら庶民派の「青物」が一番ポピュラーですよね。縞鯵をトップにして片口鰯まで盛りだくさんです。基本的にすべての魚に対して漢字が当てられているのもいいですよね。

生息域シリーズ

北方物 / 南方物 / 以西物 / 淡水魚 / 黒潮 / 江戸前/ 養殖物

こちらは、生息域別に纏められていますが、前述と少々ダブっていたり、魚種ではない(昆布や海苔)ものの掲載されていますが、これはこれで良いかと思います。

また輸入魚類に対しても等しく取り扱っているのは流石です。世界中にバイヤーを展開させ、新たな食用魚種を開拓し続けている国際的な水産物商社としての一面を見せてくれています。

ちょっと悲しかったのは、判ってはいるのですが「江戸前」のポスターに「青鱚」が掲載されている点でしょうか。もちろん過去の話であることは解説に載せられているのですが…。

そんな教育的な面も有するおさかなポスター縮刷版、最後のページの折込にはお約束、水産会社ですから漁法紹介のページがちゃんとついています。

マルハニチロおさかなワールド5

マグロはえ縄漁船のファンネルマークを見ると、ちゃーんとマルハのマークが入っていますし、サケ・マス流し網の母船のシップカラーはもちろんニチロをイメージしているようですね。

こうして大量に水揚げされる魚達も、すべてが人間の胃袋に入るわけでも、飼料として用いられる訳でもなく、混獲や鮮度落ちのため捨てられてしまう魚達もたくさんいるのです。

そんな中でも魚を獲り続け、消費者に届けることを生業とする水産会社から消費者へのほんのささやかなメッセージが表紙に書かれている「おいしく食べてよ、人間くん」なのでしょうか。

美しいイラストを眺めながら、今度魚を食べるときにはもう少し色々とイメージを沸かせながら食べようかな…と新たな想い、知的好奇心を沸かせてくれる一冊です。

おさかなファンであれば必携、博物学的資料としても良し、食材等として興味がある方にもお勧めの一冊です(お高いですが)。

購入方法は、こちらのマルハニチロのネット通販「マルハニチロの海のあじわい便」よりどうぞ。

<おまけ>

おさかな好きの方にお勧めの本を少々。

  • おさかな料理の方面にご興味があるなら、こちらの本はご存じですよね。「ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑」を主宰されている藤原昌高氏の代表作のひとつ「からだにおいしい魚の便利帳」です。こちらは説明不要でしょうか。ぼうずこんにゃくのホームページをご覧になった後で、このホームページの書籍版が欲しいな、と思ったら購入されて正解です
  • 釣り方面で魚が好きな方には、週刊釣りサンデー元代表で魚類研究家でもある小西英人氏が釣魚を主体に魚たちと人間の物語を描く「遊遊さかな辞典」がお勧めです。こちらはライトな筆致とは裏腹に重たい内容で埋め尽くされている一冊。釣り人のつぶやきから研究者とのコラボレーションが生み出した意外な結論まで、釣りに関わる方なら誰しも一度は疑問に持ったり、考えたりする「想い」がずっしりと溢れています

からだにおいしい魚の便利帳と遊遊さかな辞典

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