霧ヶ峰・野焼きの跡

先月、霧ヶ峰で野焼きの炎が周囲に広がってしまい山火事となってしまったニュースが流れていました。

ここ最近、霧ヶ峰はご無沙汰だったのですが、ちょっと様子を見に行ってきました。

野焼き俯瞰池のくるみの野焼き予定場所(実際の予定範囲が見つけられなかったので、報道等のデータより確認)より南東側を俯瞰で【クリックでフルサイズ】添付MapのA1地点より。

手前側の野焼きを行った部分はすっかり緑が広がってきています。

野焼きの境界線と躑躅6/16に再度撮影【クリックでフルサイズ】A2地点より同じく南東側方向。

枯草が全くなく、侵入植物の群落が形成されている野焼きの後の部分と、枯草が広がる野焼きの火が入らなかった部分が見事にコントラストを造っています。

非常に残念な事に、野焼きが広がった場所では殆ど躑躅の木が焼かれてしまったことです。枯草が残っている部分にはオレンジ色の躑躅の群落が見えていますが、新緑が広がる部分には殆ど見えません。

こちらにある『霧ヶ峰再生のための基本計画』35ページには以下のような記載があります。

—引用ここから—

レンゲツツジは、霧ヶ峰の草原の構成種であり、観光資源でもあるが、森林化を促進する要素であり、また、レンゲツツジが密集しすぎると、他の高原植物の生育が妨げられる状況が見られる。そこで、レンゲツツジは、区域を限って残し、保全管理していくこととした。

—引用ここまで—

すなわち、レンゲツツジは観光資源としてのみ人為的に残すと定義されており、38ページの植生図を見ると、霧ヶ峰インターから霧ヶ峰ロイヤルインまでのビーナスライン沿いの斜面と霧ヶ峰インター前の園地、ガボッチョの北側斜面付近だけを保全個所と想定しています。

今回撮影した池のくるみ斜面や富士見平駐車場と伊那丸富士見台の間にあるレンゲツツジの群落は草原として維持すべき場所(つまり野焼きを行い、草原に遷移させる)として定義されています。

7月の霧ヶ峰37/14に撮影した同場所の風景です。

野焼きの火が入らなかった場所と入った場所の違いは殆ど判りません(僅かに枯草が伸びている場所が火が入らなかった場所です)。

このように比較してしまうと果たして、野焼きの効果とは何だったのでしょうか。

今の池のくるみアップアップで湿原内の池を。まだ周囲には焦げた木々の匂いが漂っています【クリックでフルサイズ】A1地点より南側方向。

部分的に緑の新芽が映えている領域が湿原まで入っているようです。

以前の池のくるみアップ比較として2010年6月6日に撮影した、ほぼ同じカットを【クリックでフルサイズ】A1地点より南側方向。

ご覧の通り、湿原の斜面は枯草と灌木で覆われておりましたが、今回の野焼きで草原状態となったのが判るでしょうか。

池のくるみ中心部と新緑こちらが6/16撮影の湿原の中心部です【クリックでフルサイズ】A2地点より南側方向。

池の手前斜面側(霧ヶ峰側)は完全に野焼きで焼き払われてしまったことが判ります。

辛うじて池の反対斜面側(茅野方面)の延焼は食い止められたようです。

7月の霧ヶ峰2こちらも7/14時点の状態です。

池の茅野側はやはり枯草が残っており、火が入っていない事が判ります。しかしながら所々緑が見えていますので、火入れをしなくてもある程度は遷移が継続していることが判ります。

実際の植生に対する影響は、霧ヶ峰自然環境保全協議会が専門家チームを組織して調査を続けることになるかと思いますが、火入れの効果については何を以て是とするか、ちょっと考えてみた方が良いのかなと思っています(霧ヶ峰はそれこそ鎌倉時代以前から所詮は半人工環境なのですから)。

野焼き延焼範囲の境界線一方、こちらは延焼が最も東に広がった富士見台の駐車場(先ほどの地点から直線距離で約2km)から東側を見ています【クリックでフルサイズ】B地点より東側(矢印)方向。

丁度延焼が食い止められた部分を境にして、新緑が広がる部分と、枯草が広がる部分が綺麗に分かれています(正面手前の稜線上で食い止められました、奥の鞍部は落葉松が新緑のまま残っており、延焼していない事が判ります)。

野焼きの境界線すっかり緑に彩られた6/16の同位置より撮影【クリックでフルサイズ】B地点より東側(矢印)方向。

こちらも所々に侵入植物の群落が出来ているのが判ります。

伊奈丸富士見台の躑躅群落写真の場所を丁度裏手の伊那丸富士見平から眺めた写真(ここだけはBlackberry9790にて)。

延焼が食い止められたおかげで、山を覆う躑躅の大群落が観られます。

富士見台から伊那丸富士見台の躑躅群落同じく、富士見台駐車場側からビーナスライン越しに伊那丸富士見台方向を。

野焼きの火が入っていない状態の場所はこのように灌木と躑躅が広がっています。

野焼き跡に広がるゼンマイ駐車場から下に降りたところです。B地点より南側方向。

駐車場の目と鼻の先まで焼け跡が広がっています(一時、駐車場にある売店にも避難の指示が出たそうですが、無事で何よりでした)。

焼け跡には早くも大量のゼンマイが芽を吹いています【クリックでフルサイズ】。

このように、野焼きの後には植生交代が進んでいくようですね(この場所はもちろん想定外だった筈ですが)。

富士見台からガボッチョを最後に焼け跡から南方向に見える、すっかり焼けてしまったガボッチョを正面に望んで【クリックでフルサイズ】。B地点より南側方向。

富士見台展望台からガボッチョ6/16撮影のほぼ同アングルを【クリックでフルサイズ】。B地点より南側方向。

大変残念ながら、躑躅の群落は駐車場の手前のほんの僅かな部分を残して消失してしまいました。既に侵入植物による新しい植生が育ち始めています。

焼けて丸坊主だった前方のガボッチョも新たな緑に覆われています。前述のようにガボッチョの北斜面はレンゲツツジを保全管理すべき地区と設定されていましたが、今回の野焼きによってすべて焼き払われてしまったようです(花芽が残っているので大丈夫だとの意見もあるようですが、少なくとも今年は駄目でした)。

今後、何年もかけて再び灌木と枯野が広がる風景に戻っていくのでしょうか。

撮影指示図第20回霧ヶ峰自然環境保全協議会議事録報告事項、平成25年度霧ヶ峰高原草原再生火入れ事業・外来植物駆除事業について、資料9-1実施要項及び資料9-2記載の霧ヶ峰高原再生事業、火入れ実施図より確認の今回の火入れ予定箇所(緑枠)と撮影場所指示図。

これまでの火入れ箇所はいずれもビーナスライン霧ヶ峰インター付近の比較的平坦な草原地帯に集中していたが(上記資料参照)、今回初めて湿原間際の傾斜地で火入れを実施。強風の影響もあり結果的に大規模な延焼に繋がってしまった。

A地点からB地点までの直線距離はおよそ2km。ビーナスラインを車で移動すると5分ほど。

本事業に関する詳細については霧ヶ峰みらい協議会の公式ホームページに詳細が記載されている(今回の野焼きについての報告はまだ上がっていない)。

なお、上記ホームページにおいて、霧ケ峰自然保全再生実施計画についての意見募集を行っています。7/10から8/9迄とかなり期間が短いのですが、ご意見がある方は是非応募されてみては如何でしょうか(メール可ですし、計画案の全体がWeb上で公開されています)。

霧ヶ峰インター前の躑躅平成19年に野焼きを行った霧ヶ峰インター前の現在の風景(南方向、グライダー滑走路を望む)。

レンゲツツジの群落と侵入植物が混合している状態。ススキや灌木は殆どありません。

【更新履歴】

2013年5月27日:初回掲載

2013年6月17日:追加撮影

2013年6月22日:野焼き予定場所及び撮影場所指示図を追加。写真追加。記述一部変更

2013年6月23日:霧ヶ峰インター前の写真を追加

2013年7月14日:現状写真を更新

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