諏訪湖の花火もあと一週間(連夜のサマーナイトファイヤーフェスティバルへようこそ)

New!(2017.6.19):2017年度の開催概要が発表されました。

  • 2017年度の「サマーナイトファイヤーフェスティバル」は7月23日(日)から8月27日(日)までの開催です(8月15日は除く)
  • 7/17(月・祝日)は上諏訪温泉宿泊感謝イベント「湯ったり湖花日和」。当日は3000発の花火が20時より40分間に渡って打ち上げられる予定です
  • 8月15日は湖上花火大会
  • 9月2日(土)はサマーシーズンを締めくくる新作花火大会

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詳しくは上記リンクの先にある公式サイトをご覧ください。

New!(2016.6.9):2016年度の開催概要が発表されました。

  • 2016年度の「サマーナイトファイヤーフェスティバル」は7月24日(日)から8月31日(水)までの開催です(8月15日は除く)
  • 7/18(月・祝日)に上諏訪温泉宿泊感謝イベント「湯ったり湖花日和」が新たに開催される事になりました。当日は3000発の花火が20時より40分間に渡って打ち上げられる予定です
  • 8月15日は湖上花火大会
  • 9月3日(土)が新作花火大会
  • 9月最初の日曜日に実施されていた「サマーナイトファイヤーフェスティバルフィナーレ」本年は実施されません!くれぐれもご注意ください

 

New!(2015.7.12):2015年度の開催概要が発表されました。

  • 2015年度の「サマーナイトファイヤーフェスティバル」は7月26日(日)から8月31日(月)までの開催です(8月15日は除く)
  • 8月15日は湖上花火大会
  • 9月5日(土)が新作花火大会
  • 9月6日(日)がラストの「サマーナイトファイヤーフェスティバルフィナーレ」です

詳細は、下のリンクから公式サイト「信州 諏訪湖の花火」のページにジャンプしてください。

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今年も夏の夕涼みは、連日諏訪湖の花火が楽しめそうですね。

2014年度の開催ご案内

  • 2014年度の「サマーナイトファイヤーフェスティバル」は7月27日(日)から8月31日(日)までの開催です(8月15日は除く)
  • 8月15日は湖上花火大会
  • 9月6日が新作花火大会
  • 9月7日がラストの「サマーナイトファイヤーフェスティバルフィナーレ」です

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詳しくはこちらの公式サイトへどうぞ。

毎年8月から9月の第一週まで諏訪湖は連日の花火日和。「サマーナイトファイヤーフェスティバル」です。

諏訪湖の花火と言えば、8/15に開催され、毎年50万人以上(諏訪地方の人口が26万人と言われていますから実に2倍…)の観客を動員する国内最大級の花火大会でもある「諏訪湖祭湖上花火大会」と、9月最初の土曜日に開催され、30万人以上の観客を集める、経済産業大臣賞が懸けられ、国内花火師の競技大会でも最高峰の「全国新作花火競技大会」が余りにも有名ですが。実はもう二つの花火大会が催されるのです。

そのうちの一つが、連日午後8時30分から開催される「サマーナイトファイヤーフェスティバル」です。

諏訪湖の2つの花火大会が余りにも有名になってしまい、一般販売のチケットはそれこそプレミアもの、各宿泊施設が確保している桟敷席のチケットも、花火大会翌日にお帰りになるお客様が来年度の予約を入れて行かれるために1年前からほぼ満杯になるそうです。

また、当日は周囲も身動きどころか立錐の余地もないくらいの大混雑となるため、湖畔に住居をお持ちの方でない限りはゆっくり花火を愛でるなどという事は全く期待できない状況になってしまっています。

そのような状況を鑑みた観光関係の皆様が逆転の発想で「夏の間は毎日花火大会にしてしまえば好きな時に花火を楽しめる」と、大盤振る舞いでここ数年は連日の打ち上げとなったのでした。

始めのうちはコスト面や集客面で不安があったようですが、今では「何時泊まっても諏訪湖の花火が楽しめる」と宿泊客にも大好評。観光関係でも花火の打ち上げ時間に合わせた屋外イベントを設定することで、集客力アップとシーズン中の施設稼働率の分散化に寄与しているようで大成功のようです。

もちろん、地元民にとっても時間が取れるタイミングで気軽に花火が楽しめるのは大歓迎。打ち上げ時間前になると諏訪湖周辺の思い思いの場所で楽しんでいらっしゃるようです。

こちらの花火は8時30分から15分間と短いのですが、打ち上げ数は800発と高密度、しかも打ち上げ場所である初島の目の前でもぱっちり観覧可能ですので、二つの花火大会ではプレミアムチケットを確保しなければ味わえない、諏訪湖の花火特有の湖面に映り込む光と周囲の山々から反響して腹の底から響いてくる花火の音を「無料」で存分に味わうことが出来ます(連日開催なので、花火写真の撮影練習にも良いかもしれませんね)。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERAそして、「全国新作花火競技大会」が終わった翌日の日曜日。観光客も少なくちょっと涼しくなった初秋の諏訪湖の夜にもう一つの花火大会が催されます。

サマーナイトファイヤーフェスティバル」の最後を彩るフィナーレです。

こちらは2つの花火大会と比べると規模は小さめなのですが、何と言っても全面無料、観覧場所指定なしです。日曜日の夜という事で観光客の方にはハードルが高いのですが、地元の方は大挙して集結。大会の時は規制が厳しいので自由が効かないのですが、この日ばかりは無礼講。家族やお友達同士で宴会を開いたり、バーベキューをしたりと、地元の皆様だけのお楽しみイベントとなっています(そのかわり路駐が一杯で通行は大変ですが)。

規模は小さめと書きましたが、実は「諏訪湖の花火としては」という枕を付けなければなりません。実際は大規模な花火大会と同じスケールだったりするのです。

  • 諏訪湖祭湖上花火大会 : 時間2時間。打ち上げ数、36セット約4万発(38000発位)
  • 全国新作花火競技大会 : 時間1時間30分。打ち上げ数、1万8000発
  • 岡谷とうろう流し花火大会 : 打ち上げ数、2000発
  • 諏訪湖サマーナイトファイヤーフェスティバル : 時間15分。打ち上げ数、800発(連日)
  • 市川三郷町神明の花火大会 : 時間1時間45分。打ち上げ数、2万発
  • 長岡まつり花火大会 : 時間1時間45分。打ち上げ数、2万発
  • 隅田川花火大会 : 時間1時間25分。打ち上げ数、2万2500発
  • 諏訪湖サマーナイトファイヤーフェスティバルファイナル : 時間50分。打ち上げ数、12000発(昨年)

時間当たりの打ち上げ数では全国でも著名な花火大会に全く引けを取らないばかりか、50分間と短いので間延びせずに濃密に楽しむことが出来ます。

諏訪湖の2大花火大会は大混雑なのでちょっと…と思われる方も、同じボリュームを身近に楽しむことが出来る諏訪湖サマーナイトファイヤーフェスティバルとファイナル。あと残り一週間となりましたが、暑い、暑い今年の夏の想い出に是非如何でしょうか。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERAいずれの写真も今年のサマーナイトファイヤーフェスティバルで撮影。【クリックでフルサイズ】

  • Olympus E-420(ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-F3.5)
  • 14mm(換算28mm)F8.0/4sec
  • ISO:100、ホワイトバランス:昼光、カラー:vivid、階調:normal
  • コントラスト、シャープネス、ノイズリダクションはRAW現像時補正

直下だと28mmでも画面サイズが足りませんね(笑)

suwako-hanabi公式サイト「諏訪湖の花火」へのリンクはこちら

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八ヶ岳南麓に秋の訪れを伝える(富士見町の蕎麦畑)

あれほど猛暑、猛暑と騒がれたお盆休みから僅かに1週間後、八ヶ岳南麓は嘘のように涼しい週末を迎えました。

久しぶりに本格的な降雨となった金曜日から続く、どんより、ひんやりとしたお天気は、残暑を越えて一気に秋の空気を運んでくれます。

そんな秋の空気と共に南麓にやってくるものがあります。

霧に沈む蕎麦の花1畑を埋める蕎麦の花たち。霧の向こうには甲斐駒が見えるはずなのですが、残念ながら今日は見ることが出来ません。【クリックでフルサイズ】

OLYMPUS DIGITAL CAMERA雨に濡れる小さな蕎麦の花たち。一輪一輪はとても小さなものです【トリミング済み・クリックでフルサイズ】

OLYMPUS DIGITAL CAMERA霧に沈む一面の蕎麦畑。天気が良い日には森の向こうに八ヶ岳の嫋やかな裾野が広がります【クリックでフルサイズ】

8月の終わりから9月の初めにかけて、八ヶ岳南麓のそこかしこには、平地より早く、少しずつ重みを増して頭を垂れていく稲穂の群れと、小さな白い花をつけた蕎麦畑の美しい風景が広がります。

稲穂がしっかり黄金色の穂を実らせるより、ほんのちょっと早く、9月の中旬までには蕎麦畑の刈り入れは終わります。

そして、9月の終わりには皆様待ちに待った新蕎麦のシーズン。信州の其処かしこで新蕎麦祭りが開かれる頃になると、田圃にたわわに実った稲穂たちも刈り入れのシーズンとなります。

快晴の蕎麦畑2快晴の朝の空の下で再トライです。バックは甲斐駒です(2013.8.29)【クリックでフルサイズ】

快晴の蕎麦畑3甲斐駒をバックにもう一枚(2013.8.29)【クリックでフルサイズ】

快晴の蕎麦畑4天気さえよければ、八ヶ岳と蕎麦畑というコンビネーションも(2013.8.29)【クリックでフルサイズ】

快晴の蕎麦畑2最後に、小さく可愛い蕎麦の花を(2013.8.29)【トリミング済み・クリックでフルサイズ】

蕎麦畑と雲雲間に僅かに覗く青空の元、広がる蕎麦畑。シーズンも終盤(2013.9.8)【クリックでフルサイズ】

<おまけ>

  • 9月の終わりになると、富士見町でも蕎麦祭りが催されます。今年の日程はまだ公開されていませんが、昨年の様子などはこちらの「そば処 おっこと亭」のページでどうぞ
  • 今日の写真は霧の中でしたが、お天気さえよければ、こんな美しい蕎麦畑のシーンも楽しめます。
今月の読本「浪漫あふれる信州の洋館」(文:北原広子 写真:大澤敬子 他 信濃毎日新聞社)その宿されたストーリーに想いを馳せて

今月の読本「浪漫あふれる信州の洋館」(文:北原広子 写真:大澤敬子 他 信濃毎日新聞社)その宿されたストーリーに想いを馳せて

ちょっと前にご紹介した「国史大辞典を予約した人々」のページでもご紹介しましたが、素敵な一冊なので改めてご紹介です。

長野ローカル出版の雄であり、以前も「信州観光パノラマ絵図」でご紹介しました信濃毎日新聞社より最近刊行された写真集「浪漫あふれる信州の洋館」(文:北原広子、写真:大澤敬子、佐々木信一、田北圭一、山本忠男)です。

浪漫あふれる信州の洋館1基本的には長野県内に所在する、明治、大正、昭和初期までの所謂「洋館」風の建築物を紹介する写真集andショートストーリーですが、上田の旧常田館製糸場のような和風養蚕繭蔵や安曇野の碌山美術館のように落成が昭和33年と戦後にかかっている建築物もあります。

また、紹介されている建築物の一部は、各地から長野に移築された物も入っており、長野県内で移築された物も含まれますが、いずれも既に当地の風景の一部となっている建築物ばかりです。

各建築物の紹介は写真集というより、どちらかというとガイドブックの体裁に則っており、基本的にすべて同じフォーマットで、建物の種類(事業所・公共機関・教会・ホテル・別荘旧宅・学校)、所在地、見学条件、訪問用ガイドmapが付けられており、本書を読んだ後、容易に見学に赴くことが出来るように配慮されています。各ページの体裁と共に、紹介されている建築物が原則として見学可能な施設に絞られている点でも、明らかにガイドブックとしての役割を狙った編集方針である事が判ります(北野建設所有の2施設はちょっと無理ですよね)。

また、この手の写真集であれば建築物の種類、用途別に編集するスタイルの方が読者(建物がお好きな方)の嗜好にマッチしていると思うのですが、そこは長野の出版物、中信・木曽、諏訪・南信、東信、北信…とここでもしっかり「信濃の国」ルールが踏襲されているのは、県外在住者としてはちょっと、ほほえましかったりします。

すなわち、本書は貴重な建築物を記録するための写真集でも、建築ファンのための資料用でもない、表題の通り「文明開化の浪漫」をノスタルジックに楽しむためのガイドブックなのです。

その辺りの雰囲気がもっとも濃厚に表れているのが、掲載されている美しい写真に添えられている、各建築物が宿している歴史を紹介したショートストリーです。

資料性を損なわないように、控えめで正確な記録を掲載されることを心がけていらっしゃるようですが、文章のそこここに、建築に至った当時の人々への想い、ここまで生き残る事の出来た建築物への愛おしみや、保存に至る紆余曲折への眼差し、そして厳しい保存状況の建物への憂いといった、資料的な書物では禁句の数々が漏れだしてきているのが、逆に読者としては筆者の深い思いが伝わってきて嬉しく感じてしまいます。

例えば旧中込学校のストーリーの最後に添えられた一文、

—引用ここから—

(中込に生まれた市川)代治郎はこの大仕事を成すと各地を転々とし、和歌山で生涯を閉じた。残した建築物はこの校舎だけ。愛と心意気をすべてつぎ込んでしまったのかもしれない。

—引用ここまで—

建築物の紹介としてはちょっとどうかとも考えてしまいますが、当時の人々が僅かな資金を出し合って、子供たちに立派な教育を受けさせたい、それを受けた地元出身の建築家が精魂を込めて仕上げた校舎から多くの生徒が巣立ち、「教育県」と呼ばれた長野県の土壌を育み、その礎である校舎が今でも同じ場所で地元の方々に愛されて保存されている…。

美しい写真だけでも、実際に建築物の前に立っただけでも判らない、建物達が激動の文明開化から保存に至った現代までに育んできたストーリーが備わってこそ、より一層愛おしさ、保存することの大切さが伝わっていくのだと思います。

旧中込学校そして、多くの建築物が保存目的の為に博物館化、準非公開(外観のみ)となりつつある中、文化財的価値は多少低く見られても現在でも「生きている」建築物たちにも多くの項を割いている点は非常に好感が持てます。

こちらも教育県長野らしく、校舎建築が多いのですが、出色なのは今でも年間15万人が連日のように利用している、諏訪のアイコンでもある「片倉館」でしょうか。

建築の経緯も異色ですが、文化財的価値、歴史的な特異性を併せ持ち、さらには現役の「公共温泉」として維持することは大変な困難が伴うかとは思いますが、このような施設を大切にしていくことが、その街の歴史の深さ、地元を想う心意気の表れだと考えると、それらの建築物たちは「浪漫」を越えた、地元にとっての象徴ともなり得るのではないではないでしょうか。

片倉館そのような活動を街全体で行っているのが、本書で最もページ数を割いている松本に残る建築物群でしょうか。いずれも貴重な建築物で、ほかの都市であれば既に高度成長期に取り壊されてしまってしかるべき建築物も、地元の熱心な保存活動に押されて多くが残っている点では正に地元愛の成せる業ですね。

また、本書では街全体とはいかなくても、長野県内の各地で地道な保存運動の結果、残されている小さな建築物についても光を当てています。中には保存状況が劣悪になりつつある建築物も紹介されており、写真を見ていると心が痛くなる想いですが、これからも末永く保存されることを願う限りです。

このように保存に苦しまれている建築物がある一方、外装はそのままに内部をリフォームすることで新たな役割を与えられて輝きを取り戻した建築物も多数登場してきます。すべての建築物で適用できる手法でない事は当然なのですが、貴重な建築物を後世まで残していく新しい方法として前向きに取り上げられている点は好感が持てます。

これから少しずつ涼しくなり、外でのお散歩が気持ちよくなる季節。美しい自然に恵まれた信州までちょっと足を延ばして、浪漫あふれる「洋館」を眺めながら、静かに宿してきた建物達のストーリーに思いを馳せる休日というのは如何でしょうか。

<おまけ>

二冊のサケ類ガイドブック「サケ学大全」(帰山・永田・中川 編著 北海道大学出版会)と「サケマス・イワナのわかる本」(井田齋・奥山文弥 山と渓谷社)

お魚が好きなくせに山奥に立て籠もって暮らしていると、時として無性にお魚の本が読みたくなってしまいます。

そんな訳でこれまでも何冊もお魚関係の本をご紹介してまいりましたが、今回はちょっと山奥にも関係ある「サケ類」をテーマにした本を2冊セットでご紹介です。

サケ学大全まず一冊目は北海道大学出版会より刊行された「サケ学大全」(帰山雅秀・永田光博・中川大介 編著)です。

版元から察するとかなり堅めの研究関係の書物に感じますが、さにあらず。第一線の魚類学者から道内の水産関連の研究、実務担当者、NPO関係者、地場の水産会社役員に村上の喜っ川 、教育者に画家…とまあ多士済々の皆様が執筆されたラインナップが全部で55テーマも揃う正に「サケをテーマにした一大テーマパーク」的な研究紀要andエッセイ集といった書籍です。

テーマが余りにも膨大なため、各テーマの掲載ページは数ページから多くても10ページほど、一応、第Ⅰ部であるサケの生物学については研究紀要的な内容で固められており、サケ類の最先端の研究成果がふんだんに盛り込まれていますが、第Ⅱ部のサケの産業科学に行くと、ふ化事業や水産加工など具体例が徐々に増えてきて、業界紙のコラムのような体裁に変わります。

第Ⅲ部のサケの社会科学にはいると、もう体裁も内容もテーマごとにばらばらで収拾不能…といった感じで、以前紹介した「ウナギの博物誌」のようなテーマ間のバランス調整も殆ど行われていないため、一気に読むにはあまり向いておらず、どちらかというと気に入ったテーマを拾い読みしてく感じの編集スタイルになっています(編集スタイルとしてはウナギの博物誌のページで関連書籍として紹介した「新鮮イカ学」に近いかもしれません)。

とはいえ、北海道、そして東日本のを代表する魚類であるサケ類のすべてをこの一冊に集結させた北海道大学出版会と編者の皆様の多大なるご努力に敬意を表したいと思います。

特に北大の研究者の皆様が多数執筆される第Ⅰ部には環境保護をテーマにした話題では良く取り上げられる割には根拠となるモデル、データがあまり紹介されないヒグマを含めた連環のデータや巨視的な生態系モデル例など括目すべき内容がそこかしこにちりばめられていて、目から鱗が落ちる思いになります。

また、皆さんご興味があるであろう母川回遊に関する最新の研究成果や、放流魚と自然遡上魚のバランスシートといったかなりナーバスなテーマも語られています。

後半の方には今注目されている遺伝操作による養殖サーモン類(信州サーモンもすっかり有名になりました)に関するテーマも設定されていて、最近のトレンドを理解するためにも非常に有用です。

また、第Ⅱ部に関しても実際の事業に携わられていらっしゃる皆様のコメントには説得力があり、実は放流事業における回遊率成否には放流する側の上手い・下手が色濃く影響するなどという爆弾発言的なコメントも載せられていて、ちょっとびっくりしてしまいます。

とにかく、サケ類大好き、サケに関するいろいろなテーマを観てみたいという方にはピッタリな一冊かと思います。

サケマス・イワナのわかる本そしてもう一冊、帯の一文で威圧されてしまう「魚に半生を捧げた師弟」である北里大学名誉教授で魚類分類学者である井田齋先生と、お魚ジャーナリストの奥山文弥氏という魚類学とフィールドワークのコラボレーションを存分に楽しめる、山と渓谷社より刊行された「サケマス・イワナのわかる本」(井田齋+奥山文弥)です。

前に紹介した「サケ学大全」が北大出版会刊行なのでより学術的な内容に見えますが、全く逆でこちらの本の方が余程学術的(所謂魚類分類学)な記述に優れます。

こう書いてしまうともの凄く固い本のように思われてしまいますが、そこは山と渓谷社の刊行物です。帯には「入門書」と硬めの表現をされていますが、奥山氏の豊富なフィールドワークによってもたらされた美しい写真と井田先生の丁寧な解説文章、多くのアングラーの協力によって得られた貴重な写真を織り交ぜた美しい「サケ・マス・イワナ類写真図鑑」としても出色の一冊です。

サケ類が好きな方なら美しい写真を眺めているだけで幸せになってしまう事受け合い、更に降海/陸封型を分けた形でほぼ全種についての解説が写真以外に50ページと、これだけで数1000円クラスのちょっとしたガイドブックが出来てしまう豪華さです。

更には特徴的な生態、海外(所謂銀鮭ですね)を含む養殖魚たちについての紹介もカラー写真/文章を駆使して豊富に掲載されており、「入門書」なんてわざわざ書かなくても「決定版」でいいじゃないですかと、声を大にして言ってしまいたくなります。

就寝前のほんの一瞬、一日の疲れを癒したい時にぱらぱらとめくりながら、かれらの生きざまにほんの少し思いを馳せる…そんな密かな楽しみとしていつも枕元に置いています。

決して、著者たちのように「脂鰭」に魂を捧げたわけではありませんが…

<おまけ>

夏の夕暮れ(霧ヶ峰)

連日の猛暑、涼しい筈の八ヶ岳南麓も、めったに超えない35℃を軽々と越えてしまい、ちょっとバテ気味です。

そんな感じで昼間は自宅でおとなしくしているのですが、夕暮れになればぐっと涼しくなるのは標高が高い故。夕涼みにお出かけです。

霧ヶ峰に沈む夏の夕日霧ヶ峰の山並みに沈んでいく、夏の夕日【クリックでフルサイズ】。

夏の夕日らしく、少し霞んだ空と雲を照らしていきます。

この時期になると、夕暮れもすっかり早くなり、標高の高い八ヶ岳西麓の茅野辺りでも6時30分頃には少しずつ暗くなっていきます。

昼間に35℃を越えようかという日。夕暮れになると漸く30℃を下回ってきて、山から吹き下ろす風も心地よくなっていきます。

三日月と夏の夕空夕日を追って霧ヶ峰の上、富士見平駐車場へ【クリックでフルサイズ】。

午後7時ですが、流石に霧ヶ峰の上、この時間でも薄日が残っています。

遠く木曽駒側に暮れていく夕日を追って、三日月も西の空に降りていきます。

吹き抜けていく風は冷たく、この時の気温は21℃。半袖では寒いくらいと、標高の高さを実感する夜の帳を迎えた山上の風景です。

昼間の山麓は猛暑でも、ちょっと標高を上げると涼しい八ヶ岳界隈。お盆休みを過ぎるといよいよ夏も終わり、少しずつ秋の装いを見せ始めます。

8月の八ヶ岳南麓(高原の夏空)

いよいよ8月。南麓がもっとも賑やかになるシーズン到来です。

涼を求めて、たくさんの観光客の皆様が夏の高原にお越しになります。

8月のカレンダー昨年のカレンダーより。霧ヶ峰の夏空【クリックでフルサイズ】

もっとも、賑やかなのは観光地化された地区だけで、地元の皆様が住んでいらっしゃる地区はひっそりとしていて、僅かに夏休みを楽しむ帰省中のご家族がいらっしゃるご家庭だけちょっぴり賑やかという、厳しい現実も垣間見れたりします。

そして、家々の門の前に送り火の燃えた跡が目に付くようになると、いよいよ夏も終わり。夜になると虫の声が響き渡り、空気もひんやりとしてきます。

8月のテーマ写真1田圃に広がる稲の穂も、徐々に重みを増して頭を垂れてきます。

低く空を覆っていた夏の雲たちも少しずつですが空に戻っていきます。

8月のテーマ写真2台風一過の青空、そろそろ空は秋模様。

涼やかな風と、高い高い青空が再び南麓に戻ってきます。