中央構造線を北上する旅(4)ジオパークの故郷・糸魚川構造線露頭

木崎湖に始まった中央構造線を北上する旅も葛葉峠を越えると信州から越後に入っていきます。

大網発電所前の糸魚川ジオパーク看板越後に入ってすぐの集落である平岩の休憩用駐車場には、このような「糸魚川ジオパークへようこそ」という案内板が掲示されています。

この姫川流域は日本で初めて世界ジオパークに認定された糸魚川ジオパークのそのものなのです。

電気化学工業大網発電所ダム2大糸線と駐車場のすぐ脇には姫川を流れるエメラルドグリーンの水を湛えた電気化学工業の私設発電所でもある大網発電所のダムが険しい谷間を埋めるように立地しています(エメラルドグリーンの水は同じ中央構造線の南部側に位置する美和ダムも同じですね、河原の石が白っぽい、花崗岩の山を流れる川に共通の水面なのでしょうか)。

姫川の流域にはこのほかにも多数の水力発電所があり、下流には大きなセメント工場が多数稼動していますが、これらの工場を稼働させる大切なエネルギー源としても姫川の豊富な水量と急流が役に立っている訳です。

そして、渓谷の急峻な斜面にしがみつくように敷設された大糸線を守る洞門の中を可愛らしい1両のディーゼルカーが通過していきます【クリックでフルサイズ】

この地点は「糸魚川ジオパーク」で設定されているジオサイトのうち「No.11姫川渓谷(大糸線)」に指定されています

平岩の駐車場を後にすると、姫川沿いの中央構造線を抜ける道もクライマックス、トンネルと厳しいカーブの連続する洞門が何キロにも渡って続いていきます。洞門の明り取りからは対岸を走る大糸線の路線が見隠れしますが、あちらも断崖絶壁を削り落として鉄の洞門で固められたシールドの中を抜けており、非常に厳しい環境の中を通過していることを実感させられます。

十数分の苦痛な時間が過ぎると、ヒスイ峡の入り口である小滝に到着。正面の視界が開けて姫川を橋で渡れるようになります。

小滝を過ぎると姫川の流れは急峻な渓谷から一気に緩やかになり、河原には水田が広がるというこれまでの厳しさとは一転した風景になっていきます。

そんな水田が広がる河原沿いの道を降っていくと路肩に妙な看板が聳えているのが見えてきます。

中央構造線糸魚川露頭入口「大断層見学地」とかかれた看板の立つこの場所こそ、糸魚川ジオパークの中核であり、日本のジオパークの先駆となった中央構造線・フォッサマグナの糸井川露頭であるフォッサマグナパークなのです。

中央構造線糸魚川露頭説明看板1駐車場にはこのように、ジオパーク発祥の地である事を示す解説板が用意されています。

中央構造線糸魚川露頭説明看板2そして、露頭に繋がる道の左右にはこちらのような解説板が所々設けられており、歩きながらジオパークについて理解を深めることが出来るようになっています(お子さんが飽きないようにクイズ形式の解説板も設けられています)。

中央構造線糸魚川露頭1全体駐車場から歩く事5分ほど、露頭に到着です。【クリックでフルサイズ】

露頭の上側から河原に降りる形で見学できますので、露頭の全体を俯瞰することが出来るのですが、大変残念ながら上部の方は石垣で保護されてしまっており、全体を見る事は叶いません。

観光で訪れた方は石垣に引かれた白線をしげしげと眺めががら感嘆の声を上げますが、残念ながら本命の露頭は石垣の下に僅かに見えている露岩の部分になります。

中央構造線糸魚川露頭2破砕帯石垣に引かれた白線の下、破砕帯の表示と東西日本を表すプレート【クリックでフルサイズ】

石垣の下に設けられたキャットウォークを歩くことで破砕帯の直近まで近づくこともできますのでじっくり観察は出来るのですが、如何せん露頭の目の前にジオパークの意義やプレートテクトニクスの解説、ジオパーク認定のシンボルプレートは置かれているのですが、最も重要な「露頭自体の説明」が何処にも無いのです!!!

これこそ「画龍点睛を欠く」の最たる例ではないでしょうか。

何を置いても、現物を前にして解説を受けて、その場で感じることが理解への早道なのに、ジオパークの発祥の地と言われる糸魚川がこれでは、非常に悲しくなります(他の露頭の方が余程ましな解説板を設置しています)。

中央構造線糸魚川露頭3東側と、いう訳でちょっと補足的に東日本側から西日本側を俯瞰した写真を【クリックでフルサイズ】解説用の石碑には「安山岩」と書かれています。

中央構造線糸魚川露頭4西側そして、反対側の西日本側から東日本側を俯瞰した写真を【クリックでフルサイズ】

こちらの石碑には「変はんれい岩」と書かれています。

という訳で、観光地化が進み過ぎてしまったのでしょうか、ちょっと手垢に塗れてしまった感の強い中央構造線・糸魚川露頭です。

この地点は「糸魚川ジオパーク」で設定されているジオサイトのうち「No.6糸静線塩の道(北部)」に指定されています

<おまけ>

中央構造線を旅するのはこれで数度目で、特に南側は比較的身近なフィールドだった(パジェロミニに乗っていた頃)ため、露頭にもちょくちょく訪れていました。

中央構造線溝口露頭比較的アプローチがしやすい美和ダム湖の湖畔に位置する中央構造線・溝口露頭。

こちらは解説版が非常に紛らわしく、何処が本当の中央構造線が見誤る恐れがあります。

実際には写真奥の方で左下から右上へ斜めに走る地層の色が変わっている部分が中央構造線です。

中央構造線北川露頭そして最も判り易いけれど、アプローチがやや困難な中央構造線・北川露頭。

本年6月に天然記念物に指定されたそうですが、その鮮やかさと目の前でじっくり観察できる非常に優れた環境はファンの方でなくても、一目で納得できる強いインパクトを有しています。

しかしながら、場所が本州で一二を争う辺鄙さでも有名な大鹿村ですし(その筋では極めて著名な中央構造線博物館もこちらにあります)、アプローチには大鹿村の中心部から崩落が年中発生する林道まがいの国道152号線(こちらもマニアの皆様御用達ですね)を行くか、北側の伊那市長谷(道の駅・南アルプスむら名物の自家製パンはお勧めです)から今はやりのスピチュアルな分杭峠を越えるそれこそ林道そのものの狭路152号線を登るかのいずれかしかなく、どちらもあまりお勧めできるルートではありません。

中央構造線安康露頭そして全くお勧めできないばかりか、辿り着けるかも保証できないのがもう一つの中央構造線露頭である中央構造線・安康露頭です。

こちらのアプローチの悪さはかなり悲惨で、北からアプローチするには先ほどご紹介した大鹿村から152号線を河原と絶壁に挟まれた1車線道路を延々と登っていくか(ここで対向車と遭遇するとたとえ軽自動車、軽トラックでも絶望に打ちひしがれます)、もしくは本州で一番星がきれいな場所、日本のチロルとも呼ばれるしらびそ高原と下栗の里を擁する遠山郷から全くの林道でもある蛇洞林道(酷道152号線暫定指定とも云う、点線というやつですね)をひたすら登っていく必要があります。

更に、現地に到着できたとしても露頭自体が渓流の河畔に位置しているため出水する度に状態が変わってしまったり、最悪は河畔自体が流出して見学場所にすら近寄ることが出来なくなることも決して珍しい事ではありません。

良いタイミングで訪問できれば、こちらのサイトにあるような美しい断層美が堪能できますが、私のように出水後ばかりにしか行けない駄目な人の場合、いつ行ってもどれが断層かわからないような状態しか遭遇できません(ちなみに写真左側の岩が盛り上がっている部分から左側の色が僅かに茶色に変化している部分が断層面です)。

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中央構造線を北上する旅(4)ジオパークの故郷・糸魚川構造線露頭」への3件のフィードバック

  1. ピンバック: 「花子とアン」で脚光を浴びる蔵座敷を訪ねて(韮崎市民俗資料館と蔵座敷) | 八ヶ岳の南麓を彷徨って

  2. ピンバック: 南牧村のちょっと不思議な「日本のおへそ」(市場坂の平面直角座標系第Ⅷ系原点) | 八ヶ岳の南麓を彷徨って

  3. ピンバック: 北アルプスにまつわる自然と人の営みを集めて(大町山岳博物館と4つの分野を跨ぐ特徴的な展示を) | 八ヶ岳の南麓を彷徨って

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