台風の合間に稲穂の群れを眺める

台風が接近しつつある連休の週末。

残念な天気なのですが、雨が止んでいるタイミングを狙ってちょっとお出かけ。

光線が乏しいので白い蕎麦の花は映えませんが、稲穂の群れならばと、ちょっと挑戦。

台風の合間に稲穂の群れを1少し晴間も見えてきたタイミングで撮った一枚【クリックでフルサイズ】

谷間に向かって圃場に広がる稲穂の群れが伸びていきます。視線の先には釜無川の谷間、その先には雲に隠れていますが南アルプスの山々と甲斐駒が控えています。

天気が良ければ、気持ちの良い景色が広がるのですが…。

台風の合間に稲穂の群れを2日が隠れてしまうと、稲穂の群れは一気に暗くなってしまいます。空には台風から流れ込んだ複雑な雲が広がります。

台風の合間に稲穂の群れを3雲間からほんのちょっと顔を見せてくれた蓼科山をバックに稲穂の群れを【クリックでフルサイズ】

たわわに実った稲穂が、実りの秋の嬉しさを伝えてくれます。

夜半になって、一度止んでいた雨は激しい雨脚となってきました。どうか台風に負けずに、無事に刈り取りの日を迎えますように。

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スズキのコンセプトモデルiV-4はSX4の後釜となり得るか

New! : 2015年2月19日:遂にSX4の後継モデルSX4 S-Crossの国内版が正式にアナウンスされました。

SX4 S-Crossスズキアリーナ諏訪に置かれていたSX4 S-Cross試乗車(2015.3.6)

詳細は公式サイトをご確認いただければと思いますが、プレスリリースにありますように、輸入車扱い(年間600台とこれも輸入車的)という事で、ちょっと不思議なデビュー。しかも初めから初代SX4以上にレア車になること確定な登場となりました。

イメージ的には小さなアウトバックという位置付けですので、subaruのXVや日産のジューク、これから出てくるマツダのCX-3がどうしても腑に落ちない方への選択肢として用意されていると考えたいところです。

こちらの販売店さんのサイトにカタログの内容が写真で公開されてます。ご参考まで。

New! : 2015年2月11日:発売が近づいてきました新型SX4 S-CROSS。正式名称には「SX4」の名称が残るようです(これ、車名を変えると認可関係の取り直しand看板の付け替えとかが発生するのを避けたのでしょうか)。こちらに販売店さんによる先取り情報も出ています。発表は2/18or19になるようです。

New! : 2015年1月21日 : 一部ニュースサイトで前触れが出ているようですが、どうやらSX4 S-CROSSが国内販売名S-Crossとして2月にデビューするようですね。日経の電子版(要会員登録)にも年内導入の記事が載りました。既に実車の走行シーンを収められている方もいらっしゃるので、かなり確度の高い情報かと思います。

New! : 2014年11月1日

遂にこの日がやって来ました。2006年7月から数えて8年3ヶ月。国産車としては異例とも思える長期にわたる販売期間を経て、後継車種を迎えることなくSX4は終売となりました。

既にsuzukiのホームページから、SX4並びにSX4セダンの紹介およびページへのリンクは切断されています。

New!:今年(2014年)のパリモーターショーでiV-4改め正式にVITARAのデビューがアナウンスされました。欧州で販売されていたエスクードのモデル名を引き継ぎますので、実質的にもエスクードの後継モデルに当たりそうです。その辺りの余談などはこちらから。

我が愛車、スズキSX-4が2006年にデビューしてから既に7年。普通の車なら次のモデルにチェンジしても良いタイミングですが、スズキのヨーロッパ戦略の混乱(要はVWとの資本提携破談の余波)をもろに受けて、モデルチェンジが伸び伸びとなっているようようです。

そんな中、今年に入ってヨーロッパで行われた二つのモーターショーで後継となりそうなショーモデルの紹介がなされました。

春のジュネーブショーで新型SX4として紹介されたモデルは、その後ヨーロッパ向けとしてハンガリー工場で生産される「SX4 S-CROSS」としてデビューを果たしています(現行のSX4も併売です)。

日本語のページが無いので、SUZUKI UKのページを参照して頂ければと思いますが、ディメンジョン的には、1.6lのガソリンエンジンで、全長4,300mm×全幅1,765mm×全高1,575~1,580mmというスペックは、競合モデルとなるスバルのXVより一つ下の車格に位置します(XVは2.0lエンジンで全長4,450mm×全幅1,780mm×全高1,550mm)。スズキの発表では初めてのCクラス車と位置付けていますが、XVのベースとなっている1.6lから2.0lでラインナップされるインプレッサと同等の車格ですから、どう贔屓目に見てもBクラス車ですね。

そのような意味でSX4の後釜モデルとして考えた場合、SX4 S-CROSSは正にその通りなのですが、これまでのSX4がハッチバックを前提にしたクロスオーバーだったのに対して、SX4 S-CROSSはデザインから見ても判るように全長の長い「ワゴン」ベースのクロスオーバーになってしまったわけです。

スズキとしては、北米重視でヨーロッパでの地位が低下する一方となってしまったスバルの間隙を縫って販売を伸ばそうとしている雰囲気が滲み出ているのですが、そうであればダウンサイジングターボ、もしくは2.0lのガソリンエンジンが無い点は厳しいですよね(フィアットから供給される筈の1.6lディーゼルの出来如何でしょうか)。

そして、9月のフランクフルトショーには新たなコンセプトモデルとして「iV-4」が発表されました。iV-4に関しては、こちらの紹介記事に非常に詳しく書かれています。

2015年の市販化を狙ったコンセプトモデルとの事ですが、こちらのモデルはどちらかというと現行のエスクードをリプレイスすることを目的としたコンセプトです。

すなわち、現行のSX4で中途半端と云われ続けた(だからこそイイんですけどね(笑))、ハッチバックとしての取り回しの良さはサイズ拡大されたSWIFTに全面的に譲り、ステーションワゴンとしての積載量と流行のアーバンSUVとしてのアイコンはSX4 S-CROSSに継承させる、そしてスズキが長らくエスクードで養ってきた本格SUVとしてのアイコンとSX4が本来有していたユーティリティビークルとしての機能性を合わせて、流行のアーバンSUVのデザインテイストに合流させたコンセプトがiV-4になる訳ですね。

ではiV-4の位置づけがどの辺りにあるのかが気になるのですが、発表されているボディサイズ(全長4,215mm × 全幅1,850mm× 全高1,665mm)から考えるとSX4 S-CROSSより全長は100mm程短く、明らかに日産のデュアリスやエクストレイル、スバルのフォレスター、マツダのCX-5、VWのティグアンより下のクラス、日産のジュークより僅かに大きいという、またもや微妙な位置づけとなっています。

この微妙な位置づけを更に強調するのが、今回パワートレインが発表されていない点です。

スズキの現在のエンジンラインナップに於いてディーゼルが無い事は周知の事実ですが、更にハイブリッドの実用化も先送りにすることが報道等で伝えられています。こうなってくると、軽自動車ほどではないですが熾烈を増しつつある国際的な燃費競争に一歩も二歩も遅れを取る事になります。

更にガソリンエンジンのラインナップも先月のMotorFan illustratedをご覧いただければと思いますが、1.2l迄のK型と1.3lから1.6l迄のM型、2.4lのJ型の3系列を持っていますが、エスクード用に開発されたJ型は余りにも古く、今後の燃費競争を生き抜ける素質はなさそうです。

暗礁に乗り上げているVWとの提携についても前述のようなスズキのガソリンエンジンラインナップの欠点(2lクラスのエンジンもしくは1.2l~1.6lのダウンサイジングターボがない)を補う事が狙いであったはずですが、残念ながら今後の展開も不透明なままです。

プラットフォームに直結する技術の開発には膨大な費用が掛かるため、投資資金の調達にはどこのメーカーも苦しむわけですが、この辺りはスバルの処世術は凄まじく、6気筒エンジンとボクサーディーゼル、CVTの開発費用を捻出する為にGM傘下に入ったとも見えますし、その後に実施した20年ぶりの基幹エンジン刷新であるFA/FB系エンジンと対応する直噴、ダウンサイジングターボの自主開発費用を再び獲得すべくトヨタグループ入りしたのではないかと疑ってしまいます(そういえば、初代レガシーの登場直前に経営危機に陥って日産グループの支援受けていますが。あれもEJエンジンの開発期ですね)。

そのような意味で、iV-4のパワートレインが発表されていない裏側にはスズキ内部の何らかの思惑が見え隠れするのですが、果たしてどのような結果に繋がるのでしょうか。

少なくとも、現在のSX4にあったコンセプトは、別々のモデルに分散されて継承されていくようなので同じコンセプトのモデルはもはや出ないのかもしれません。

全く同じコンセプトでありながら、コンスタントな人気を確保しているVWグループの「クロス」シリーズを観ていると、ちょっと残念な話ですが、ラインナップの明確化が求められている現在のスズキの事情を考えるとやむを得ないことかもしれません。

>現在の愛車SX4の紹介はこちらにて

今年も「ザ・ベストテレビ2013」(ドキュメンタリーの最高峰が揃う2日間)2013to2018

New!(2018.10.11):週末の放送を前に嬉しい受賞のニュースです。民放ドキュメンタリーの雄、東海テレビ放送のドキュメンタリー制作チーム「東海テレビドキュメンタリー劇場」に菊池寛賞が贈られる事になりました。劇場公開に漕ぎ着けた「人生フルーツ」をはじめ、我々のほんの少し隣で起きている事柄に光を当て、丁寧に真摯に、時に物議を醸すほど大胆に追い続ける、「今を生きるドキュメント」を映像を通して魅せてくれる作品たち。これからも期待です。

New!(2018.10.8):2018年の放送予定です

例年とほぼ同じフォーマットで2日間、6本の作品が放映されます(NHK制作の1本はW受賞)。作品自体の評価はいたしませんが、昨年に続いて東日本大震災や原発関連の作品が選考から外れた点は、風化の始まりを感じる一方、より古い時代、戦中期のドキュメンタリーに依然として強くフォーカスを当て続けている作品が連年制作され、受賞される点に些かのギャップを感じる事もあります。近年の話題からドキュメンタリーらしい、長期に渡ってひとつのテーマを据え続ける事が難しくなっているのかもしれません。今年の番組ホームページはこちらです。

 

New!(2018.9.12):今年のザ・ベストテレビ2018。番組制作会社(FD/卓Dの派遣会社)さんのブログによると、先ごろ収録が行われたようで放送予定日も掲載されています。

  • 第一部 : 10/14(日)12:45~16:30
  • 第二部 : 10/15(月)13:00~17:04

いずれもBSプレミアムで放送予定との事です。あくまでの内部情報ですので、正式なスケジュール、放映される作品は番組表で公開されるのをお待ちください。

New!(2018.6.13):

今年の各賞受賞作は以下の通りです。

今年は昨年のように映画化にまで至るような突出した作品はなく、佳作の中から渦中の話題に密接して、戦中期に着目した2作品が4つの賞を占めるという結果となったようです。その中で、扱いにくいテーマに敢えて挑んだメーレテの民間フェリー傭船をテーマにした作品と、身近なテーマなので特に思い入れもある、信越放送の都会のシングルマザーを呼び込もうというテーマを取り入れた着目点には共感を持つ次第です。

 

New!(2017.9.22):2017年度の放送スケジュールが発表されました。今年は10/1(日)と10/2(月)の2日間、これまでとほぼ同じフォーマットで放映されます。詳しくは番組ホームページへ

今年の各賞受賞作は以下の通りです。

今年は突出した2作品が、それぞれ2つの賞を受賞しています。どちらも話題となった作品で受賞に相応しいかと思いますが、一方で、作品のバリエーションが狭まってしまった点は否めません。そのような中で、山陽放送の作品は、地域の実情をしっかりと見据えた作品を採り上げる賞に相応しい受賞作のようです。なお、人生フルーツは本編未収録映像を加えた劇場版として各地で巡回上映中です。東海テレビのドキュメンタリー作品集大成ともいえる作品。昨年の山口放送制作「ふたりの桃源郷」映画化に続く、良質なTVドキュメンタリーの劇場への進出。お近くで上映の機会がある際には是非ご覧頂ければと。

 

New!(2016.10.29):「ふたりの桃源郷」映画化に続き、民放ドキュメンタリーの雄ともいえる東海テレビのTVドキュメンタリー作品が、この秋「東海テレビドキュメンタリーの世界」と題して、映画館で一挙上映される事になりました。場所は、ふたりの桃源郷封切りとおなじ、ポレポレ東中野。10/29から11/18迄の上映です。上映に先だって、数々の受賞作を手掛けた、東海テレビプロデューサー、阿武野勝彦さんのインタビューが掲載されてます。赤裸々に語られるドキュメンタリー制作と局内での葛藤、衝突の物語はそれ自体もドキュメンタリー、必見です。

 

<2016年度の追加分>

New!(2016.8.14):今年(ザ・ベストテレビ2016)の放送予定がアップされました(NHK BS月間番組表を参照)BSオンラインのトップページ(BSプレミアム月間番組表)からも確認できます。

今年は、第一部が9/25(日)12:45~17:00、第二部が9/26(月)12:45~17:00の予定と、ここ数年と同じフォーマットになりそうです。細かい時間は放送直前に調整されますので、詳しくはデジタル番組表が更新される放送1週間前までお待ちください。

第一部【9/25(日)12:45~16:58】

第二部【9/26(月)12:45~16:15】

 

今年の受賞作は以下の通りですが、どの番組が放映されるかは今後の放映予定をご確認ください(特にグランプリ、最優秀受賞作が番組内の一特集であったり、受賞作がドキュメンタリー以外の場合は優秀賞のダイジェスト等に差し替えられます)。

この下の記事にも掲載しています「ふたりの桃源郷」を制作した山口放送が、再びグランプリ受賞作を送り出しました。また、例年ですとNHKの受賞作が過半を占める事が多いのですが、今年は民放、それもこれまであまり受賞作を送り出すことが少なかった東北の3社が最優秀を受賞しています。特に、青森放送が代表制作した、民教協というご存知の方でなければ馴染みの薄い制作団体の冠作品(公益財団法人 民間放送教育協会、現在のテレビ朝日設立の母体となった団体で、テレビ朝日内に事務局を置いています。所謂学校放送と謂われた番組を配給する事を(以前は)目的としており、テレ朝直系のネットワーク系列ではなく、他のネットワークに加盟する地方局も参画しています)。年に一回、各加盟局が持ち寄ったドキュメンタリー企画の中から1本を提案局が制作、全国ネットで放送する機会があるのですが、その1本が今回の受賞作となった珍しい例かもしれません。

 

New!(2016.2.22):本ページでご紹介している、2007年に山口放送で製作された、2009年の第四回放送文化大賞グランプリ受賞作「山で最期を迎えたい ある夫婦の桃源郷」並びに一連のシリーズが、山口放送開局60周年を記念して、一本の映画として纏められることになりました「映画 ふたりの桃源郷」です。山口放送のホームページに公式サイトが立ち上がりました。

予告編の公開と、5/14からの上映開始のアナウンスが行われました。まずは、東京、東中野の一館のみですが、今後全国で公開の予定です。

[あらすじ]
「山」で暮らす夫婦と、支える家族“生きること、老いること”を見つめ続けた、25年の記録
中国山地の奥深く。かつて戦災で焼け出された夫婦が「自分たちの食べるものは自分たちで作ろう」と切り開いた“電気も水道も通わない山”での暮らし。子が生まれ、高度経済成長期には子どもの将来を思い一度は山を離れた二人でしたが、還暦を過ぎ余生を送る場所として選んだのはあの思い出の山でした。誰にも訪れる“老い”。離れて暮らす家族の葛藤と模索。そして夫婦亡き後、残された家族に〈芽生えた〉ものとは?そこには、現代における“幸せの形”のヒントがありました。山口放送が25年にわたり地元で取材・放送を続け大反響を呼んだ人気TVドキュメンタリーシリーズ、待望の映画化。

ナレーション: 吉岡秀隆
監督: 佐々木 聰
製作著作: 山口放送
協力: 日本テレビ系列 NNNドキュメント

(リリース文より)

監督の佐々木聰氏は本作放映時の制作ディレクターです。5月の上映に向けて、現在制作中となっています。

 

<2015年度の追加分>

New!(2015.9.20):今年(2015年)の放送予定を載せておきます(初日の放送予定時間が短縮された一方、二日目の放送予定時間が伸びています、予約録画をされている方はご注意を)

第一部【9/27(日)12:00~15:38】

第二部【9/28(月)12:00~16:08】

New!(2015.8.23):今年(2015年)の放送は9/27(日)、28(月)になるようです(NHK BS月間番組表より、BSオンラインのトップから検索できます)時間はいずれも12:00~16:00まで。詳細はこれからとなりますが、昨年同様の放送時間が確保されていますので、受賞作品は同じようなラインナップになるかと思います。

ちなみに今年の受賞作は以下の通りです。

戦後70年という事もあり、先の戦争における事実について掘り起こしていく作品の受賞が多かったように思える一方、東日本大震災関係の作品が抜けており、風化の始まりを感じさせずにはいられません。この中で興味深いのは、放送予定には入っていないと思いますが、日本放送文化大賞を受賞した中京テレビの作品。取材を受ける側にとっても非常に難しいテーマだったと思います(2015年9月20日訂正、放送予定に組み込まれましたが、一方で従軍慰安婦を扱った琉球放送の作品が抜かれています)。

 

<2014年度の追加分>

New!:今年(2014年)の放送予定がアップされました(NHK BS月間番組表を参照)

今年のザ・ベストテレビ2014は、第一部が9/28(日)12:00~16:30、第二部が9/29(月)12:00~16:15の予定となっています。今年も場末感が地味にUpしたようです…。

New! : こちらに関西テレビ「みんなの学校」のスタッフによる、番組紹介と、各受賞作の紹介一覧が上がっています。受賞作の各製作Dのお名前も挙がっています。メインの方には「みんなの学校」製作Dの真鍋俊永さんによる、事前予告番組でのインタビューで話された内容などがUpされています(Facebookですが、アカウントが無くても閲覧可能です)。

番組表が上がって来たので、情報を更新します。既に2014年度の受賞作が発表されている日本民間放送連盟賞ですが、受賞作品放送は2013年度の受賞作となっています

第一部【9/28(日)12:00~16:30】

第二部【9/39(月)12:00~16:15】

  • 12:04~ : 「地方の時代」映像祭 グランプリ「死の棘~じん肺と闘い続ける医師~」(静岡放送)
  • 12:57~ : ギャラクシー賞優秀賞・選奨ダイジェスト
    • 本年の大賞受賞作が「あまちゃん」のため、このような形式になったものと思われます。優秀賞のうち、ドキュメンタリーは以下の2作品です
    • 「ニッポンの性教育 セックスをどこまで教えるか」(中京テレビ放送)
    • 「報道特集 シリーズ秘密保護法案「秘密保護・法案成立なら社会は? 原発情報どこまで秘匿? 現役官僚語る」「特定秘密保護法が成立…議論は尽くされたのか?」」(TBS)

昨年から放送されなくなりましたが、参考まで : 日本放送文化大賞 グランプリ「ノンフィクションW 映画で国境を越える日~映像作家・ヤン ヨンヒという生き方~」(WOWOW)

震災から3年が経ったこともあり、あまちゃん以外に、震災に関する受賞作はみられなくなっています(民放連の受賞作品は昨年度分です)。最近の社会情勢を反映しているのでしょうか、戦中戦後史に焦点を当てている受賞作品が多くみられます。そんな中で光るのは関西テレビが久々に芸術祭で大賞を獲得した「みんなの学校」。地域と向き合う教育現場をテーマに、地元テレビ局がドキュメンタリーの王道らしく、地元の現場に張り付いて長期取材で臨んだ成果を評価されたようですね。

 

<本文此処から>

毎年、夏から秋にかけてNHKのBSで過去1年間に受賞したドキュメンタリー番組をNHK、民放問わずノーカット全編放送するという意欲的な企画「ザ・ベストテレビ」。6年目を迎えた今年も9月29日(日)、30日(月)の二日間に渡って放送されます。

当初、ひっそり始まったこの企画、良質なドキュメンタリーであるにもかかわらず、再放送や全国放送がなかなか叶わない貴重な番組を一挙放送することで、注目を受けるコンテンツとなりましたが、東日本大震災後のここ数年は受賞作がどうしても震災関連に集中する関係で紹介できる作品に偏りが出てきているためでしょうか、縮小傾向を続けています。

今年の放送も半月前となりましたが、依然としてNHKからプレスリリースすら出ず、放送時間も真昼間と場末のコンテンツ(収録セットもピークの時は製作者をゲストとして迎え入れるために、大画面のスクリーンに赤絨毯まで引かれていましたが、今年はEテレの30分教養番組並みの寂しいセットみたいです)とスタート時の状態まで戻ってしまいましたが、製作局での再放送すらままならない受賞作品がが全国放送で見られる貴重な機会。これからも続けていってほしいものです。

現時点で公開されている情報から確認した、放映ラインナップです。

【9/29(日):12:30~16:4016:50】(予定)

【9/30(月):12:00~16:5517:00】(予定・内容は推定、判り次第訂正します)

今年もやはり東日本大震災関連の番組の受賞が多いようで、ちょっと見ていると辛くなってしまいますが、日本放送文化大賞のグランプリはドラマ仕立ての作品、しかもテレビ東京がグランプリを受賞した珍しい作品。放映決定まだですが、是非観てみたいですね(残念ながらグランプリの作品ではなく、テレビ報道番組・最優秀の放映となっています。エンタ魂の情報より.2013.9.17修正)

これまで6年間、ほぼ皆勤賞で観ていますが(録画で)強い印象を受けた作品は数々あります。ちょっと紹介を

  • はじめて強い印象を受けた作品。山口県のローカル局が20年以上の長期にわたって取材を続けた息の長い、家族のプライベートフィルムのような作品。終戦後、小さな谷戸を切り開いて生活を営んでいた家族は、娘たちの将来を考えて都会に移り住みますが、年老いた父母は気ままな老後を求めて不便で電気も通っていない山中に再び戻って行くところから番組はスタートします。最後の日々をこの山中で迎えたいと願う老いた父の姿と支える妻、そして我儘とも思える父の行動に少しずつ影響を受けていく娘夫婦たち。父親が最期を迎えるその日まで支え続ける家族の心境の移り変わりを極めて丁寧な映像で追い続ける「山で最期を迎えたい ある夫婦の桃源郷」(2009年・山口放送)。ドキュメンタリーに求められる粘り強い取材と、丁寧な描写、美しい映像、そして心を捉えて離さない優れた構成力(ドキュメンタリーの場合、取材者の意図で対象者が動いてくれないため、編集時点でどのように纏め上げるかで印象がガラッと変わってしまいます)等、ドキュメンタリーという手法を用いた良質な家族ドラマを見ているような、文句なしにお勧めの一本です
  • 「山で最期を迎えたい」シリーズは本年、最終作となる「ふたりの桃源郷 最終章」が放映されました。願わくはNNNドキュメントのシリーズ最高傑作として、この貴重な作品群を是非、一本の作品として再編集、放映する機会を設けて頂きたく願うところです(映像ソフト化でも)
  • ドキュメンタリーと言えば、報道内容をより深く掘り下げて紹介することもテーマとして置かれますが、社会的にも問題となるテーマーを執拗に追い続けることが求められます。そような作品群の中でも、映像のショッキングさと取材対象同士の厳しい軋轢、今も続く問題の根深さを印象的に伝えた「不可解な事実~黒部川ダム排砂問題~」(2010年・富山テレビ)公共事業や医療関連の問題に対して数々のドキュメンタリーが製作されていますが、丁寧な周辺取材、水中撮影や、河川での調査など学術的な視点と併せて、裏に蠢く当事者同士の思惑まで取り込まれた取材内容の深さには圧倒されます
  • そして、同じような公共事業でも直接個人の人生までに関わってきてしまう集団入植と、その後の政策に振り回され続ける人々の苦悩と格闘を40年間にも渡って追い続けてきた「夢は刈られて 大潟村・モデル農村の40年」(2011年・秋田放送)。私たちの世代にとって「大潟村」「パイロットファーム」「減反」「プラザ合意」と言えば学生時代の社会/公民の授業で外すことのできないテーマ。バラ色の集約農業という側面と、相反する経済の話を同時に授業で受けさせられた世代から言うと、どちらも理解も納得もできない事ばかりなのですが、広大な干拓地を前に直接の当事者が切々と語る物語は、学生時代に感じた相反さそのままであった事に、非常にやるせなくなる想いがしたのでした
  • ドキュメンタリーというと硬派なイメージを持たれますが、作り方次第では楽しいエンターテイメントにもなり得るという好例を示す作品。台風による波浪を避けるために続々と気仙沼港に集結してくるカツオ漁船の船員たちと彼らを「お客さん」として待ちわびる気仙沼の皆さんの一昼夜の動きを、アメリカのTVドラマのように時間軸と空間軸を交差させながら何篇かのコミカルなショートストリー仕立てで纏め上げた作品「ハイビジョンふるさと発. 嵐の気仙沼 ~港町の特別な一日~」(2009年・NHK仙台放送局)まさかあの後、東日本大震災で壊滅的な被害を蒙るとは思っていませんでしたが、製作Dでもある久保志穂さんは、震災直後から出演された皆さんを追跡取材、復興に向けて動いていく人々の苦悩と支援への感謝、そして再び気仙沼に戻ってきてくれたカツオ漁船の船員たちとの交流を「気仙沼の人びと2009-2012」として、再び映像化しています。ドキュメンタリーにとって必須である息の長い取材がこのような形で、新たな物語を織りなすこともある好例です
  • 今回ご紹介させて頂いた作品のいずれもが地方局の製作です。キー局にはなかなかできない地域に根を張った地味で息の長い取材の積み重ねが、このような良質なドキュメンタリーを生み出す素地となっている事は説明を要さないかと思います。FNS系列でもドキュメンタリーの名手と呼ばれるのはやはり地方局の東海テレビですね。約束~日本一のダムが奪うもの~裁判長のおべんとう光と影~光市母子殺害事件 弁護団の300日~と数々の良作品を送り出しています。本年も「死刑弁護人」で日本民間放送連盟賞・テレビ報道番組・最優秀を受賞しています

夕暮れの霧ヶ峰で秋の雲を眺める

お天気の悪い週末。家に閉じこもって塞ぎ込んでいると気が滅入って来るので、雨降り覚悟で山へ向けて。

途中、実りを迎えた蕎麦と稲穂を愛でながら目指すは霧ヶ峰。

天気が悪くても、広がる空を見れば少しは気が晴れるかと思って池のくるみまでやってくると、山頂から徐々に晴間が見えてきました。

夕暮れの霧ヶ峰と雲を1空を覆うのは、秋らしい鱗雲。少しずつ鱗が開いていきます【クリックでフルサイズ】

夕暮れの霧ヶ峰と雲を2夕暮れの霧ヶ峰と雲を3夕暮れの霧ヶ峰と雲を4鱗雲は西の空へ徐々に広がりを見せていきます【クリックでフルサイズ】

夕暮れの霧ヶ峰と雲を5空を覆い尽くす鱗雲。漸く姿を見せた西日に照らされていきます【クリックでフルサイズ】

夕暮れの霧ヶ峰と雲を6夕暮れの霧ヶ峰と雲を7そして、すっかり鱗雲が離れて行った霧ヶ峰の空にはめっきり早くなった夕暮れの日差しが差し込んできます【クリックでフルサイズ】

この後、地上に降りたら再び霧と雨の中だったのでした。山の天気は何時も判りにくいですね。

今月の読本「魚はどこに消えた?」(片野歩 ウェッジ)「魚が獲れなくなった」への素朴な疑問

今月の読本「魚はどこに消えた?」(片野歩 ウェッジ)「魚が獲れなくなった」への素朴な疑問

私の幼少期、家庭には何時も魚が溢れていました。

親父の仕事の関係で魚市場の仲卸関係者が頻繁に自宅を訪れており、年末ともなるとお歳暮代わりに冷凍マグロの冊が食べられない程届けられる、ちょっと恵まれた環境に育ちました(なので実はマグロが嫌いで、殆どマグロしかない某県の鮮魚売り場には食傷気味です)。

そして、両親の田舎は日本一有名な海水浴場と言ってもいいかもしれません、湘南海岸でした。

夏場ともなると、田舎に戻った母は陸に上がったばかりの新鮮な豆鯵を買ってきて、3枚におろした酢漬をいつも作ってくれました。

田舎を訪れた時の食卓で最も楽しみだったのは、たまの来訪をもてなす為の料理でも、地物の刺身でもなく、朝夕に出される地元で揚った魚を丁寧に仕込んだ香ばしい干物の数々だったのです。

そう、今では全く考えも及びつかないかもしれませんが、私が小さかったころは西浜でも東浜でも職漁としての「地曳網」が行われていたのです。

とはいっても、当時でも既に半ば観光客相手化しており、たまたま巡り合った地曳網に飛び入り参加させて頂いても、獲れる魚はほんの僅か。帰るときには手ぶらだったかと思います。

そんな時、観光客たちの慣れない手捌きを手伝っていた漁師さんが必ず口にするのが「昔はもっと獲れたんだがな」なのでした。

この言葉は小さな子供だった私にもえらく印象に残る一言だったのと同時に、徐々に年齢を重ねるにつれて、関東近県、伊豆諸島へと釣りに出るようになると、何処でも判を押したように出て来る海辺の「枕詞」と化してしまうのでした。

高校生になってから釣りにのめり込むようになると、流石に気になりだして図書館などで関係する書物を漁り始めたのですが、出て来る理由は環境破壊であったり、海洋汚染であったり…、そして200カイリによる遠洋漁業の衰退と乱獲の話を見かけるようになるのです。

しかしながら、当時も今も「大漁旗」に威勢の良いセリの声、トロ箱いっぱいに氷と共に詰め込まれた魚達を観ていると、スケソウダラだけの問題で、日本の海は恵まれているからと楽観視しながら、ハゼだキスだアジだ上物だ!と釣り歩いていたのでした。

そんな楽天的ながらもちょっと心の奥底に引っかかる思いを抱いた海好き、魚好きだった私があるとき本屋さんで見かけたのが河井智康氏の著作の数々だったのでした。

死んだ魚を見ないわけ」「イワシと逢えなくな日」「消えたイワシからの暗号」「大衆魚の世界」等々、刺激的な表題と、研究者にしては非常にアグレッシブな筆致から紡ぎだす、未知のテーマ「魚種交代」解明への熱い思いが端々に見えてくる、実に魅力的な著作群だったのです。

そして、テーマの根幹にある「魚種交代」の意味、すなわち魚の漁獲高≒資源量がある魚種間相互でお互いに相殺するようにピークを持った増減を繰り返すという議論に惹かれたのでした。

そう、小さな頃から漁師の皆さんが「獲れなくなった」という言葉とは裏腹に、海の中ではもっとダイナミックな動きを見せている事を氏の著作から知る事になるのでした。

当時の理論では「魚種交代」ロジックの回答を完全には得ることが出来ていませんでしたが(当時、河井氏は卓越級数の増減をプランクトンによる食害の関連性に求めて指摘していました)、その後、東北大学の川崎健先生により地球規模の海洋気候変動である「レジームシフト」が「魚種交代」を引き起こすトリガーとなっている事が証明され、今では環境変動から資源量を検討できる段階に進んでいます(レジームシフトと漁業については氏の著書である「イワシと気候変動-漁業の未来を考える」に詳しい)。

ここまで来ると、不漁期と豊漁期が繰り返しやってくるのだから、別に心配しなくてもイイじゃないかと再び楽観論に落ち着きそうなのですが、実際の漁獲高は徐々に低下しているのも紛れもない事実、水産物の生産高はピークであった1980年代後半から既に全盛期の1/3まで落ち込んでいて、多くを輸入でカバーしているのが実情です。

どうしてそのような事になってしまったのか、そんな時にふとWEBで見かけたのが本書の元となったWEDGE Infinityで連載されていた「日本の漁業は崖っぷち」だったのでした。

今回ご紹介するのはこちらの連載を書籍化した一冊「魚はどこに消えた?」です。

魚はどこに消えた?著者である片野歩氏はマルハニチロに所属する現役の水産物バイヤー。海外の漁場、水産加工会社を相手に日夜水産資源の獲得を目指しているプロの方です。

鮮魚売り場で見る魚達や刺身などのパッケージを見た場合、その殆どが国内産であるとの表示が出ていますが、鮮魚以上の陳列スペースを有している冷凍魚や魚類加工食品、総菜売り場で売られている魚を使った調理品の原材料はどこから調達されているでしょうか。そう、200カイリ以前であれば大船団を以て海外で漁獲を続けていた大手水産会社の現在の姿、水産物バイヤーと呼ばれる方々か活躍する商社化した水産会社が海外からかき集めて来る事によって商品を維持しているのです。

そんな海外市場を渡り歩いている著者は、世界的な水産物生産高の伸びに対して良く謂われる「魚離れ」以上に経済状況の低迷による日本の購買力低下、そして輸入依存度がますます高まる割には回復の傾向を見せない日本の水産資源管理へ厳しい目を向けます。

そして著者は北欧、特にノルウェーでの資源管理手法と急速に回復する漁業者の経済環境に注目します。日本と並ぶ水産資源大国であった北欧の国々も70年代後半から劇的な資源減少に悩まされ、多くの失業者を生み、経済的疲弊に繋がる事になりました。

そこから「海洋水産資源は回復する」との信念に基づいて科学調査に多額の予算を投じ、禁漁と個別管理(総漁獲高ではなく魚種別、船別に漁獲高を管理する方式)を徹底することで有効利用可能な資源量を割り出し、値崩れを防ぐために有効利用量から経済的価値を勘案した漁獲量を算出する…。一見自然保護活動のようにも見えるのですが、そこには厳格な経済価値に重きを置いた「生産」の側面が色濃く滲んでいます。

水産物が一般的な野生生物の保護と決定的に異なる事、それれは野生生物の狩猟や獲得は「牧畜」や「農業」で代替できたとしても、依然として水産業は「漁獲」であって自然環境から収奪せざるを得ない産業である点です(「牧畜」化されたチリの銀鮭ことタイセイヨウサケの養殖技術に日本の水産会社が多大な投資を行っているのは、この事と決して無関係ではありません。太平洋側にしか海を持たないチリで、タイセイヨウサケなのです)。

そうであれば、野生生物の絶滅同様に「狩り尽す」事はすなわち産業としての終焉を意味します。逆に「狩り尽さないようにする手法」があれば、前述のレジームシフトのルールに従って資源量がボトムとなる時期に適正に資源を残せば、長いレンジではありますが、環境循環によって資源量は一定の水準で増減を繰り返すはずですし、ピークの時には豊漁を期待できることになります。

既に「獲り尽くしてしまった」例として著名なのが北海道のニシンとカナダのマダラですが、どちらも余りに獲りすぎてしまったためでしょうか、現在まで資源回復には至っていません。今年に入って、青森県でイカナゴの漁獲がほぼゼロとなったため禁漁にするというニュースを聞いて「資源管理は」と、驚かれた方も多いのではないでしょうか。

一方、危機を叫ばれた秋田のハタハタは3年間の禁漁期間を経て、徐々にではありますが、資源量の回復が認められています(もう少し待った方が良いという意見もあります)。国内でも新潟をはじめ各地で資源量調整のため、漁獲量を抑制、管理手法を見直す動きが見え始めてきています。

それでも、獲れるときにはたくさん獲りたいのが漁師の本能。やはり心苦しいところはあるようです。そのような漁獲法について(著者はオリンピック方式と呼んでいます)も、バイヤーの立場からすると否定的な回答を出しています。

経済価値は消費量と品質、価格のバランスで決まるのは当たり前の事ですが、消費量を無視した漁獲も、付加価値を付けるための加工工場の処理能力を上回る漁獲も経済的には意味をなさない事を著者ははっきりと述べていきます。昨年から今年にかけて色々な漁場でイワシが豊漁で処理が追いつかないとのニュースが流れていますが、豊漁の漁場が多いほど、漁場同士の価格競争は激化するので浜値は下落してしまいます。そして、撮れすぎてしまった魚たちは何処に行ってしまうのでしょうか….。

著者は直近の豊漁を震災による一昨年の出漁数減少の反動で当然のことと受け止めているようです。そして、資源量が一時的に回復しているこのタイミングを逃さずに「個別管理」による資源管理に踏み出すべきだと力説しています。

残念ながら、今年のサンマ漁はスタートから不振をかこっているようですが、果たして著者の警句は現状の日本の漁業者に受け入れられるのでしょうか。

夜遅い時間に立ち寄った24時間営業スーパーの鮮魚売り場。買い手のつかないウナギのかば焼きのパックと、不漁不漁と叫ばれているにも拘らず半額シールが貼られてぎっちりと並んでいるサンマたちを見ながら、経済バランスの難しさを改めて考えさせられた次第です(とりあえずサンマの刺身はありがたく買わせて頂きました)。

<おまけ>

著者が勤務するマルハニチロは元が(いや、現役)漁業会社だったためでしょうか、このような書籍の執筆を本人名義で許したり、WEB上でも魚好きには嬉しい色々な企画を行う懐の深さを有しているようですね。そんな企画の中でこれまで取り上げて来たテーマを

ちょっと諏訪のお酒の話など(普段呑み限定)

ちょっと諏訪のお酒の話など(普段呑み限定)

New!(2017.9.18):2017年秋の上諏訪街道呑みあるきは9/23(土・祝日)に開催されます。2015年からチケット制となっており、今回は前売り2500枚、当日500枚の計3000名限定です。前売り券は残りわずかとなっております。詳しくはこちらの公式ホームページへ。

New!(2016.3.26):本日は2016年春の上諏訪街道呑みあるきです。当日券は前回同様800枚のみ、前売り券は全て完売しています。少し寒の戻りとなった土曜日、暖かくしてお越しください。

New!(2015.8.8):2015 年秋の上諏訪街道呑みあるきは、10/3(土)に開催されます。

参加するためには、事前予約ないしは、当日チケットを入手する必要があります(前売り券は2500枚で、価格は 2200円、当日券は800枚で価格は3000円。前回よりさらに当日券の発券枚数が減っていますので、どうしても参加されたい方は予約購入がほぼ必須となってしまいました。チケットの販売は8/3から開始されています。チケットの購入方法および、残りチケット販売枚数の確認はこちらの公式サイトへ

New!(2015.1.26):2015年春の上諏訪街道呑みあるきは、今回から主催が変更となり、事前予約制並びに当日チケット販売による定員制となります(前売り券は2000枚で、価格は2200円、当日券は1000枚で価格は3000円。既にチケットの販売は1/23(金)から開始されています。一部報道では、前回の参加者が3200名を数えたため、主催者側のオペレーションが困難となったとの事です。同じような経緯で、塩尻ワイナリーフェスタも定員制となりましたが、気軽に参加できる呑みあるきがこのような形でスタイルを変えていくのは、ちょっと残念な気もします。チケットの購入方法はこちらの公式サイトへ

New!:2014年秋の上諏訪街道呑み歩きの開催情報がアップされました。今年は10/4(土)に実施の予定です。詳細はこちらの公式サイトよりどうぞ。

長野は酒蔵が多い地域ですが、諏訪地方には特に酒蔵が集積しています。

それぞれの酒蔵が個性的なお酒を出されていますが、「諏訪の酒」に共通する特徴としては、使用する酒米の影響(美山錦、ひとごこち等の長野県で改良された酒造好適種の系統が多い)でしょうか、穏やかで落ち着いた飲み口のお酒が多いような気がします。

静かな夜更けに、のんびりと呑むにはとてもお似合いの飲み口ですね。

これまでに呑んだ各蔵の普段呑み(吟醸まで)のお酒についてちょっとだけ印象を。

  • ダイヤ菊(茅野)
    • 日本映画の巨匠、かの小津安二郎が愛飲したと云われる酒蔵ですが、現在では山梨の酒類量販店である戸田酒販の傘下となっています。
    • 「純粋 蓼科」(純米酒) : 地元での販売は「純米辛口」のラベルですが、観光客向けに720ml瓶で販売される場合はこちらのラベルが貼られています。諏訪のお酒らしい穏やかでさっぱりした飲み口。純米なのですが重さを感じさせないため、ついつい呑み過ぎてしまいます。普段の呑みには最適な一本。但し720ml瓶が観光物産品を扱うお店でしか買えないのが玉にキズ
    • 「本醸造ひやおろし」(本醸造):毎年、ひやおろしのシーズンになると、辛口の普通酒とセットで登場します。やや辛口で落ち着いた飲み口、さっぱりとした味わいながら、あとから旨味がゆっくり出てくる。実にひやおろしらしい、ゆっくりのんびりと呑みたい一本。720mlで1000円以下と地酒にしてはコストパフォーマンスが高いのもポイント。親会社の戸田酒販系列各店でのみ販売です。
  • 真澄(上諏訪)
    • 余りにも有名な諏訪、そして長野を代表する酒蔵。諏訪地域のあらゆる場所で入手できるので、呑みたい時にちょっと買って呑むことが出来るのは嬉しいですね。ブランド自体は「真澄」一本(通販向けに蔵元の名前を冠した「みやさか」といブランドもあり)なのですが、仕込み蔵自体は諏訪の蔵と富士見の入笠山の麓にある富士見蔵の2系統が存在します。諏訪蔵はバランス重視ですが、富士見蔵は明らかに淡麗指向です
    • 「辛口ゴールド真澄」(普通酒)普段呑み用の辛口です。常温で飲むと明らかにアル添らしく、日本酒の味とアルコール添加の味が分離した感じを受けますが、飲み口自体は決して悪くありません。辛口と表記していますが、どちらかというとすっきり旨口といった感じで、付け合せのつまみ次第では僅かに甘口とも捉えられる味です。ほんの少し燗を入れてあげるとアルコール添加の分が飛ぶようで、心地よい飲み口に変化していきます。寒い冬場にストーブで燗を付けながら呑むのに最適な一本ですね
    • 「本醸造 特選真澄」(本醸造)こちらは「ザ・日本酒」といった古風な味を残した一本です。メーカーの解説にもあるように、どちらかというと熱燗で立ち昇ってくる香りを楽しみながら、じっくり呑むといった感じの飲み口です。昔、親父が毎晩のように熱燗で楽しんでいた「剣菱」の香りを思い出します(酒米もこちらは兵庫県産の山田錦を使用しています)
    • 「吟醸 家伝手作り」(吟醸酒)前述の「本醸造 特選真澄」の吟醸酒版と言ったところなのですが、つくり自体はやや垢抜けた感じで、それほど古風な感じの造りではありません。逆に無個性とも捉えられそうで、真澄のラインナップの中ではちょっと埋没気味でしょうか。あまり積極的には選ばない一本です
    • 「純米酒 奥伝寒造り」(純米酒)こちらは「辛口ゴールド真澄」の純米版といった造りです。旨口を狙った造りであると言っていますが、諏訪のお酒なので、やはりあっさり目の仕上がりです。お値段の差とアル添が気にならなければ「辛口ゴールド真澄」で充分楽しめるので、こちらも積極的に押しづらい一本です。お土産でお買い上げの場合、同じ純米酒であるダイヤ菊の「純粋 蓼科」と比較して、透明感の高さ(ダイヤ菊)を取るか味わいを取るか(真澄)で選ばれればと思います
    • 「純米吟醸 辛口生一本」(純米吟醸)黒ラベルでおなじみの一本。辛口にこだわったほぼ冷酒専用の一本ですが、意外な程旨口系なのは真澄に共通する造りの特徴です。夏の暑い日にさっぱりとした付け合せに丁度いい一本なのですが、如何せん夏酒としては生酒がラインナップにあるので、棲み分けが難しい所ですね
    • 「吟醸 あらばしり」と「純米吟醸 あらばしり」(吟醸・純米吟醸。2015年の造りから、吟醸が純米に切り替わりました。酒米はひとごこちと美山錦です)こちらはシーズン物なので、毎年味が変わってきますし、若干落ち着きのない味なのですが、どちらも一般的に言われる「あらばしり」のような荒々しさは感じられません。むしろアルコール分が通常より数%高めなので、心地よく酔うのにはうってつけの一本です。年々ドライな感じに寄っていっているようで、ちょっと旨口を望んでいた側からすると物足りなさも感じさせます
      • 2014年の造りから、圧倒的な旨味と、甘やかさ。さわやかな切れ味をバランスさせる高アルコール度数を生かした味わいへと変わってきました。これは嬉しい変化です
      • 2015年は純米に変わりましたが、重たいというイメージを払しょくしたかったのでしょうか、旨味はそのまま甘やかさを抑えて、高アルコールの爽やかさと、むしろ吟醸っぽいさらっとした感じが全面に出た造りです。こうなると今年の純米吟醸の造りが興味深いです
      • さらっとしたイメージの2015年から一転、2016年は封を切った直後から甘やかな香り(甘露香)が瓶口から広がり、甘さの中にもまるでヨーグルトを思わせる爽やかさを持った、驚きの味わいに変化しました。2014年の造りを更に濃厚にしたような味わい、しかも軽快な飲み口を兼ね備える。ドライな造り傾きつつあった中での純米切り替え2年目にして、眞澄が遂に新境地に至ったようです。純米吟醸の造りが今から楽しみです
    • 「吟醸 生酒」(吟醸酒。2016年春の販売分からこちらも純米に切り替わりました)こちらは富士見蔵のみで醸される夏季専用の冷酒です。毎年造りが変わっていくのですが、こちらも年々ドライな感じになってきていますので、前述の「純米吟醸 辛口生一本」との区別がつきにくくなっています。最初の頃に飲んだ時に感銘を受けた、夏の涼として嬉しい「甘やかさ」が失われてしまったのはちょっと残念です。最近はシーズンの初めに味見に買うだけになってしまいました
      • 2014年の造りから新しい杜氏さんに変わった影響でしょうか、発売時に蔵元がコメントを入れなければならないくらいに舌がしびれるほどのドライになりすぎた反省からか、2015年の造りは吟醸あらばしりをクリアーに整えたような綺麗で、少し甘やかさも持ち合わせた味わいに変化してきました
      • 純米化した2016年は、やはり純米らしくドライな感じではなく、少し重めの大人しい造りになりました
      • まるで甘露のような魅惑の味わいとなったあらばしりから期待した2017年度の生酒ですが…自身の舌を疑う程にほとんど味がしないのです。当たりはほんの僅かに甘いが後で苦みが残り、香りも僅かに穀物由来のアルコール香が残るだけで、まるで焼酎を飲んでいるかのような気分に。杜氏さんのコメントでは大吟醸のような綺麗な味わいと自賛されていますが、2014年同様に蔵元の文面は盛夏には味わいが…と書かなければならない様子。純米化を目指した同じ眞澄でも、諏訪のお酒の味わいを引き継ぎつつ米の魅力を引き出すことを狙った諏訪蔵と、昨年、爽やかな空色から濃紺のラベルに変わったように、雨上がりのような軽やかでやや甘めの造りからスピリッツのような固い淡麗辛口にひたすら向かう富士見蔵で方向性が全く異なってしまったようです。皆様はどちらの眞澄がお好みでしょうか
      • 昨年、あまりの辛さにシーズン初めに1度買ったきりだった夏酒。シーズンが変わった2018年、今年はあらばしりでの味わいが夏酒にも好影響を与えたのでしょうか、甘すぎず、青葉のような清々しさが口の中に広がる夏酒らしい味わいへと生まれ変わりました。依然として後味にやや苦みが残りますが、これまでの眞澄にはなかった、新しくちょっと嬉しくなる味わい。杜氏さんのコメントでは今年から麹米をあらばしりと同じ、ひとごこちに切り替えたとの事。ここ数年、純米化へのコスト面の問題でしょうか、眞澄のお米の使い方が揺れ動いている影響を夏酒も受けていた事を独白する結果となった今年の造り。試される価値、大ですよ
    • 「純米吟醸 ひやおろし」(純米吟醸)こちらも季節限定の一本。真澄の中ではちょっと異色な旨口を全面に出してくるのですが、やはり諏訪のお酒らしく控えめな表現にとどまります。涼しい秋の夜長にじっくり呑みたい一本。これ以上ドライなテイストになって欲しくないと2013年版(9/9発売)を待ちわびながら
      • こちらも2014年の造りは、純米吟醸あらばしりの味わいをじっくりと落ち着かせた感じに仕上がっています。甘やかさとさわやかさを兼ね備えた眞澄がどうやら戻って来たようですね
    • 真澄 吟醸 生酒
  • 横笛(上諏訪)
    • 諏訪の蔵の中ではそれほどメジャーではないですが、以前は富士見高原に美術館を持っていたり(現在は蔵に併設されています)と名士としての風格を備えた蔵です。ここの特徴は春夏秋冬でラインナップを入れ替えて来ることでしょうか。市内での入手性は何故かあまりよくありません
    • 「純米吟醸生酒 夏穂の香」(純米吟醸)春夏秋冬でラインナップを入れ替えて来る横笛の夏のラインナップ。どのシーズンも同じなのですが、諏訪の酒らしくすっきりとしているのですが、穏やかで心地よい香りを残した造りが印象的な一本。横笛はどのシーズンでも少し和みたい時に呑みたいお酒です
    • 横笛 純米吟醸生酒 夏 穂の香
  • 本金(上諏訪)
    • 諏訪の蔵では最も小規模な蔵です。蔵元自身が「日本一小さな蔵元」と自嘲気味に述べているのが印象的ですが、諏訪界隈のお店ではかなりの頻度で見ることが出来ますので、地元密着ともいえる蔵です。現在の杜氏(蔵元さん)に変わってから、難病を抱えつつもコアな日本酒ファンに向けての積極的なアピールが目立ってきました
    • 「本醸造 からくち太一」(本醸造)前の杜氏である北原太一氏の名前を冠する本金の大看板。本金特有のマスクメロンの皮を思わせる爽やかでちょっと甘めの香りと辛口でありながら穏やかでうまみのある飲み口が飽きさせることのない一本。本醸造の割にはかなりお手頃の価格(720mlで800円台)なので、普段呑みにも最適な一本。冷酒が良いと云われますが、少し温めて香りを楽しむのもまた良い呑み方かと思います
    • 「純米 胡蝶」(純米酒)既に扱いが終了(本金 純米酒に統合)してしまっているようですが、本金特有の香りが楽しめる純米酒。ちょっと重めなのでぐいぐいと呑むお酒ではなく、ちびちびとゆっくり飲みたい一本です
    • 本金 本醸造 からくち太一
  • 舞姫(上諏訪)
  • 麗人(上諏訪)
    • ごめんなさい、舞姫と麗人はそれぞれ何本か呑んでいるのですが、纏まったコメントを書けるレベルではないので…。舞姫に関しては造りに妥協が無く、県外での評価は非常に高かったようですが、残念ながら高コストにより立ち行かなくなったようで、現在2度目の経営再建中です。そのせいでしょうか、地元ではあまり飲まれていないイメージがあります。一方、麗人に関しては地ビールに手を出したり、各種コラボレーションに積極的であったりと舞姫とは別の意味で地元以外へのアピールに積極的なようです
  • 御湖鶴(下諏訪)
    • 色々な所で取り上げられている蔵ですが、現在の杜氏さん(蔵元)の造りは明らかに諏訪の蔵の造りと違うのではないかと思っていますので、ちょっと割愛させて頂きます
  • 神渡(岡谷)
    • こちらは諏訪の酒蔵の中ではちょっと異色、酒蔵というより商社(昔の燃料屋)が手掛ける酒造元で、杜氏もかなり若手の方で占められています
    • 「本醸造 生貯蔵酒 氷湖の雫」(本醸造)生貯蔵酒なのですが、これといった特徴をあまり感じさせない冷酒です。キレは良いのですが、残念ながら旨味を感じさせないため「日本酒」である理由が余り湧いてこない一本
    • 「神渡 夏誂純米」(純米酒)こちらは同じ生酒でも夏季専用の一品。お米の旨味、切れ味、そして特徴的な涼やかな飲み口と、夏の暑い時期に呑むのに最適な造りが嬉しい一本。暑い日の夕暮れ、風呂上りに冷えた夏野菜を付け合せに呑むと爽やかになれること請け合いです
      • 2015年は特有の涼やかさが影を潜め、氷湖の雫同様に、ドライで淡泊な味わいに変わってしまいました。神渡自体がどれも淡泊な味わいの中、特徴的であった夏誂も同じテイストになると、ちょっと選ぶ楽しみがなくなりつつあります
      • 2016年は以前の特徴的な涼やかな味わいを再び取り戻しつつあります。年によって造りのブレ幅が大きい点は眞澄に似ているかもしれませんね(同じ年度物を商品として扱う横笛は常に穏やかな造りでブレが非常に少ないです)
      • 2017年はこれまででももっとも爽やかな仕上がり。ラムネを思わせる涼やかな味わいが湧き上がる一方、少し甘めながらもキレは落ちずにとても良いバランスに仕上がっていました。生憎の天気が続いたため、その涼やかさを楽しむ機会が少なかったのがちょっと残念なくらいです
    • 神渡 純米生貯蔵酒 夏誂純米
  • 高天(岡谷)
    • 地元密着系の蔵で、諏訪界隈の多くのスーパーなどでも取り扱いがあるため比較的入手性は良いです。価格もかなり抑えめなので日常呑みには嬉しい蔵です。最近は蔵元の娘さんが杜氏の修行中との事で話題になっています
    • 「高天 からくち 通」(普通酒)からくちを名乗っていますが、諏訪のお酒に共通の穏やかな辛口です。そして、諏訪の蔵に数ある普段呑み用の辛口の中でも最も旨口な一本でもあります。ちょっと昔の日本酒のテイストを残しながらも辛口らしく、すっきりと呑める、バランス重視の飲み口です

諏訪の酒たち

<おまけ>

  • 諏訪にある蔵のうち、上諏訪の5蔵は年に2回、共同で呑み歩きのイベントを行っています。今年秋のイベントはひやおろしも出揃い、新蕎麦のシーズンを迎えた10/5(土)に予定されていますので、ご興味のある方は是非お越しくださいね
  • nomiaruki2014年、春の呑み歩き情報はこちらからどうぞ
  • nomiaruki2014spring
今月の読本「二万年の奇跡を生きた鳥 ライチョウ」(中村浩志 農文協)ライチョウ研究のトップが静かに語る「奇跡」の今

今月の読本「二万年の奇跡を生きた鳥 ライチョウ」(中村浩志 農文協)ライチョウ研究のトップが静かに語る「奇跡」の今

New(2015.11.21):明日(11/22)夜に、NHKの動物番組「ダーウィンが来た!生き物新伝説」で南アルプスにおけるライチョウ保護活動がテーマとして採り上げられることになりました「ライチョウを守れ!ボディガード大作戦」。番組には、本書の著者でもある中村浩志先生も登場、本書でも語られる、より人間が関与する形でのライチョウ保護活動の現在の姿が放映されることになっています。既に番組ホームページには、ウラ日記として取材記が掲載されています(番組終了後には次回放送分に更新されてしまう筈なので、掲載は期間限定です)。番組は19:30より全国ネットで放送予定です。

New(2015.9.14):2004年を最後に飼育を中断していた大町山岳博物館でのニホンライチョウの再飼育に向けての準備段階である、近縁種であるスバールバルライチョウの飼育について、新装されたライチョウ舎が本年7月より公開となりました。こちらに新たに設けられたライチョウ舎の訪問記(大町山岳博物館の付属園です)を追加しました。

New(2015.5.26):大町山岳博物館における2004年を最後に飼育を中断していたライチョウの再飼育に向けて、各地で近縁種であるスバールバルライチョウの飼育が行われていましたが、いよいよ上野動物園と富山ファミリーパークにおいて、次のステップでもあるライチョウの人工飼育に着手することが決定しました。再びライチョウたちが信州の山々に舞い上がる日を願って。

何時もお世話になっている、八ヶ岳西麓最大の書店であり、夜9時(以前は10時まで)まで開いている為に仕事帰りの気分転換にもしょっちゅう立ち読み(ゴメンナサイ)させて頂いているi書店様は、場所柄、登山や、ガーデニング、農業関係の書籍も充実しています。

そんな訳で、都市部の書店では専門書のコーナーでないとなかなか取扱いの無い農文協(農山漁村文化協会)さんの本も普通に並んでいたりします。

農文協さんの本というと、どうしても専門書というイメージが強いのですが、以前ご紹介した職漁師伝」もそうですが、農漁業や自然関係のエッセイも結構出されています。

今回ご紹介するのも、そのようなエッセイ集として刊行された一冊。地元、信州大学名誉教授で、前日本鳥学会会長、他社や地元出版社でも多数の書籍を執筆されている中村浩志先生が専門のフィールドである鳥類、それも現在の研究テーマであるライチョウを全面に置いて書かれた一冊「二万年の奇跡を生きた鳥 ライチョウ」です。

ライチョウ本書では、著者が信州大学のライチョウ研究で前任である羽田健二先生から研究を引き継いでからの近年10年程に関するフィールドワーク、研究結果について一般読者にも判り易い形で書かれた書籍で、肩肘張った研究書でも、自然保護を前面の押し出したプロパガンダ的啓蒙書でもありません。

鳥類研究者として、ライチョウ会議議長として、ライチョウ研究の国内第一人者としての「ライチョウ研究の今とこれから」を丁寧に解説されている一冊です。

流石に多数の書籍を手掛けていらっしゃるだけあって、平易かつ説得力ある文章は読んでいて心地よく、知らず知らずのうちに読者をライチョウ研究のフィールドに誘ってくれます。

また、巻頭には四季の高山の風景に合わせて姿を変えていく貴重なライチョウたちの写真が16ページにも渡ってカラーで掲載されており、文章と写真を見比べることで、ライチョウの四季に渡る生活シーンがより理解しやすくなるように配慮されている点は非常に嬉しいです(その分、お値段が…)。

本文のスタートは衝撃の「ライチョウ釣り」からスタート(本当に釣竿の先に輪っかにしたワイヤー付けて釣り上げているんです)する掴みの上手さですが、その後で実はライチョウの研究に乗り気ではなかったという著者の偽らざる心境が語られます。

著者の主たる研究テーマはカッコウの托卵生態(巣の宿主が産んだ卵より先にふ化して、かつ宿主に育てさせるという非常に有名かつ、特異な生態)で、本当はライチョウ研究は片手間であったはずなのに、カッコウの研究が一段落した後に何故、再び厳しい環境でもある高山帯での研究に挑む決心をしたのかについても語られています(この決意の理由は最終章のテーマに繋がっていきます)。

50歳を過ぎて、再びライチョウの研究に立ち向かった著者のスタンスは、前任者である羽田先生とは対極を見せる「生態環境の完全解明」であり、個体識別のためには捕獲も辞さない(もちろん厳しい制約の元です)という立場を明確にしていきます。

その結果、これまで判明してこなかったライチョウの生態がこの10年間で飛躍的に解明される結果となったのです。

特に印象的だったのが、その地域の生息数の上限が、連年オスが縄張りを張れる領域(産卵と育児に適したハイマツの灌木が得られる地点)のスペースで規定されるという点でしょうか。

一般的な鳥類であれば、その卓越した飛翔能力を活用することで、生息域の拡大や、生息域の環境変化に対応した繁殖地の変更を比較的容易に行う事が可能です。

ところが、氷河時代以降、高山に孤立してしまったライチョウにとって、生息に適している環境は山々の高山帯に点在しており、点在している繁殖域を行き来するのは、高い飛翔能力を有しているといっても至難の業(なんといっても酸素濃度の低い高空を長時間無着陸で飛翔する必要があるのです)。結局として各繁殖地の面積、環境に非常に依存した繁殖活動しかできない事を個体識別で明らかにしていきます。

また、過去の研究成果との比較で、ライチョウの飛翔限界と過去の分布域、DNA解析による検討結果から、ライチョウが北方からどのように定着していったかを明らかにした点も非常に判り易く語られています。

この事から、非常に大きなニュースとなった70年ぶりの白山でのライチョウの飛来と、繁殖可能性(何故繁殖環境があるにも関わらず白山で雄雌ペアができないのか)についても説明されています。

そして、語られる内容は非常に深刻なテーマへと移っていきます。

前述のように、孤立した繁殖環境では種の保存にとって重要となる遺伝多様性が低下することは既に良く知られている事です。

以前であれば、ライチョウの飛翔能力によって補われていた点在する繁殖地間の往来も、気温の上昇による繁殖地の分断化が進んだため、南アルプスの群と北アルプス/頸城の山々の群に分かれてしまい、繋ぎとなる八ヶ岳の環境が改善しない限り、個体群の交流は絶望的な状況です。

更に、個別の繁殖地でも気温の上昇による高山植物の遷移(山頂の高さは決まっているので、最終的には消失に繋がります)による切迫感は、平均気温があと2℃上昇しただけで、絶滅に瀕するとの予測を打ち出しています。そしてここでも話が出てきてしまうシカの問題…。

25年ぶりに行われた個体調査の結果は、見事に上記の懸念を裏付ける結果となってしまい、南アルプスの個体群は大幅に減少している事が明らかになっています(報道等でご承知かとは思いますが、南アルプスでは高山植物が食害で激減、対抗策として高山帯でシカを捕獲、ヘリで地上に下ろすことを試さなければいけないほど、事態は切迫しています)。

それほど厳しい状態に置かれているライチョウですが、奇妙な事に警戒心に乏しく、人に対しても殆ど無関心を貫いています。

高山帯という非常に限られてはいても競合の少ない環境で生育している事が大きいのでしょうか、写真で見るライチョウの育児シーンはとてもおおらかな感じが伝わってきます(調査の結果でも、ヒナの死亡率で最も高いのはふ化後の気温低下による凍死であり、食害は思いのほか少ない)。そして、高山を目指す登山客にとって貴重なライチョウとの出会いは大切な思い出となっているはずです。

著者は、海外のライチョウ類(狩猟対象でもあります)の生態と比較しても特異なこのライチョウの生態を日本人の山岳信仰、農村での生活環境、そして里山と神々の峰ともいえる高山帯との峻別にその理由を求めようとします。

そのすべてに同意する事は出来ないのですが、ライチョウという鳥が、極めて限られた自然環境に守られて育まれた結果であることは間違いないようです。そして、その環境を底辺で支えていたのが人々の生活であったのであれば、何をしてあげることがライチョウの未来を繋げてあげられるのか、おのずと見えてくるような気がします。

著者が最後に投げかけている「ライチョウは生き残れるのか?」という問いに、現時点で解は無いのかもしれません。しかしながら、同じ環境を共有する我々に課された課題は非常に大きいと云わざるを得ない事を感じながら帯に書かれた「奇跡」の二文字を改めて見た次第です。

<おまけ>

農文協さんの本で以前に取り上げた本をご紹介します。

  • 今や絶滅しつつある川をフィールドとして生活の糧を得ていた漁師の姿を、同じフィールドを生きるアングラーの視点で描く「職漁師伝」(戸門秀雄)こちらにて書評を書いております
  • そして、今回の本でも取り上げられています、野生動物の急激な生態の変化について、無人カメラを駆使して撮影され続けている動物写真家、宮崎学氏の著作。この写真集を手に取った後で、八ヶ岳南麓にお越しになれば、あらゆる山裾、畑、田圃が電流柵とネットで覆われてしまった理由が判ると思います。自然保護という言葉は、その地に生きる者にとって軽くない「イマドキの野生動物」(宮崎学)
  • 職漁師伝とイマドキの野生動物