古い面影を残す二つのお堂が残る小邑(諏訪郡富士見町木ノ間集落)

国道20号線の山梨/長野県境。普通なら県境が峠になっているものですが、県境の国境橋を越えても道はひたすら上り続けていきます。瀬沢の大カーブを更に上り詰めると、ピークの富士見峠を中心に広がる富士見の市街に入っていきますが、その途中、青看板の標識で入笠山の方へと向かう、「とちの木」というちょっと不思議なひらがな表記の案内が表示される信号があります。

とちの木から八ヶ岳遠望信号を左折して振り返ると、雄大な八ヶ岳の裾野が見渡せます。

小高い丘を廻りこむと、急峻な富士見峠とは打って変わって、入笠山と丘を挟んだ丘陵地が目の前に広がってきます。丘陵地と釜無川の支流、武智川に挟まれる狭い場所に古い集落が伸びていきます。

とちの木から木の間集落の入口左に行くと、眞澄の富士見蔵、更には釜無川源流へ至る林道(途中まで進入可)に繋がっています。

九ツ塚集落の入口には、梵字の書かれた古びた石碑と富士見町が設置した解説板が設けられています。石碑の右側には「九ツ塚」と書かれた碑が建てられています。

九ツ塚解説板戦国時代の武田方と信濃勢の合戦の跡を伝える塚の跡。既に位置が変えられているようですが、この道が旧来より往来として使われていたことを示す跡でしょうか。

再び道に戻って、ルート通りに抜けていくとパノラマスキー場の麓を通って再び国道20号線に合流していきますが、正面の細い道に入ると、いきなりタイムスリップしたかのような、古びた家々が立ち並ぶ集落に入り込んでいきます。木ノ間集落です。

木の間阿弥陀堂戦前を思わせるような、古びた佇まいを見せる木ノ間集落の家並み(個人宅のため写真はご勘弁を)。そんな谷沿いに伸びる小さな集落の中に、なんと古風な小さなお堂が二つもあります。まずは、集落の中心部、公民館の向かいにひっそりと建つ藁葺のお堂。

正面はアルミサッシの雨戸が付けられてしまっていますが、趣のある佇まいを見せています。正面に掲げてあったであろう額は外されてしまっています。奥にも額が掲げてあるのですが、庭先は私有地のようですので撮影はここまで。木の間阿弥陀堂の銘板柱に掲げられた銘板には「諏訪百番札所/東三十一番/阿弥陀如来/大弥堂」と記されています。屋根の上、擬宝珠の下にも同じように書かれているようなのですが、どうも文字が異なっているようで気になります。

木の間観音堂道を挟んで反対側にもう一棟のお堂が建っています。こちらは内陣が開け放たれており、お堂の中には金色に輝く仏像を見る事が出来ます。木ノ間観音堂です。隣の阿弥陀堂もそうなのですが、諏訪の神社特有の「御柱」は、こちらのお堂には見られません。

木の間観音堂の銘板こちらの銘板には「諏訪百番札所/東三十番/聖観世音/観音堂」と書かれています。

阿弥陀堂の方は消えかかってしまっている奉納札ですが、こちらは辛うじて読む事が出来ます。左端には「寛政三年」との年号も見えます。また、奉納俳句と書かれた額には昭和六十三年に改修された事が記されています。

木の間観音堂の内部観音堂の内陣の様子です。丁寧に管理されている様子が見受けられます。

観音堂と呼ばれていますが、厨子の横の木札には「虚空蔵菩薩」と記されています。

木の間観音堂の解説板裏に回ると解説板が用意されていますが、観音堂の由来の解説というより、同じ敷地内に収められている六地蔵の由来を示す解説文となっています。

遥かに遡ること南北朝時代の年号が記された六地蔵。当地に移されたのが天文十四年と戦国時代。どちらにしても古い由緒を伝える観音堂のようですが、実際に現在の建物が何時頃建てられたものなのかは何処にも書いてありません。絵札に書かれているように、江戸後期なのでしょうか。

木の間観音堂の六地蔵1観音堂の裏手に、解説板で示されている六地蔵の石幢があります。

先ほどの九ツ塚の解説にもあったように、周辺で祀られなくなった石像や石碑がこちらに集められているようです(お隣の阿弥陀堂にも大きな石碑や多宝塔がひっそりと立っています)。

木の間観音堂の六地蔵2石幢の中をアップで。判りにくいですが、六面のお地蔵様が中に見えています。

まるで時の流れが止まったかのような古い集落と小さなお堂。急ぎ足で登っていく国道をほんの少し脇に入ると、意外な風景が見えてきます。

<参考>

「とちの木」(栃の木ではありません)の地名由来にご興味のある方は、こちらのサイト(八ヶ岳原人さんが主宰する「諏訪大社と諏訪神社」)が参考になるかと思います。

 

広告

古い面影を残す二つのお堂が残る小邑(諏訪郡富士見町木ノ間集落)」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: 「花子とアン」で脚光を浴びる蔵座敷を訪ねて(韮崎市民俗資料館と蔵座敷) | 八ヶ岳の南麓を彷徨って

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中