曇天が続く高原は早くも秋模様(標高1000m超の蕎麦畑より)2014/8/30

天候不順な今年の夏。遂に8月の週末は殆ど日差しに恵まれないままとなってしまいました。

これでは今年の秋の収穫がとても気になりますが、それでも僅かな日差しを精一杯取り入れて、作物たちは一生懸命に花を咲かせ、実を結びつつあるようです。

南アルプスと水田久しぶりに晴れ渡った朝に撮影した南アルプスを望む水田で(Lumia1020)。

稲穂は随分色を付け始めてきました。標高の高いこの地での刈り入れはとても速く、標高1200m辺りの水田耕作限界高度付近では9月の連休頃には始まります。

曇り空の蕎麦畑2そして、田圃の実りの少し前には蕎麦の花が咲き始めます。厳し気候に耐える蕎麦たちは、この悪天候が続く今年の夏にもめげずにしっかりと育ってくれているようです(Lumia1020)。

曇り空の蕎麦畑2甲斐駒を遠く望むこちらの蕎麦畑は標高1000m弱。まだ蕎麦の花は開花を始めたばかりです(E420)。

曇り空の蕎麦畑4標高を一気にあげて八ヶ岳の懐、1100m辺りまで登ってみます。

ここまで来ると水田はもう見えず、一面に蕎麦畑が広がります(E420)。

曇り空の蕎麦畑5正面は八ヶ岳なのですが、残念ながら雲の中。少し青空が見えてきました(E420)。

曇り空の蕎麦畑6青空と蕎麦の花たちを。標高の高いこの一帯では既に満開を迎えています(E420)。

曇り空の蕎麦畑3雲の切れ間から、ほんの少し八ヶ岳の山裾が顔を覗かせてくれています(E420)。

蕎麦の花小さく可憐な蕎麦の花を。この花一つ一つがそばの実を結びます(E420)。

曇り空の蕎麦畑8淡い青空を見せる西の空は午後3時を過ぎると少しずつ色褪せてきます(Lumia1020)。

夕暮れの蕎麦畑夕暮れを迎えた標高1200mの蕎麦畑。遠く入笠山を望みます(Lumia1020)

赤蕎麦の花所によっては赤蕎麦が植えられている場所もあります。白い花と入り混じって咲いている赤蕎麦の花を(Lumia1020)

蕎麦畑から八ヶ岳を望んで諏訪郡富士見町、立沢の圃場にある蕎麦畑から漸く顔を見せてくれた八ヶ岳を遠望(Lumia1020)。

既に秋の装いとなった八ヶ岳の南麓。少し早い秋を探しに来てみませんか。

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スズキの欧州向け新モデル「VITARA」登場でどうなるSX4とエスクード

New!(2016.2.22) :国内ではなかなか見られないVITARAのインプレッション。偶然にも(元)Top Gearのジェレミー・クラークソンが連載で書いた記事の日本語訳が「海外自動車試乗レポート」さんのサイトに掲載されています。まぁ、彼の人となり(少なくともTop Gearをご覧になった方でないと)をご存知の方でないと楽しめない記事ではありますが、流石にツボは心得ていますし、スズキユーザーなら私を含めて納得の内容でしょう(彼のジュークのインプレッションと比較すれば、物凄く好意的である事が判る筈)。

New!(2015.10.15) :既にプレスリリースでも公表されいるように、新型エスクードがデビューしました。詳しくは公式サイトをご覧頂ければと思いますが、SX4 S-Cross同様、輸入車としての取り扱い(販売目標も、SX4 S-Crossの倍とはいえ、僅かに1200台/年)という、余り販売することを重視していない扱い、更には現行エスクードも併売と、色々な意味で首を傾げるデビューとなりますが、質実剛健な(アウトランダーのフォルムとランドローバー・イヴォーグのサイドビューのmix)小型SUVが欲しいという層もきっとある筈ですよね。

新型エスクードフロントビュー

新型エスクードサイドビュー

早速展示車が入ってきた諏訪のディーラーさんにて。フロントはかなりの肉厚顔でちょっとごついですが、サイドビューは数値以上に伸びやかなイメージを与えます。但し、実際には長いボンネットにショートキャビンと居住性はあまり期待しない方が良い(その部分をカバーするのはSX4 S-Crossの役割ですね)かもしれません。

New!(2015.9.30) : 欧州向け「VITARA」の国内モデルとなるNew ESCUDO(エスクード)発売が遂にアナウンスされました。正式なプレスリリースはこちらの公式ページをご覧頂ければと思いますが、10/15から発売開始予定となります。今回のモデルは既にアナウンスの通り、SX4 S-CrossをベースにしたFFモデルに生まれ変わります。また、特徴としては欧州向けモデル同様に、スズキ初となる6速ATが搭載されます。SX4 S-CrossがCVTなのになぜ6速ATまで用意したの?という疑問が湧かない訳でもありませんが、初代SX4の4速ATと比較すれば大進歩。ボディサイズも下記の欧州モデル同様で、SX4 S-Crossより全長がやや短いため取り回しも良いかと思われます。ガソリンエンジンモデルがお好みで、ジュークやデュアリスでは物足りなく、Xトレイルが大きくなり過ぎたとお嘆きの方、Subaru XVの全高が低いSUVテイストの薄さと全長が長すぎるのが気になる方、HONDAやMAZDAの4WDにちょっと懐疑的な方は、比較に加えたいモデルかと思います。もちろん、エスクードからのお乗換えも。

New! : 2015年2月19日:遂にSX4の後継モデルSX4 S-Crossの国内版が正式にアナウンスされました。

SX4 S-Crossスズキアリーナ諏訪に置かれていたSX4 S-Cross試乗車(2015.3.6)

詳細は公式サイトをご確認いただければと思いますが、プレスリリースにありますように、輸入車扱い(年間600台とこれも輸入車的)という事で、ちょっと不思議なデビュー。しかも初めから初代SX4以上にレア車になること確定な登場となりました。

イメージ的には小さなアウトバックという位置付けですので、subaruのXVや日産のジューク、これから出てくるマツダのCX-3がどうしても腑に落ちない方への選択肢として用意されていると考えたいところです。

こちらの販売店さんのサイトにカタログの内容が写真で公開されてます。ご参考まで。

New! : 2015年2月11日:発売が近づいてきました新型SX4 S-CROSS。正式名称には「SX4」の名称が残るようです(これ、車名を変えると認可関係の取り直しand看板の付け替えとかが発生するのを避けたのでしょうか)。こちらに販売店さんによる先取り情報も出ています。発表は2/18or19になるようです。

New! : 2015年1月21日 : 一部ニュースサイトで前触れが出ているようですが、どうやらSX4 S-CROSSが国内販売名S-Crossとして2月にデビューするようですね。日経の電子版(要会員登録)にも年内導入の記事が載りました。既に実車の走行シーンを収められている方もいらっしゃるので、かなり確度の高い情報かと思います。

New! : 2014年11月1日

遂にこの日がやって来ました。2006年7月から数えて8年3ヶ月。国産車としては異例とも思える長期にわたる販売期間を経て、後継車種を迎えることなくSX4は終売となりました。

既にsuzukiのホームページから、SX4並びにSX4セダンの紹介およびページへのリンクは切断されています。

New!:遂にパリショーが始まりましたが、早くも海外サイトでは写真とスペックの公開が始まっています。

  • こちらのサイトや、こちらのサイトによりますと、やはりプラットフォームはSX4 S-CROSSのキャリーオーバー、エンジンも1.6lのガソリンとディーゼルで、期待されたダウンサイズ直噴エンジンは間に合わなかったようです。但し、ミッションがSX4 S-CROSSのCVTではなく、6速オートマと記載されており、ちょっと興味深いですね。
  • こちらのサイトには、写真が多数掲載されていますが、テイストはやっぱり某世界的SUVメーカーの最新モデルと某ドイツ系メーカーのモデルのハイブリットといった感じで、狙い通りなのでしょうが現行のSX4とは大分方向性が違いますね。
  • サイズの情報も出てきました。こちらのサイトによると、 全長:4,175mm、全幅: 1,775mm 、全高:1,610mmとなっており、SX4と比べると全長は40mm、全幅は20mm、全高は5mm大きくなってますが、それほどのサイズアップにはなっていません(SX4 S-CROSSと比べると125mmも短い)。もし国内で販売されることになれば、ジューク及び今後発売が予想されるマツダのCX3が完全に競合対象になりそうです(2014/10/3追記)
  • 公式プレスリリースはこちらにて。国内販売については言及されていません

昨年のフランクフルトショーでデビューを飾ったスズキの新型SUVコンセプトモデル「iV-4」ですが、1年の時を経て、遂に正式モデルとしてパリショーでのお披露目が決定しました。

正式名称は「VITARA」。早くもパリショー向けのスペシャルサイトがオープンしており、スズキのやる気が見えるようです。

現時点で公開されている情報から判断しますと、昨年のiV-4の際に公開されていた情報通り、現行型(欧州で)のSX4 S-CROSSと同じFFベースのプラットフォームであることは間違いないようです。

エンジンについては、4/16に行われた技術説明会で述べられているように、世界的にエンジンのラインナップを整理する事が公表されています。しかしながら、登場が予定されている1.4lクラスのダウンサイジングターボが今回搭載されるエンジンとして果たして間に合うのかどうかが微妙で、現行の欧州版SX4 S-CROSSに搭載されている1.6lのガソリンと、同じくディーゼルがキャリーオーバーされるのではないでしょうか。

もし、開発を公表しているダウンサイジングターボ(直噴であることが謳われています)が搭載されれば、大きな話題となりそうです。

※技術説明会のプレゼン資料はスズキのホームページからダウンロードできます。ここ数年以内に投入される新技術の動向が紹介されており、ファンの方には必見の内容ですよ。

駆動系についても、SX4 S-CROSSと同じALLGRIPと呼ばれる、SX4(国内版)で使われているi-AWDの進化版となる電磁クラッチ式の4WDが搭載されることは既に公表されており、スポーツモードと称する、後輪への駆動をある程度維持し、旋回時などに後輪へ積極的に駆動を配分する(国内現行版のSX4は通常走行時には後輪にほとんど駆動を伝達しない)モードが追加されるはずです。

ここまでは予測が立つのですが、問題はボディサイズです。写真を見る限り、サイドビュー、特にCピラー以降はやや短めにも見ますし、SX4 S-CROSSがどちらかというとアウトバックの小型版のような腰高ステーションワゴン風にモデルチェンジしたので、エスクードの後継となるVITARAはショーモデルであったiV-4同様に、少しショートボディ、ハイデッキにしてSUVの雰囲気を高めてくる可能性が高いように思われます。

こちらについても、前述の技術説明会で開発が公表された新Bプラットフォームをベースとしているならば、初採用となりかなりのインパクトがありそうです。

それにしてもデザインの方は、SX4 S-CROSSがまるで東南アジア車かとも呼ばれた不思議なフェイスに比べるとよほど安定しているのですが、マスクはVWに寄せてきたというか、サイドビューとバランスはランドローバーから拝借したというか、フロントは一世代前のフォレスターを意識し過ぎたというか…。デザインモチーフそのものは現行のエスクードに極めて似せていることからもデザインの連続性に配慮したのだろうという事は容易に理解できるのですが、ちょっとコンサバすぎる感じもありますね。

もっとも、SUV乗りの方は意外とコンサバの方が多いようですので、世界的に見れば的を得ているともいえるかもしれません。特に、デザイン的には挑戦気味でもあったSX-4 S-CROSSの販売がやや苦戦している模様ですので、ここでしっかり足固めという配慮もあったのかもしれません。

さて、実際の発表まではあとひと月以上先なのですが、どんな仕掛けが用意されているでしょうか。そして、最も気になるのは海外では併売中の(日本だけ現行)SX4の将来と、そして直接後継モデルが登場したことになるエスクードの扱いですね。エスクードに関しては、貴重ではありますが既に旧態依然のプラットフォーム(三菱はよくパジェロを維持しているなあと…、でもランクル70が再販するくらいですからね(笑))なので、第三世界向けに継続生産する可能性はありますが、国内はこれでカタログ落ちになるのではないでしょうか。

そして、SX4 S-CROSS登場後、1年も販売が続くとは思っていなかったスーパー不人気車でもある我がSX4ですが、こちらもいよいよ命脈が尽きる時が来たようですね。不人気車の車名は継承しないという暗黙のルールからすれば、VITARAもとい、エスクードに統合されるような気がしています。

果たして新たに登場するVITARAが、拡大基調にあった時代に欧州向けに用意されたSX4を始祖とするWRC制覇を目指した旧Cプラットフォーム+現行M型エンジン組み合わせによる最後のテコ入れとなるのか、それとも身の丈に合った規模に整理中のスズキにとって、小型車の命運を一身に背負うSWIFTの前座として新Bプラットフォームを纏い、ダウンサイジングターボを搭載して復活を期した華々しいデビューを飾るのか。どちらにしても楽しみな新型のデビュー。情報の更新をもう少し待ちたいと思います。

今月の読本「熊谷直実 中世武士の生き方」(高橋修 吉川弘文館)郷土の豪勇への熱い眼差し

今月の読本「熊谷直実 中世武士の生き方」(高橋修 吉川弘文館)郷土の豪勇への熱い眼差し

毎月新刊が出るのが楽しみな吉川弘文館さんの「歴史文化ライブラリー」。特定の時代や視点に囚われず日本、そして時には海外までをも含む広範な歴史、文化について、一線の研究者の方々による最新の研究成果を判りやすく紹介してくれる、とても嬉しいシリーズです。

本日は今月刊行された一冊から、平家物語や所謂源平合戦(治承・寿永内乱)の名脇役として、時には合戦絵巻を彩る主演としても扱われることのある、豪勇の士の生涯を真正面から扱った「熊谷直実 中世武士の生き方」(高橋修 吉川弘文館))のご紹介です。

熊谷直実あとがきにもありますように、本書は著者が奉職する茨城大学での講義資料をベースに書かれています。そのためでしょうか、記術の手法も、教科書にあるように記述が前後してしまう内容ついては、後述場所を指示する補記を丁寧に入れる事で、内容の重複によるページ数の増加と、ページを前後する事による通読性を悪化させることを防ぐような配慮がなされているようです。また、記述の内容も極力平易にしており、初学者でも非常にとっつきやすく、スムーズに読むことが出来るように配慮されています。但し、読み下し文には極力原文に近づけた文も併記する事で、出来る限り原文でも読んでもらいたいという、研究者・教育者としての著者の配慮も見受けられます。

平易で丁寧な筆致と読みやすい構成のおかげで、この時代の歴史的展開についてある程度の知識を有していらっしゃる方ならすいすいと読めてしまう点は(私の場合で、中断しながら3時間ちょっとくらいでしょうか)、読書時間が限られているにも関わらず、隙あらば知的好奇心を満たして欲しいと思い、購入して読む側としてはとても嬉しかったことをまず留めておきたいと思います。

そして、著者が「熊谷市生まれ」であることが、本書の筆致を更に特徴づけているようです。

本書の主人公である熊谷直実は、多くの歴史を動かした英雄や偉人たちとはちょっと毛色が異なる人物。東国一の勇者であることは異論がないようですが、その出自もあやふやで、居並ぶ御家人たちと比べると勢力も極僅かなものであったのかもしれません。そんな小武士にも関わらず、これだけ著名となった所以でもある彼の生き様はまさに愚直。愚直さゆえに数々の奇行とも捉えられる事件を起こし、それゆえに周囲に愛され、最後には自らの奇瑞を以て滅する事を願うという自己中心的にも甚だしい生涯かもしれません。

本書では、その愚直なまでの生き方が災いして、後世(現代を含む)にあらゆる誤解の種を生み、その華々しい活躍故に、歴史編纂上利用されてきた彼の行跡を、最新の研究結果を踏まえながら著者独自の見解で見直していきます。しかしながら、そのアプローチと記述は時に研究者による学術書の制約を逸脱している部分もあるようです。

元々の庇護者であった久下一族との熊谷領を巡る確執や、有名な一の谷の合戦から導き出される直実の宗教観に対する見解。武家社会と袂を分かつきっかけとなった流鏑馬的立役拒絶や御前対決に対しての直実、そして主君である頼朝の想い。法体となった後の伊豆山での機縁、その後の法然との交わりと法然の直実(蓮生)への想い…。

これらの記述に対して、著者はあとがきで贔屓であろうかと述べられていますし、その筆致に大きな懸念を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。

でも私にはこれで良いのだと思いました。南関東に生まれた私にとって、子供の頃から慣れ親しんだ東国武士の中でも畠山重忠(万騎が原古戦場を裏庭として遊び、育ちました)と並んでヒーローの一人であった直実の生き様を、もしかしたら同じような想いで郷土である苗字の地を開いた、いにしえの偉人の事績を愛情を込めて描いていく。但し、研究者として最新の研究成果(吾妻鏡の読みこなしや年代挿入など)をきっちりと踏まえつつ、誤解を改め、より正確な描写を心掛ける。でも最後は、その愚直な生き方、死を賭して全ての人々を救おうと、在所に再び戻り、死の瞬間まで自らの信仰の力を高めていく真摯な想いを伝えたい。

本シリーズの刊行のことばにある、学問成果にもとづいた「知的冒険の旅への誘い」。コンパクトで非常に読みやすい本書を通じて、中世東国武士の物語や、その歴史の息吹に触れてもらうことで、よりいっそう中世の日本史に興味を持ってもらえる。魅力的な人物を知ることで、その背景にある歴史的な事象へと更に興味が広がる。地元の史跡を歩くことで古を訪ね、郷土の成り立ちと変遷に想いを馳せる。

本書はもしかしたら著者の歴史研究者へのアプローチと重なる、そんな想いを込めて、郷土の愛すべき偉人の生き様をより多くの方に伝える為に書かれた一冊なのかもしれません。

<おまけ>

以前ご紹介した吉川弘文館より刊行された歴史文化ライブラリーのシリーズ、及び関連書籍のご紹介。

 

雨降りの夏の午後は還る場所へと(嬬恋村バラギ高原と鎌原観音堂)

夏になると必ず訪れたくなる場所。そこは昔過ごした夏休みの想い出が詰まった場所。

高校、大学の学生時代に幾度となく訪れた懐かしい場所。

何時も夕立でずぶ濡れになりながら遊んだり、走ったり、夜になるとロケット花火を投げ合ったり(危ないので止めましょう)、飲んだり朝までしゃべり尽くしたり…。

そんな想い出を探すために、今年もロングドライブでその場所に向かいます。

群馬県嬬恋村。ご存じのように、本当にキャベツと浅間山しかない場所です。

嬬恋村のキャベツ畑遠望キャベツの出荷の為に作られたパノラマラン沿いには、延々とキャベツ畑が広がります。

嬬恋村のキャベツ畑から浅間山遠くに浅間山を望む山肌には、びっしりとキャベツが植えられています。

嬬恋村のキャベツ畑から浅間山を2雨に打たれて瑞々しいキャベツたち。この風景を眺めたくて、夏になると度々嬬恋村を訪れます。

それまで食べるのがあまり好きではなかったキャベツを食べるのが大好きになった場所。

合宿をしていた宿舎で朝に夕に取り放題で出される採れたてのキャベツの美味しさは格別。この場所で、この広々とした空の下でキャベツの柔らかさ、瑞々しさを教えてもらったと思います。

場所こそ違え、今もこうして高原地帯に居を構えている、憧れの原風景がここにあるのかもしれません。

霧に霞むバラキ高原のキャベツ畑そして、ひたすらキャベツの苗が畑に続く台地の上。周囲は霧で真っ白になっています。

嬬恋のキャベツ畑でもどん詰まりのひとつ。集荷場のあるここより上側には一般車が入れる道路はありません。

キャベツ畑の裏手には運動場。そして、谷間には小さな湖とキャンプ場が広がっています。

嬬恋村の西端に位置するバラギ高原。今は無印良品のキャンプ場が出来たり、綺麗なスキー場(二度目の破産も…)もありますが、元々は辺鄙な開拓途上の避暑地、スキー場。ここに来るのは余程の物好きか、さもなければ関係者…。

そんな関係者だった頃を懐かしみながら、今も変わらず地平線まで伸びるキャベツ畑を眺めに来たくなるのです。今の自分をもう一度見つめ直すために。

少し感傷に浸りながらも折角ここまで来たので、もう一か所寄り道です。

嬬恋郷土資料館2吾妻川を挟んで反対側。浅間山の麓、鎌原にある嬬恋村の郷土資料館です。

嬬恋郷土資料館1表の看板にありますように、こちらは浅間山の天明大噴火に関する資料を展示しています。

少々お疲れ気味の建物、展示内容ですが、館内でご覧いただけるCGを組み合わせた天明大噴火の解説ビデオは、火山との共存を訴えている意味で未だ色褪せていません。

鎌原観音堂そして、資料館の裏手には、日本のポンペイとも呼ばれ、浅間山より発した「土石なだれ」によって石段が埋められたことでも有名な鎌原観音堂があります。

鎌原観音堂説明板観音堂にある発掘の模様を示した解説版。詳細と発掘成果の一部は郷土資料館の内部に展示されています。

鎌原観音堂の土石なだれに埋もれた階段大分埋もれてしまっていますが、橋の下には発掘で掘り返した「土石なだれ」で埋まった石段を掘り起こした跡を見ることが出来ます。流れ出した噴出物は6m以上も積もったと謂われています。

嬬恋村から雲海の浅間山今は静かな浅間山。でも、おびただしい破壊力を秘めている山でもあります。火山と寄り添って生きていくことは日本人の宿命。防災の観点を含めて生きた研究素材でもある浅間山とその麓に広がる高原地帯は、表側の軽井沢と違って、観光やお買い物にもあまり恵まれず、見所も少ないのですが、歴史的背景からくる、その素朴さと雄大さから、何故かいつも気になる場所でもあります。

浅間山の噴火地図1:50000お土産で買った、群馬大学の早川由紀夫先生による噴火地図(こちらは1:50000、他に1:25000もあり)。ジオパーク関係の地形図でおなじみの、荻原佐知子さんの手による美しい鳥瞰図の色分けを眺めながら、繰り返される噴火の様子を頭に思い浮かべて(こちらの地図はハザードマップとしては作られていません。あくまでもフィールド解説用です)。

南牧村のちょっと不思議な「日本のおへそ」(市場坂の平面直角座標系第Ⅷ系原点)

南牧村のちょっと不思議な「日本のおへそ」(市場坂の平面直角座標系第Ⅷ系原点)

漸く雨が止んで青空が見え始めた八ヶ岳周辺。

今日は東麓側から北上するのですが、その途中でちょっと気になるポイントに寄ってみます。

市場坂より夏空と男山国道141号線の市場坂。ここから佐久方面に急坂を下ると、海ノ口。この先はその昔、八ヶ岳の噴火によって千曲川がせき止められて湖のようになっていたことから「海」の地名が付いているとも謂われています。谷筋を挟んで正面には鋭く尖った男山が聳えています。

WP_20140816_11_19_35_Pro市場坂から少し野辺山方向に登った先にある「市場」交差点。この交差点を奥に入ると川上村の心臓部、台地の上に広大なレタス畑が広がっています。信号の手前にちょっとした看板が掲げられています。

看板には「平面直角座標系第Ⅷ系原点(日本のおへそ)」という、奇妙な案内が書かれています。すぐ脇に駐車場があるので、車を止めてみます。

第Ⅷ系原点と市場坂史跡1駐車場には「海ノ口馬市場跡」と書かれた、地名の由来を表す石碑が建っています。

第Ⅷ系原点と市場坂史跡2石碑と並んで、若山牧水の歌碑が建てられています。駐車場の奥には芝生の小公園とゲートボール場が広がっています。

第Ⅷ系原点の全景公園の入口に目的の物があるようです。解説を記した石碑と、その左にどうやらその「原点」があるようです。

石碑に書かれた内容を掲載します。

—引用ここから—

「平面直角座標系 第Ⅷ系原点」

経度 東経138度30分0秒0000

緯度 北緯36度0分0秒0000

楕円体である地球上の位置は、経度緯度と平均海面からの高さで表示すると測量法に定められていますが、球面上で長さや面積を計算するには少々複雑な計算が必要です。

そこで、場合によっては義務教育でも習う数学のX座標、Y座標、Z座標を用い、メートル単位の数値を使って平らな紙の上で簡単に距離、方向、高低差、面積などを計算できるようにしていますが、これを「平面直角座標法」と言います。

測量法では、日本を十九の区域に分けてこの平面直角座標系を定めていますが、この地が、長野県、新潟県、山梨県、静岡県が属する第Ⅷ(八)系の公共測量の原点です。

平面直角座標系第Ⅷ原点図示—引用ここまで—

何故、この場所を「おへそ」と称するのか、詳しくは南牧村の解説ページをご覧頂きたいのですが、ちょっとこじつけですよね(笑)。それでも、測地を行う方にとってはとても大切な原点であることには間違いありません。

第Ⅷ系原点1こちらが原点の標識です。水準点とも似ていますが、ちょっと異なるようです。

第Ⅷ系原点2アップでご覧頂くと、本来の原点の横にガラス板で何やら別の記載が張り付けられています。

第Ⅷ系原点拡大何と、東日本震災で原点が動いてしまったことを示すためのモニュメントらしいのですが、赤いクロスマークで描かれた原点表記と現在の原点の移動量が意外なほど大きいのです。標記されている移動量は、

東へ0.257m(96度42分35秒)

上へ0.091m

震源からはるか離れた内陸のこの場所でも、20cm以上も地殻が変動したことになります。

第Ⅷ系原点3現在の標識と、実際の原点の違いを解説する解説板の裏側。巨大地震のすさまじさを実証する貴重な記録です。

第Ⅷ系原点4原点の周囲には「防衛石」と呼ばれる原点を保護する石が配置されていますが、モニュメント的に四隅それぞれに四つの県から運んできた石を用いています。

下:静岡県、河津の海岸

上:新潟県、魚野川中流

右:山梨県、笛吹川中流

左:長野県、千曲川源流

こんなところにも拘りを見せる、自称「日本のおへそ」。でもそんな呼び名をわざわざ付けなくても、充分貴重な場所であることは判ります。

野辺山の夏空比較的判りやすい場所、しかも国道から直接入れる駐車場がありますので、八ヶ岳東麓、八千穂や佐久方面ご旅行の際に、ご興味のある方は是非ご覧頂ければと思います。

あ、出来れば座標表示が出るGPSを持って行かれると楽しいかもしれませんね。

なお、測地系の詳しい話は国土地理院のこちらのページをご参照願います。

254国土地理院の電子地図より、当該場所の座標表示です(画像クリックで国土地理院ページにジャンプします)

<おまけ>

本ページでご紹介している、他の地理関係の場所、施設、話題のご紹介を。

 

 

高原は晩夏の入口へ

お盆休み。今年の夏は天候不順でなかなか日照に恵まれませんが、今日は少し日が射してきました。

夏だ夏だと思っていても、既にお盆。朝は5時近くならないと明るくならず、夕暮れも7時前には迎えるようになりました。

日暮れが早まってくると、標高の高いこの高原地帯では既に晩夏と呼んでよいかもしれません。

午後の水田と南アルプス午後の日差しを浴びた水田越しに南アルプスの山々を。

出穂した水田出穂が始まった水田。

どうかこのまま健やかに実を結んでくれることを。

夏の夕暮れ、富士山を遠望久しぶりの明るい夕暮れ。遠くに富士山を望む、柔らかな夕暮れの日差しを受けて。

既に夜に入って本格的な降雨。どうも天候不順な夏となってしまった、今年のお盆休みです。

 

 

文学と自然が織りなす高原の小さなミュージアムで静かな夏休みを(富士見町・高原のミュージアムと自然写真家、西村豊さんの写真展)

文学と自然が織りなす高原の小さなミュージアムで静かな夏休みを(富士見町・高原のミュージアムと自然写真家、西村豊さんの写真展)

New!(2015.5.9):本ページでご紹介している、富士見町在住の自然写真家、西村豊さんが数年来準備を進められていた、初めてのリスをテーマにした写真絵本「よつごのこりす はるくんのおすもう」(アリス館)が発売されました。

会場で拝見した写真たちが、どんな形で絵本になっているのか、興味津々です。詳しくは、著者のホームページへ

 

天気がすぐれない、今年のお盆休み。

写真を撮りに歩きたいところですが、これでは全くダメ。そんな時には近場で少し腰を据えて観られるものをと、またしても手元に届いている案内からお出掛け先を探し出してみます。

富士見町高原のミュージアム外観かなり判りにくい場所にある、富士見町の文化施設。昨日訪問した安曇野市豊科近代美術館と同じく、地元の市民に向けた図書館とホールを併設した建物です。

駐車場には、明日の諏訪湖花火大会に富士見駅から列車で上諏訪駅まで行こうとしている方に対して、駐車しないで下さいとの警告文が掲げられているのが、如何にもお盆休みらしい雰囲気です。

富士見町高原のミュージアム入口省エネのため薄暗くされたエントランスを登って2階に上がると、まるでクリニックの入口のようなスペースに突き当たります。富士見町立の文化施設「高原のミュージアム」です。

富士見町の俯瞰立体模型入口には、町立の文化施設らしく、八ヶ岳と入笠山に挟まれた富士見町の地勢がよく判る、立体模型が展示されています。それでは館内に入ってみましょう。

高原のミュージアムエントランス意表を突かれる緑溢れる白樺林をあしらったエントランス。エントランスを廻って内部に入ると更に驚かされます。

高原のミュージアムセンターホール印象的な富士見の風景をあしらったタペストリー調のスクリーンと、透過光照明で浮かび上がる数々の短歌、俳句によって歌い上げられる、富士見の厳しくも美しい景色、風物。そこには博物館につきものの価値ある展示物も、美術館にある芸術作品も全くありません。

そう、このミュージアムは博物館でも、美術館でもありません。戦前、この地を愛し集まってきた歌人、文芸家たちの言葉による心象スケッチ「言葉という時空」の足取りを留め置くために設けられた空間、ミュージアムです。館内のあらゆる場所に彼らが残した言葉の数々がシャワーのように降り注いでいます。

もちろん、富士見に訪れ、富士見を詠んだ文人達の記録を示す展示物も用意されていますが、あくまでも本人たちの詩作、著作の片鱗を示すために展示されているに過ぎません。かれらの想い、心象の全てはその言葉の中に秘められているのですから。別荘を構えた文人(現在ですと某アニメーション監督の方がが所有しているらしいですが…。地元の方なら、2CV観たことありますよね)、アララギ派の歌人たち。一時期とはいえ実際に富士見に居を構えた尾崎喜八。2年前に惜しくも解体された白樺林に囲まれた結核病棟を有し、転地療法とサナトリウム文学という名の、今はなき脆くも儚い作品を生み出す舞台となった富士見高原診療所とそこで生み出された物語達。

言葉で表現する文人たちが、言葉のみを以て残したこの地への深い想いと心象を、何とかミュージアムという形で表現しようという、展示者側の苦心が伺える空間でもあります。

僅かに、尾崎喜八が遺した校歌の歌詞や、地元に求められると何時も気安く請け負っていたと伝えられる講演の肉筆原稿にその深い愛情が見受けられますが、ミュージアムの本当の展示物は、多くはボードや透過光照明の向こうに映る詩歌を読まれた訪問者一人一人の心の中に浮かび上がる、詠んだ本人と読まれた方だけが秘める富士見の姿に委ねられるようです。

西村豊写真展エントランスそして、もう一つのテーマ。今回訪問のきっかけとなった、地元富士見在住の自然写真家(動物写真家とは書きません)、西村豊さんの40年に渡る撮影活動のうち、最も得意とされている森の中に住む小動物たちの写真を集めた展示会です。

ヤマネの写真で著名な氏ですが、開催のあいさつ文には、遂にリスに魅せられて追いかけることになりましたとの言葉が述べられています。

一つの写真を撮るために3年を掛けたとのコメントも残されており、自然写真の厳しさが伺える内容でもあります。

実際の写真については是非会場にてご覧頂きたいと思いますが、ご本人の解説にもありますように、手作り感溢れる、決して広いスペースではないですが、通常のギャラ リーで開催される写真展よりカット数も多く、高密度に写真が展示されています。あいさつ文の通り、展示されている写真の殆どは新たに取り組んでいる「リス」の写真で占められ ています。森の妖精とも謂われるお馴染みのヤマネが可愛さと愛嬌さに溢れる親しみやすさが全面に出ているのに対して、リスの方はより俊敏で精悍。木々を飛び歩き、クルミの殻を鮮やかに削っていく躍動感あふれる写真からは小さな狩人といった印象すら与えます。

そしてリスの写真展示の奥には今回のサプライズ。実際に著作を製作される際の作業が判るように、構成から製本まで段階を追った形での展示が設けられています。

著作には5年以上、多くは10年近くを掛けているという息の長さ。そして、ほとんどの場合は構成案を出版社に持ち込むことで著作がスタートするという事に驚かされます(その方が意図が正確に伝わるという)。

実際の校正に用いた、修正を入れた原稿。細かく色合いやレイアウトの修正指示が入れられている色見本等が惜しげもなく展示されています。こちらも校正に対する最終的な決定は氏自身に委ねられるとの事で、写真集独特の世界がある事を実感させられる展示です(展示コーナーには「校正に挑戦」といった微笑ましいメニューも)。

ちなみに展示されているカメラ(Canon EOS7D+EF300mm F4.0L,1.4xエクステンダー付)はメイン機材で通常なんと手持ち。20万回以上のシャッター回数を記録した末に、ご自身のミスで破損してしまったため、こうして展示品の一環としてお披露目される結果となった、ちょっとかわいそうな一台です。しかし、20万回かあ…(遠目)。

富士見町高原のミュージアムパンフレットミュージアムと西村豊写真展のパンフレットを。

足元にある町立図書館は人口当たりの年間貸出数が全国一とも謂われる、文人たちが愛した土地に相応しい実績を有しているのですが、ミュージアムの方はその展示内容のハイレベルさもあり、ちょっと低調の模様。

有料(300円)という事もあり、当日の西村豊写真展の記帳を見ても、両手で数えられる程度の来訪者。私が居た午後のひと時(一時間半ほど)では結果的に一人の来訪者もなく、全くの貸切状態で存分に展示物、写真を堪能するという、嬉しいようなちょっと切ない時間を過ごす結果となってしまいました(翌日になって、お隣の原村にある村立八ヶ岳美術館の方はお天気の悪さと特別展示企画がずばり的中したようで、大混雑だったと聞いて落胆している次第なのです…涙)

桑の木前のコスモス時折強く降る雨と濃い霧が交互にやってくる、秋雨を思わせる天気の中。静かに文人たちの想いや、かわいらしくも凛々しい森の小さな生き物たちの息吹を感じるために、普段は足の向かないかもしれない小さなミュージアムに足を向けてみるというのは如何でしょうか。

<おまけ>

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