秋雨の午後、圃場にて(2015.9.6)

一旦晴れた週末の八ヶ岳南麓。しかしながら、今日は朝からしとしとと雨が降り続く生憎の天気。

時折ざっと強く雨が降る中、意を決して夕飯の食材を買いに行く途中、ちょっと寄り道です。

P1050099八ヶ岳の麓、山沿いに広がる谷戸の圃場には、実りを前にした稲穂と蕎麦の花が広がります。

普段なら、正面に甲斐駒を望む事が出来るこの場所ですが、今日は雲の中。

P1050034真っ白な蕎麦の花で埋め尽くされた圃場。霧が降りてきた雨の中、辺りはひっそりとしています。

P1050084山裾を埋める蕎麦畑。所々に稲穂も見えています。

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P1050052可憐で小さな蕎麦の花。赤い花弁がポイントです。

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P1050093話に聞くように、高さを何段かに分けて咲く蕎麦の花。こちらの畑では三段目の花が咲き始めています。

P1050089身が入り、しっかりと頭を垂れ始めた圃場の稲穂。これだけ雨が降り続くと、収穫への影響が気になります。

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P1050058雨の中、一生懸命に花を咲かせる蕎麦たち。

ずぶ濡れになりながらの撮影でしたが、この景色が愛でられるのはほんのわずかの間。

一瞬の美しさを楽しみながら。

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今月の読本「トビウオの驚くべき世界」(スティーブ・N・G・ハウエル:著 石黒千秋:訳 エクスナレッジ)バードウォッチャーも魅せられた、碧い砂漠を往く本当の姿を此処に

今月の読本「トビウオの驚くべき世界」(スティーブ・N・G・ハウエル:著 石黒千秋:訳 エクスナレッジ)バードウォッチャーも魅せられた、碧い砂漠を往く本当の姿を此処に

題名を見た瞬間欲しくなった一冊、なのに版元さんからこんな紹介文が出されてしまい、思わず抗議の言葉を挙げてしまった一冊。

別に何の義理がある訳でもありませんが、きっと素敵な魚の本に違いない(なにしろ、このジャンルでは只今大躍進中の版元さん)と思っていたのですが、全然推していない一冊。出来れば本屋さんで買いたいなと思っていましたが、こんな片田舎には入って来ないだろうと半分諦めていました。しかし…、週末に本屋さんの書棚を探したところ、こんな山奥(日本で最も海から遠い場所の一つ)にも早々に入ってきていました(驚)。

トビウオの驚くべき世界今月の読本「トビウオの驚くべき世界」(スティーブ・N・G・ハウエル:著 石黒千秋:訳 エクスナレッジ)

まず、本書は版元さんが近年多く手掛けている写真集にあるような、数多くのソースから写真を収集して、版元さんベースで編集、刊行するという、著作者をあまり意識させない、ネット時代に相応しい刊行スタイルの本ではありません。

本書はプリンストン大学出版局から刊行された”THE AMAZING WORLD OF FLYINGFISH“という本の翻訳版であり、各大学の出版局が出されている(魚関係ですと、東海大学出版会が著名ですね)、一般読者向け刊行物と同じスタイルの一冊。著者は同じプリンストン大学出版局から複数の野鳥や海鳥に関する書籍を出されている、世界的なバードウォッチャーで、バードウォッチングツアーを主宰する会社の最高幹部を務める、プロの方です。

では、なんでバードウォッチャーの方がトビウオの本を書かれたのか(あとがきで、ひたすら船の舳先に座り込んでシャッターチャンスを狙っていた日々を語っています)。それは栄養塩が少なく、湧昇も起きにくいため、プランクトンもそれを食する魚も少ない、青い砂漠とも呼ばれる赤道直下の海。バードウォッチングで世界中の海を巡る著者にとっても、海鳥も少なく、不毛な此処だけは撮影はお休み。そんな中、船の舳先に立った時に見かけた、不毛とも思われる海の砂漠の上を滑るように飛んでいくトビウオたち。

船で大洋を渡った事のある方、離島に向かわれた事のある方。自ら操船されて沿岸を離れた場所を航行された事がある方ならきっと経験したことのある、紺碧の海から滑るように飛び出してきて、水平線の先へ消えていく、その美しい姿に胸を打たれた著者の、トビウオの姿を捉えたいという挑戦の成果が収められたのが本書です。

美しい飛翔シーン(船から逃げていく方向に飛ぶので、どうしても後姿が多いのですが、表紙のように横から捉えられた貴重な写真も多数あります)、図鑑や博物館に収められた標本とは全く異なった、グライダーやナウシカのメーヴェを思わせる、水平に伸びた主翼(胸鰭)と大きなRを持った翼断面。そして、水平尾翼を思わせる腹鰭と垂直尾翼に相当する尾鰭。

フィルムのような薄い鰭による幅広の翼断面と、紡錘形のフォルムに背びれを畳んだその飛翔形態は、最高の効率を示す機体、翼形状そのもの(模型で欲しい)。そして、あっと驚く海上に残るジグザグな水面の理由。

トビウオの飛翔シーンを見た事がある方なら、誰しもじっくりと観てみたい、もう一度眺めてみたいと思うそのシーンが本書には溢れています。

著者のトビウオへの想いの高まりと、図鑑や魚類学者たちの分類に飽き足らない好奇心は、更にトビウオたちの分類にまで及んでいきます。標本とは全く異なる飛翔時の鱗の色、形。そして、種類ごとに異なる飛翔に至るシーケンスや着水の妙。バードウォッチングの度に訪れる海域で撮影した写真に基づいて、仲間たちと一緒に形態分類と、彼らへの献名を行いはじめます。学術的には現状認められていないこれらの活動結果、それでも著者達は自信を以て提案を続けています。何故なら彼らが見たシーン、収めた写真こそが本当のトビウオの生態を雄弁に物語っているから。水中写真家が未知の新種を発見するように、バードウォッチャーたちが次々と鳥の識別方法を発見して、その中から新種を発見するように、トビウオの識別にも挑んでみようという試み。そこにはまだ幼稚な段階と自らの活動を卑下しながらも、好奇心の先にあるもう一つの想いが述べられてきます。バードウォッチと同じ、より自然の多様な姿を知りたいという想い。

本書に掲げられた、美しいトビウオの飛翔シーンを観に、今度は船に乗ってみませんか。

トビウオの驚くべき世界

トビウオの驚くべき世界<おまけ>

本書の関連するテーマの書籍をページからご紹介。

蕎麦の花に囲まれる秋の空(2015.9.6)

お天気が優れない日が続く今年の秋。

農作物への影響が出始めており、ちょっと困った状況となっているようです。

そんな中でも、高原に秋の到来を告げる蕎麦の花が満開を迎えています。

P1050002甲斐駒ケ岳を望む蕎麦畑、稜線の先まで蕎麦の花が広がります。

P1050005まだ、こちらの畑の蕎麦の花は咲き始めたばかり。瑞々しい緑と白い花が印象的です(2015.9.3)

P1050009県道の長野/山梨県境の橋を渡ってすぐ目の前に飛び込んでくる、八ヶ岳に向かって山裾を登っていく蕎麦畑。

すっかり有名になりましたこの場所。すぐ脇に小さな公園があり、数台の車を止める事が出来るスペースもありますので、通りがかりの多くの方が撮影されていきます(長野県諏訪郡富士見町、先達)。

P1050015漸く晴れた朝。

清々しい秋の風に揺られる蕎麦の花々。先に見えるのは南アルプスの山々(2015.9.4)

P1050018晴れて来た空の向こうに、八ヶ岳を望む蕎麦畑にて。

このようなクリアーな状態で眺められるのは年に数回だけ。今年もこの景色に巡り合えたことを感謝して。

P1050028遠くに望む甲斐駒はまだ夏の装い。

蕎麦の花が終わると、次は周囲の圃場では頭を垂れ始めている稲の刈り入れ。

地上より少し早く訪れる高原の秋は、足早に進んでいきます。