小春日和の午後(2016.2.11)

祝日の木曜日。

なかなかペースが戻らない中での休日は、ほっとできる瞬間。

前から楽しみにしていた講演会(八ヶ岳自然ふれあいセンターの「自然について楽しく学び、深める講座」)を聴講するために、八ヶ岳の東麓に向けて車を走らせます。

WP_20160211_12_18_50_Pro八ヶ岳の東麓を貫く、レインボーライン沿いの農道から眺める八ヶ岳。

真っ青な空の下、暖かい陽射しが降り注ぎます。

WP_20160211_12_19_33_Pro南アルプスの山並みは陽射しを受けて輝いています。

圃場の雪も、暖かな日差しでかなり溶けてきています。

P1060476ぐっと標高を上げて、まきば公園へ。

秩父の山並みも雪に覆われています。標高1500m程もあるのに、昼下がりのこの時間で気温3℃。小春日和を思わせる、とても暖かい冬の休日となりました。

P1060474まきば公園から望む、赤岳。

くっきりとした八ヶ岳ブルーの下で、雪を被った赤岳が美しく輝きます。

P1060475こちらは権現岳と編笠山。

雪は少な目ですが、むしろくっきりと山の稜線が浮かび上がってきます。

P1060484鉄板ですが、東沢大橋から望む八ヶ岳。

陽射しが嬉しい午後。

P1060493あっという間の楽しい講義の後、少し足を延ばしで、野辺山の平沢峠へ。

午後4時を過ぎてもすっかりと日が長くなった、春節を過ぎた夕暮れの日差しを受ける八ヶ岳の峰々を。

上空を北に向けてジェット機が高度を上げながら飛び越えていきます。

穏やかな日差しに恵まれて、少し季節を先取りしたようなお休みの午後。週末には早くも春の嵐がやって来るようです。

 

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今月の読本「竜宮ホテル 水仙の夢」(村山早紀 徳間文庫)寄り添うその想いは静かに満ちていく

今月の読本「竜宮ホテル 水仙の夢」(村山早紀 徳間文庫)寄り添うその想いは静かに満ちていく

ホームの八ヶ岳南麓を暫く離れている間、大好きな本が無い生活を続けていると活字欠乏症(あ、その間も英文タイプ文面は嫌だという程読まされるのですが)が頭をもたげてきます。

それでも時間に余裕ができると、スマホでちょっと長めの記事などをひたすら読み続けて欠乏症の解消を図るのですが、やっぱり紙の本をゆっくりとめくらないと満たされない。本と活字と向き合うという心地よさが何よりも自分にとって必要なことを痛感する日々を送っていたのでした。そして、久しぶりに南麓に帰ってくると、次の出国までの間にひたすら本屋さんで本を買い込んでいる自分がいました、失った何かを埋めるが如く。

そんなタイミングで、本屋さんの書棚から鷲掴みにして手に取った(ごめんなさい)今回の一冊は、本好きの方(活字偏執性な私は除外)にも深く愛されている作家さんの最新作からご紹介です。

竜宮ホテル 水仙の夢竜宮ホテル 水仙の夢」(村山早紀 徳間文庫)です。

著者の一連の作品群「風早の街」を舞台にしたシリーズの第3巻。前の2巻は主人公である響呼をメインに置いたストーリーを軸に、竜宮ホテルに集う登場人物それぞれの物語が展開されていきますが、インターミッション的な第3巻目は少々様相が異なってきます。

冒頭から、前作「魔法の夜」のエピローグに続くような、ひなぎくのモノローグから始まり、全4話で構成されるそれぞれの物語を貫くような一貫したストーリーは用意されていません。むしろ、これまでの2巻で語られてきた伏線を回収するようなストーリーと、少々唐突的に差し込まれたサイドストーリーが語られていきます。

その辺りの事情はあとがきをご覧頂ければと思いますが、一見、繋がりが無いように見える個々のストーリーに対して、主人公の響呼の描かれ方はシリーズの3巻目としての明白な位置づけがなされているように思えます。

1巻目では自分の力に怯え、自らを恨み、心の殻に閉じこもりがちな響呼が、竜宮ホテルのメンバーと触れ合うことで、少しずつ心を開いていく。自らの居場所、自分を慕ってくれる存在を得ていく。2巻目ではまだぎこちないところを見せながらも、自分を慕ってくれるひなぎくの姉として、そして自らの力と向き合う事で、今度は自らの心、触れ合いを求めていく人々の想いに応えていく。そして3巻目である本書は、自らの心からもう一歩踏み出して、自分の事を親しく思ってくれる人の心に寄り添っていく姿を描いていきます。

何百年もの間、ひたすらその想いに寄り添い続けた人と語り合う中で、その憎しみの邂逅に触れていく。自分の想いの支えとその結末をそっと受け止める。人の想いの強さ、苦しさをそっと傍らで聞き届ける。そして、大切な人のどうしようもないやるせなさをじっと見つめ、側に居てあげる。彼女がずっと否定してきた、でも本当は欲しかった、彼女が竜宮ホテルで、風早の街で出会った人々との絆が深まる中で、物語も降りしきる雪が降り積もり、一面を白く覆い包むように少しずつ深まっていくようです。そこには表紙に描かれた絵のように、冒頭のモノローグと終章のモノローグでフォントを使い分けているように、響呼に寄り添うひなぎくの成長も描かれていきます。まだちょっと勇み足もあるようですが、今度は自分が誰かの為に寄り添えるようにと願いながら、その願いの先にある想いにも触れながら。

そして、今回はサイドストーリーらしく、前2作と比べると著者自身が執筆中に抱いていたであろう想いがよりいっそう濃くストーリーの中に描き出されているようです。

著者にとって最も身近な場所である、海に浮かぶ空港と白いレースのベールをかぶったご婦人が日曜日になると行き交う坂の街、その坂の上にある椿の木に寄り添う小さな本屋さんへの愛しい想い。著者が大好きなデジタルガジェットを生み出す光速の奔流の中で、「魔法」を操り、生み出す人々への畏敬と葛藤への想い。流れ来る人々、彼らを迎え入れる人々がお互いに抱く、複雑で時には残酷な想い。そして最後まで伏せられていた、前後で交錯していくストーリーが無ければ読むのを少々躊躇ってしまう想いの結末を織り込みながらも、「陰の気が集まり、静かに休らう場所」、竜宮ホテルに集う登場人物たちそれぞれの想いは昇華しつつ、ほんの少し寄り添うという言葉の意味を変えながら、ストーリーは4巻目となる次のステージへと進んでいくようです。

読まれた方の心にその想いが響く時、その魔法使いたちが集い、彩なす物語は、きっとあなたの中にある「魔法」そのものでもあるはずだから。

竜宮ホテルシリーズ本編第三話「見えない魔法」へのオマージュとして。その世界が最も輝いていた時、世界で初めてサービス開始に漕ぎ着けた3G携帯電話の実用第一号モデルを一緒に(第一期試験サービスのモニター故に所有している、試験後に回収された端末の代替として頂いたN2001、もう時効だと思うので)。登場人物のシチュエーションと自分の直近の事情の余りの近似性に素直に驚きつつ、もしかしたら、ほんの少しその想いに寄り添えたかもしれないという勝手な妄想を重ねて。

<おまけ>