ちょっとマイナーな中央構造線露頭は、ゲートの奥の素敵な小天地(中央構造線、板山露頭)

ちょっとマイナーな中央構造線露頭は、ゲートの奥の素敵な小天地(中央構造線、板山露頭)

中央構造線沿いには、幾つかのジオパークが控えていますが、その最も判りやすいポイントとして挙げられ、色々な解説でも採り上げられるのが「露頭」ではないでしょうか。

有名な観光地になっている糸魚川は良く知られているところですし、かの大鹿村の某博物館界隈には、国道152号線沿いに(この場合は正しくは酷道と書くべきですね)2つの露頭が控えています。

大鹿村に比べるとちょっとマイナーなのが、伊那市内の旧高遠と旧長谷にある露頭。長谷(溝口露頭)に関しては、それでも美和湖の畔にあり、駐車場が完備されていますので、道の駅(ここの手作りパン、特にクロワッサンは絶品です)に寄る序にでも訪れる事が出来ますが、それらに比べると圧倒的にマイナーな露頭がもう一つあります。

杖突街道を杖突峠から高遠に抜けていく途中、もう少しで高遠という場所にあるガソリンスタンド(エネオス)を抜けたすぐ先に、このような看板が立っています(本当は、この先100m程の所にもっと立派な案内看板が立っているのですが、左折すると、短い区間ですがいきなりすれ違い絶対不可の1車線道路に連れ込まれるので、個人的には多少なりとも道幅のあるこちら側から入る方がお好みです)。

暫く走ると、このように案内看板が見えてきます。案内に従って路地に入ろうとすると…。

中央構造線、板山路頭のゲート前

何とゲートで封鎖されています。なにやらゲートに書かれているのでもう少し近寄ってみましょう(道幅狭いので、路駐せずに奥へ)。

「ご自由にお入りください」の表示です。ちょっとほっとして、ラッチを外して中に車を進めます(お願い:ゲートの掲示にも書かれていますように、お帰りの際には「必ず」ゲートのラッチを閉めて下さいますよう、お願い致します。ゲート付き進入可の林道と同じルールですね)。

ゲートを開けたら、チェーンを左右のポールに引っ掛けておけばOKです。ゲート奥の右手が駐車スペースになります。

駐車スペースに用意された周辺案内看板。露頭までは約80mと至近です。

では、てくてくと歩いてみましょう。

ほんの数分歩くと、このように案内看板が見えてきます。すでにこの位置からでも露頭の様子が判りますね。

立派な案内看板が用意された、中央構造線、板山露頭。今まで中央構造線の露頭は5カ所見てきましたが(南アルプスジオパーク内はこれでコンプリートです。あ、程野は麓を通過しただけだった)、一番丁寧に解説された看板ではないでしょうか。こういう看板が糸魚川にも”露頭の目の前”に欲しいのですが…。

北川露頭のような、頭上遥か高くから目の前に迫ってくる圧倒的な露頭ではありませんが、高さは3m弱、視線の正面で見られて、はっきりと判りやすい露頭です。

露頭のアプローチ路の途中で見られるのですが、左側の脆く崩れた岩肌には植生が見られますが、右側の黒い岩肌には植生があまり見られません(僅かに松が岩に食い込むように生えているだけです)。脆く風化しやすい地質では定着するのは本来難しいですが、根を張る事は出来るためにこのような違いが生まれるようです。

南アルプスジオパーク内にある5つの露頭のうち、板山以外の4つは露頭自体の見学が終わればジオサイトとしての見所としてはそこまでですが、板山露頭の場合には、もう二つ、お楽しみが用意されていました。

一旦、駐車場まで戻って、案内板に従って、左側の細い道(階段)を登っていきます。

急な斜面の墓地を抜けると、目の前の視界が開けてきます。正面には、戦後、高遠城内から移築されたと云われる鳥居が立っています。

鳥居を抜けてすぐ先に小さな石柱で区切られた広場が見えてきます。

広場に入ると、狭い谷間を抜ける杖突街道とは一線を画す空の広さ。一気に視界が広がってきます。

正面には比較的最近に建てられた神楽殿。私の住んでいる場所もそうですが、この地方は神楽や農村歌舞伎(すぐお隣の大鹿はとくに有名ですね)の伝統が色濃く残っています。

神楽殿の裏手には、小奇麗な社殿が建っています。昭和23年にこの地に遷された、殿宮神社と呼ぶそうです。

そして、境内の裏手には、足元に杖突街道を見下ろすパノラマが広がります。

殿宮神社から見渡す、杖突街道と中央構造線の解説板。

解説板と同じカットを。杖突峠に向けてうねるように登っていく街道筋と中央構造線、そして左右の山並みの違いが判るでしょうか。

暫し周囲の山々の絶景を堪能した後で、今度は山側の遊歩道を降りていきます。

途中、眩しい新緑のトンネルを抜けていきます。

ぐるっと下っていくと、谷筋の窪地にレンゲツツジの群落が出来ています。

建てられた石柱を見ると、どうやら植樹したようです(三葉ツツジと彫られていますが、案内板にもあるようにレンゲツツジですね)。

下まで降りて、レンゲツツジの群落を。丁度シーズンを迎えて満開となっていました。

非常に綺麗に整備された中央構造線、板山露頭。要所に掲示されているように、南アルプスジオパークの登録に向けた一連の整備事業に依る所が大きいようです。

お天気の良い週末の土曜日、しかもレンゲツツジが見頃という絶好の訪問タイミングにも拘わらず、私が滞在していた小一時間ほどの間に訪れた方は残念ながらゼロ。国道沿いからこんなに近くて、しかも整備されて見やすい場所なのですが、なかなかに難しいジオパーク。杖突街道を見下ろせる貴重な高台に至るにしても、僅かに歩く事、5分ほどです。

高遠にお越しの際のほんのちょっとの寄り道として(実はこの先の小豆坂トンネルを抜けると長谷に通じており(反対側はかの有名な廃集落、芝平からラフロードを登り富士見方面に抜ける事が出来ます)、桜のシーズン、杖突峠側からの渋滞を避けて、逆サイドの美和湖側からアプローチするための抜け道だったりもします)、更にはこの先に繋がる”酷道”ツアーの付け合せに如何でしょうか。

中央構造線、板山露頭の周辺地図です(地理院地図を使用しています)。

<おまけ>

緑の中へ(2017.5.27)

雨上がり、風は強いながらも上々なお天気となった土曜日。

少しずつ冬物を片付けた後、陽射し一杯の午後に出掛けます。

午後の陽射しが差し込む明るい落葉松の人工林。

軽やかな緑が、森の中を染め上げます。

落葉松に囲まれて、黄緑色の新緑を装いう白樺の木。

緑の小路を進んでいきます。

緑に染まる、千代田湖の湖畔。テントを持ち込んで、ランチを楽しむ皆様が湖畔にちらほらと見られました。名物のレンゲツツジ開花はもう少し先。

緑に染まる森の中で包まれる昼下がり。

千代田湖の森を抜けて、谷筋を下ると、一番奥に位置する集落、松倉へ。田植えの済んだ新緑の棚田の向こうに杖突街道に下る谷筋が見えています。

緑の苗の間を抜ける漣。山里に広がる小さな海辺のワンシーン。

長く、長くなった日射しが西に傾く頃、綺麗に植えられた苗が広がる伊那谷のある小さな圃場にて。奥に広がる木々とのコントラストが楽しめるのも、このシーズンならでは。

5月らしい、気持ちの良い風が伊那路を抜けていきます。

 

 

一時休館を迎えた上越市立水族博物館を訪ねて(2017.5.14)

一時休館を迎えた上越市立水族博物館を訪ねて(2017.5.14)

今を遡る事10数年前。

国内業務に戻った後、最初に主担当として受け持った顧客先が立地していたその地には、幾度となく足を運んだものでした。

目の前には燦々と太陽が降り注ぐ見慣れた太平洋と異なり、何処までも深く濃い群青が広がる日本海の海と空をバックに佇む、少し古びたその水族館の前を通るたびに、何れは仕事を忘れてじっくりと訪ねてみたいと、厳しい仕事の僅かな隙間に幾度となく願ったものでした。

その後、自らの立場も住む場所も変わり、かの地に行く事自体が憚られるようになってからも、あの時の想いは心のどこかで燻っていたようです。ニュースで流れていた指定管理者制度の導入と新水族館の建築。そしてあの時、強い印象を残した現水族館の解体という知らせを聞いて、休館前の最後の日に、再び足を運ぶことにしました。

実に13年ぶりに訪れた直江津の海辺に立地する、上越市立水族博物館。

最終日となった5/14には記念式典が催される事になっているようです。

外装は2010年に魚が群有する陶器のパネルを取り付けるなど改装されていますが、本館は1980年に建築された、最近の水族館ブームから見れば、かなり古い施設と言えるかもしれません。

玄関に掲示された休館のお知らせパネル。

ロビーに置かれた、直江津港で採集されたヤシの実と古い新聞記事。

既に2015年からは指定管理者として横浜八景島が運営しており、職員の皆様の垢抜けた対応と、古びたエントランスに置かれたこの水槽のギャップが、今回の休館理由を何となく教えてくれるようです。

館内に掲示された休館を伝えるポスターと水族館新聞。殊更にキャプションされる指定管理者の名称に若干の違和感を感じながら。では、館内に入ってみましょう。

エントランスを入って最初のフロアーに位置する「トロピカルランド」。

1980年のオープン当初はメインとなる水槽であったはずですが、現在の視点で見ると奥行きもなく、照明の色合いを含めて少々古めかしい雰囲気も漂います。

この水槽でメインを張るイトマキエイ。奥行きが無い(岩の後ろにはすぐ壁が見えています)のでちょっと窮屈そうですが、それでも薄暗いフロアーに浮かび上がる、開館当時の流行に添ったパノラマ水槽は、今見ても魅力的です。

トロピカルランドの裏側には、「世界の海のさかなたち」と題された水槽群が熱帯、温帯、寒帯の3フロアに控えています。

当時一般的であった(江ノ島も、下田、油壺にしてもそうでした)、汽車窓スタイルの小さな水槽が真っ暗な壁を埋める展示形態。既に作動しなくなっている例も多い筈ですが、こちらの水族館はちゃんと水槽Noと飼育魚種の表示パネルも動作している点が、古びてはいても、実に丁寧に扱われてきた事を教えてくれます。

こちらは温帯の水槽群。

それぞれが今では家庭用レベル(趣味の方なら尚更)でもあるかもしれないサイズの水槽ですが、飼育魚数がかなり多いので、窮屈を通り過ぎで、よくぞ飼育できているなと、逆に感心してしまう程です。少数の大水槽より、このような小さな水槽を多数管理する方が、余程手間が掛かるのではないでしょうか。

こちらが寒帯の水槽群。前の2つのフロアーに対して、流石に日本海をテーマにした水族館らしく、やや大きめの水槽を配置しています。センターに位置するのはもちろん、カニです。

汽車窓スタイルの水槽が並ぶ中で、ほんの僅かでも生態展示をとの想いからでしょうか、フロアの終わりに設置されたニッコウイワナとアメマスの水槽だけは、照明も明るく、水流を与える事で、流れに逆らって群泳する彼らの姿を見る事が出来ました。

実を言いますと、開館当時の水族館フロアはここで終わり。よくある地方の動物園などに併設された水族館の規模をちょっと上回る程度でしょうか。

階段を上って2階に上がると、特等席に位置するのが、重要文化財でもある、地引網に使われた「どぶね」。その向かいには古びたマルチスクリーンシアターが設置されています。そして、一部で話題にもなっていた、懐かしい科学実験遊具が並ぶコーナーと、如何にもという感じの休憩室と売店。下のフロアーに勤務されている方々と明らかに異なる職員の方が切り盛りするそのフロアーは、施設名にあるもう一つの表題である「市立博物館」である事を色濃く滲ませています。

少し気を取り直して、デッキに出ると、心地よい海風が吹き抜けています。

足元には、ペンギンプールが広がっています。

屋上デッキから望む日本海と、建屋の外に設置された収容200人ほどの屋根付きスタンドを有するマリンスタジアム。夏場になると提携水族館からイルカと飼育員が派遣されて、イルカショーが行われていました。今日の休館式典の会場でもあります。

屋外プールの全景。実はこれらのプールは開館してから大分経った1993年に増設されたもの。

ここに、本水族館が長い議論の末に、(結果的には北陸新幹線の開通に間に合わなかったものの)新たな施設へと飛躍することになるきっかけとなった、飼育されている動物達がいるのです。

昼下がりの陽射しを一杯に受けてエメラルドグリーンに輝くペンギンプール。

幅にすれば僅かに10m程に過ぎませんが、このプールと、そしてここで飼育されているマゼランペンギンたちこそが、この水族館を日本海有数、いや日本のみならず世界的にも著名な水族館としての名声を得るきっかけとなった舞台なのです。

水槽の中を生きよい良く泳ぎ回るマゼランペンギンたち。

この水族館は日本最大、実に126羽ものマゼランペンギンを飼育しており、多くの仲間たちを日本中の水族館に旅出させている、世界的にも傑出したペンギンの飼育技量を有する水族館なのです。

では、飼育熱心だからお堅い場所かと思えば全く逆で、一日何度か実施されるお食事タイムには希望者全員(全員ですよ、全員!)がこんな目の前のデッキから直接ペンギンに餌を与えられる(ケンカになるから、手渡しではなくちょっと投げて下さいね、と)という、流石は市営というフレンドリーさも兼ね備えている点が、この水族館の実に素晴らしい点ではないでしょか。

狭いスペースながらも多くのペンギンが飼育されている事で、これだけの群泳を目の前で堪能出来る(シャッターチャンスもそれこそ幾らでも、後は腕の問題…)貴重な空間。もちろん、群れで暮らす彼らにとっても、飼育環境以外はより自然な姿の筈です。

 

休館前の最後のショーが終わった後、まだまだ食欲旺盛なペンギンたちが餌に群がる中、摂食の様子を観察しながらフリッパーに付けられたNoのカウントを取っていく飼育員さんたち。このような地道な積み重ねが、日本最大の飼育数の実績を支えているのだと実感しながら(見学デッキで、元飼育員さん?だったのでしょうか、以前の事を良くご存知の方が関係者の方とフリッパーのNoを指しながら談笑されていたのが印象的でした)。

マリンスタジアムに設けられた休館記念式典会場に掲げられた横断幕。

休館を聞いて駆け付けた多くの来館者で満員立ち見となったスタンドに手作り感溢れる休館式典と対照的な、来賓者の皆様の微妙さを通り越した挨拶については、ここで述べるのは止めておきます。

式典が終わって再び館内に戻ると、最後のショーが各所で始まっていました。

円筒形の本館部分に接続する形で設置されている「マリンジャンボ」こちらも、屋外のプール同様にバブル崩壊直後の1993年に増設されたもの。餌の周りに遊泳しているのはアジなのですが、まるで熱帯水槽のようなコバルトブルーと黄色系の照明が、魚たちの色を熱帯魚のように見せており、微妙な印象を与えます。

エスカレーターが設置され、フロア2層分を貫く、全方向から見る事が出来る大きな回遊式水槽「マリンジャンボ」。地方の市営水族館としては当時としても破格の設備だったと思われます。そして、熱帯水槽を思わせる照明とショーのスタイルを持ち込んだのは、現在の指定管理者である横浜八景島(この点は、資料でも、前述の来賓発言でもきっちり述べられています。ちなみに、元の照明はパンフレットの写真に掲載されています)。今回の休館により取り壊されてしまうという、当時日本最大の板厚を誇るアクリル板を用いた大水槽。実はこの水槽が設置された年が、奇しくも八景島シーパラダイスのオープンと同年であると聞くと、最後に挨拶に立った、八景島から派遣されてきた現在の館長の言葉が皮肉にも聞こえてくるのは私だけでしょうか。

そして、休館1時間前となる午後4時。びっしりと人で埋まったメインロビーの壁面を彩る、民営から数えて80数年、5代目となるこの施設が開館してから37年間メインを張ってきた円弧型水槽「トロピカルランド」で、全施設を通しての最後のショーが終わりました。

遠く妙高を望む海辺の水族館。

隣では、新しい水族館の建屋建設の真っ最中です。6月頃までにはオープンとなる予定だそうです。

休館記念式典に参加した全員に配られた、この水族館を象徴するマゼランペンギンの羽が織り込まれたしおりと、館内の片隅に静かに置かれていた(式典でも配られていましたが)、こちらも指定管理者とは程遠い、市の推進部署が制作した、手作り感溢れる、カラープリンター印刷のこれまでの歩みと、来年度の完成告知パンフレット。

新しい施設のパンフレットを見ると、これまでのアットホームな雰囲気とは異なり、最先端の展示メソッドをふんだんに盛り込んだ、通年実施可能なマリンショーを軸に置いた、美しいギャラリーのような施設になるようです。なにやら敷居が高くなりそうですが、それでも、これまで待望して止まなかった、「展示数でも日本一を目指す」マゼランペンギンの生態展示が同時に実現することは、水族館が好きな方にとっても、其処に暮らす彼らにとっても望ましい事。

駐車場に戻ると、案内看板を片付けるスタッフジャンパーを着た方々が撤収作業を始めていましたが、そこには明らかに水族館のフロアーに居たスタッフや飼育員とは年齢層の異なる方々が。2階のフロアにいらっしゃった職員の方を含めて、次のオープンの際にはどのようになされているのだろうかなどと考えながら。

水族館を取り巻く環境が激変する中、多くの個性的な水族館が林立する日本海、そして新潟エリアに於いて、それこそ日本だけではなく世界に誇る美しくも「育てる水族館」として、これまで培ってきた実績の先に新たなスタートを切る事を願いつつ、長年の想いを果たして、夕暮れ前の日本海を後にしました。

 

静かなGWの一コマを、最終日の夕暮れに美ヶ原と霧ヶ峰(2017.5.7)

お天気が不安定だったGW後半。

日曜日の今日も、南アルプスは日射しはあれど雲が多めで残念と諦めかけていた午後、窓を開けて北の空を眺めると、なんと雲が無い。慌てて夕暮れ迫る山並みへと車を走らせます。

車を走らせること暫し、流石に連休最終日とあって通行量もめっきり少なくなったビーナスラインのどん詰まり、美ヶ原の入口、山本小屋の駐車場まで一気に登ります。

日影に当たる場所にはまだ雪が残る美ヶ原。車を降りると、冷たい風が草原を吹き抜けていきます。

遠く蓼科山と南八ヶ岳の峰々が裾野を広げます。東の空には月が上がってきています。

気温は10度を下回り、時折強い風が吹く美ヶ原。上着なしではちょっと危ない状況なので、程々にしながら草原の遊歩道を歩きます。

殆ど人影のない遊歩道を行くと、眩しい西日を浴びる主峰、王ヶ頭の電波塔群と美しの塔が見えてきます。

西日を浴びる東の空には大きな雲が広がります。空の向こうに連れて行ってくれそうな眺め。美ヶ原のハイライトは朝や日中より西日の時間帯なのではないかと、来る度に思うシーンです。

美しの塔の前まで来ました。夕日を狙ってスタンバイしている方もいらっしゃいましたが、上着も持ってこなかった大馬鹿者は此処で撤退。視界の中に人影はほんの数人。折り返しで美術館側にも行ってみましたが、広大な収容800台の駐車場に止まる車は僅かに2,3台(自分含む)。ピーク時には満車となってしまう事もありますが、最終日の夕暮れ時にはひっそりと静まり返っていました。

既に薄暗くなり始めたビーナスラインの東側から和田峠の鞍部を越えて西側に抜けると、一気に夕日が眩しく差し込んできます。

西日を一杯に浴びる霧ヶ峰、高く上った月が西日に照らされて輝いています。

遠くに望む八ヶ岳の上空には、その長い山体に添うように南北に太々とした雲が伸びています。これじゃ周辺の天気が良くなっても、山麓では気が付けない訳です。

そうこうしているうちに、日射しがゆっくりと西の山並みに沈み始めます。夕日が眩しかった草原も谷筋から徐々に暗闇に落ちていきます。

日没。空が昼と夜の境界を渡っていきます。

雲が微妙に山筋で割れたために、再び日差しが差し込んできました。

空は黄砂の影響でしょうか、黄色く霞んでいます。

再び日差しは雲間に沈んでいきます。

もう殆ど人の居ないGW最終日の日没を迎えた霧ヶ峰。

皆様はどんなGWをお過ごしになられたでしょうか。

 

落葉松に浸る午後(千代田湖、日影入林道)2016.11.5

ぐんと冷え込んで、秋らしい好天が続く週末。

お天気が良いと、用事が無くても出かけてしまいたくなります。

p1080954買い物に出かけた途中で振り返ると、落葉松の黄葉に包まれる八ヶ岳がくっきりと見えています。

これだけ色付いていれば、気持ち良い落葉松林に足を延ばしたくなるのが、落葉松好きの性。もう少し標高を上げたいので、八ヶ岳とはちょっと離れた場所に足を延ばします。

p1080995八ヶ岳の向かい側、長く伸びた南アルプスの稜線が諏訪湖に落ち込む突端に位置する杖突峠の裏には、静かな、静かな別天地があります。

シーズンを終えてひっそりと静まり返るキャンプ場が森の中に点在する、千代田湖の畔。

p1080992湖畔の落葉松は見事に黄葉に染まっています。さあ、森の中へ。

p1090027湖畔を彩る落葉松の黄葉は今がピーク。もう少しすると、落葉松のシャワーが降り始めそうです。

p1090053森の中を抜けていくと、小さな沢の畔に一本のモミジが鮮やかに紅葉を魅せています。

p1090052落葉松とモミジの彩を一緒に。

p1090056麓に下って、片倉の集落から見上げると、西に広がる山は色とりどりの紅葉に囲まれています。

遅れていた秋も一気に深まってきました。

ライチョウの里で愛おしいその姿に向き合う想いに触れる(大町山岳博物館と高橋広平氏の雷鳥写真展)

ライチョウの里で愛おしいその姿に向き合う想いに触れる(大町山岳博物館と高橋広平氏の雷鳥写真展)

北アルプスを正面に望む、山懐に広がる信濃大町。

ここには、ユニークな展示内容と、極めて珍しい飼育実績を有する存在で知られる、個性的な市営博物館が存在します。

登山と山岳の自然というテーマを掲げる一方、昨年から始まった、ライチョウの繁殖計画より遥か以前の1963年から低地でのライチョウの飼育に着手し、その後も2004年まで細々とではありますが、繁殖活動を続けていた「大町山岳博物館」です。

大町山岳博物館正面玄関正面に展示されたカモシカ親子のブロンズ像がシンボルの博物館正面。

今日は、昨日より始まった写真家、高橋広平氏の初めての個展「雷鳥 ~四季を纏う神の鳥~」を見学にやって来ました。

大町山岳博物館、高橋広平写真展以前に展示内容については、こちらのページでご紹介しておりますので、割愛しますが、どの展示も個性的で興味深いので、何度でも繰り返し見てしまいます。

今回も、ぐるっと展示を観てから、写真展の方に移りました。

今回の写真展、昨年安曇野の田淵行男記念館(と、富士フィルムのギャラリー)で開催された写真展と同じスライドを使用している作品もありますし、スペース的にも決して広い訳ではありません。

しかしながら、初の個展という事もあり、写真のサイズもこれまでの展示では小さめのスライドだったものも思い切って大伸ばしにされ、バリエーションも豊富に。更にレイアウトやコメント、併せて展示されている高山の動植物の写真にも氏の拘りが感じられる展示内容になっています。今、日本で見られる最もクオリティの高い、そしてちょっと和ませるライチョウの写真がびっしりと詰まった、濃密な写真展です。

そして、是非にモノにしたかったという「ICHIGO DAIFUKU」の写真も貴重な1カットだけですが、その撮影条件と、どのような状況で生じるのかの解説と共に紹介されています(内容はもちろん撮禁なので、ご自身の目でお確かめください)。

高橋広平氏の雷鳥写真集今回の写真展に合わせて、大町山岳博物館が刊行した、氏にとって初の写真集。

展示されていた写真以外にも掲載されていますし、パネルの横に掲載されていたコメントも併せて読める親切仕様。じっくり、おうちで眺めたい保存版なのですが…この写真集、かなりの人気のようで、博物館の方も、開催僅か2日目にして予想以上のペースで出ていて、焦るくらいの状況との事です(昨日は、ご本人がいらっしゃったようなので更に)。

博物館の方も「これから人気出ちゃいそうですね」と仰る通りの、魅力的なライチョウの写真たちがぎゅっと詰まった素敵な写真集です。

大町山岳博物館ライチョウ解説展示1もちろん写真だけではなく、館内にはライチョウを専門に扱った展示解説も常設されています。貴重なはく製(大町山岳博物館展示の大きな特徴の一つは、精巧な動物のはく製たちです)を駆使して、ライチョウの生態解説が行われています。

大町山岳博物館ライチョウ解説展示2そして、この博物館の存歳意義を示す、ライチョウ飼育、研究の歴史について語るボードが、展示室の一番奥に掲示されています。

先駆的な低地でのライチョウ飼育の実践とその破綻。絶滅の危機に瀕しつつある中での、再挑戦への道筋。

それでは、博物館の裏側にある、付属動物園へ移動してみましょう。

大町山岳博物館スバールバルライチョウ飼育舎昨年から始まった、ライチョウ飼育の前段としての、スバールバルライチョウの飼育試験用施設(空調完備、表の展示室と、裏の飼育室が一体化した建屋が3棟と、管理棟1棟)。以前の劣悪とも評された飼育環境と比べると、環境省の予算が投じられたためでしょうか、格段の進歩です(富山同様、こちらもコンクリート打ち放しの床です)。昨年は展示室の中をよちよちと歩く、スバールバルライチョウが覗けたのですが、正面にロープが張られています。

大町山岳博物館スバールバルライチョウ展示中止告知文何と、飼育中の個体が相次いで死亡するトラブルが生じたとの張り紙が。

大町山岳博物館ライチョウ飼育舎1ガラス張りの空っぽの飼育舎が並ぶ、ちょっと陰鬱な雰囲気が漂いますが、一番奥の葦簀張りの一棟には、それを乗り越えようとする希望の鍵が大切に育てられています。

大町山岳博物館ライチョウ飼育舎2こちらが、非公開のライチョウの飼育舎。

理解を求める張り紙が掲示されています。

大町山岳博物館ライチョウ飼育舎3それでも、せっかく訪れてくれた来園者に少しでも楽しんでもらおうと、これまでの成長の様子が判るスライドが掲示されています。

一番右のスライドが最も最近の撮影(8/20)です。

6/30の孵化から約2ヶ月、すっかり大きくなりましたね。

大町山岳博物館よりの展望北アルプスの雄大な山並みを正面に、信濃大町の街並みを見下ろす、大町山岳博物館の3階ラウンジより。この時期に望む北アルプスは、何時も光のカーテン(天子の梯子とも)が掛かっているようです。

ちょっと残念な事も起きてしまいましたが、全ては試行錯誤の最中。

自然を相手に、人工的な繁殖を行う事の厳しさは、昨年の上野動物園における全羽死亡という残念な結果を持ち出すまでもなく、常に付きまとう事。

それを乗り越えた先に、きっと新たな段階、人工飼育をしたつがいから生まれたライチョウたちが再び北アルプスの山々で、行き交う登山者の前を悠然と往く姿が見られる時が来ることを信じて。

大町山岳博物館のライチョウ関連パンフレット「雷鳥 ~四季を纏う神の鳥~」高橋広平写真展は11/27まで。

会期中の9/11(日)午後1時30分から、鳥類研究家の小林篤氏との対談会。11/3(文化の日)は作者自らのミュージアムトークが午前と午後の2回、実施されます。

市立大町山岳博物館企画展_雷鳥~四季を四季纏う神の撮り鳥~高橋広平写真展_パンフレット

更に、毎年開かれているライチョウ会議、今年のホストタウンは信濃大町です

10/15,16の両日に、大町市内と山岳博物館を会場に各種のイベントやシンポジウム、学術会議が開催されます。

ライチョウの事をもっと知りたい、直接会って話を聞いてみたいという方は、この秋は是非、大町に足を運んでみては如何でしょうか。

 

唯々、キャベツ畑(嬬恋村にて)

唯々、キャベツ畑が眺めたくなると行く場所。それは嬬恋村。

レタス畑なら川上村や野辺山で存分に楽しめるのですが、キャベツ畑といったらやはり此処。

P1080158パノラマラインから浅間山をバックに。

P1080185バラギ高原のキャベツ畑、正面には上州の山並み。

P1080173万座・鹿沢口方面を望んで。

P1080172少し雲が切れたタイミングで、右手に妙義山が見えました。

P1080182見渡す限りのキャベツたち。

P1080189目の前をうねるように広がるキャベツ畑。

P1080176収穫間際のキャベツ畑にて(嬬恋村、バラギ高原)

今週末は、このすぐ裏手で全日本ラリーが開催されます(なので、ちょっとコースの下見の序でした)。