実りの彩(2017.9.8~16)

秋9月に入って天候も比較的安定してくる中、西から徐々に寄せてくる台風に戦々恐々する3連休。

観光関係の方には大打撃ですし、もう間もなく収穫を迎える農作物を前に、気が気でない状況を迎えています。そんな心配事一杯の週末ですが、圃場では遅れていた実りも天候の回復と併せて漸く本番を迎えています。

雨上がりの朝。甲斐駒を望む朝の圃場を埋める真っ白な蕎麦の花。

8月の終わりから始まった蕎麦の花のシーズンもピークを迎えています(9/8)。

蕎麦の花で埋め尽くされる八ヶ岳を望む圃場。

お天気の良い午前中には、八ヶ岳の周囲に点々としている開けた圃場で美しいコラボレーションが楽しめます(9/9)。

少し雲が多めながら晴れてきた空。お祭りの音に誘われて路地の中に迷い込むと、提灯が吊り下げられている路地に行き当たりました。伊那や南信の古い街並みに見かける、路地を跨ぐワイヤーの付いたこのような鉄の門構え。使っている様子を見るのは初めてです(塩尻、平出)。

秋の眩しい陽射しが雲間から零れる午後。そろそろカメラのスタンバイ。

陽射しを一杯に受けて、実をいっぱいに付ける垣根仕立ての葡萄畑。美しく整備された葡萄の木々が開けた台地の上に並びます。

振り返ると、棚仕立ての葡萄畑。眩しい日差しが差し込む木漏れ日の中に、笠を掛けられた葡萄が甘い香りを漂わせています。名物のナイアガラ収穫はもう暫く後との事で、後ろ髪引かれながら撤退です(9/10)。

台風の到来が伝えられた今週。既に標高の低い武川の辺りでは先週末から稲刈りが始まったと伝えられていましたが、2倍ほど標高が高い甲斐駒を望む圃場にもコンバインが乗り入れ、早生の刈り入れが始まったようです。慌ただしい秋の収穫シーズンが始まります(9/13)。

圃場の脇に降り立って稲穂の群れを眺める朝、甲斐駒の上空から雲が昇っていきます。稲穂たちは静かに熟す時を待ち続けます。

綺麗に晴れ上がった空の下、実りの彩に包まれる圃場。

遠望する八ヶ岳も少し色褪せて、秋の装いの準備に入ったようです(9/14)。

週末に向けて天候が崩れ始める朝。うっすらと雲を吹き上げる八ヶ岳も少ししっとりした表情を見せはじめます(9/15)。

昼過ぎから台風の余波で雨の降りだした週末。圃場を埋める稲穂たちも、雨を受けて重たく頭を垂れています。

標高1000mを越える圃場に広がる蕎麦畑。目の前に重く垂れこめた雲の下を稜線沿いに足早に雲が流れていきます。

日没を迎えて雨脚が強まってきた連休の夜。どうか無事に通過してくれますように。

 

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乏しい夏空(2017.7.20~8.19)

梅雨入り前は少雨が伝えられ、農作業に支障をきたすほどの空梅雨模様と言われた一方、梅雨明けが伝えられてからは連日の曇り空に、夕暮れになると激しい雨。

既にお盆が明けると、夜には秋の虫声が響き渡るここ、八ヶ岳南麓の高原地帯は秋の雰囲気が濃厚に漂っています。

乏しかった夏の日射し、十数年前のあの夏を思い起こす方もちらほらと聞こえてきますが、農作物の為にももう少し持ち直して欲しいと思いながら。

まだ夏も始まったばかりの7/20。水田の苗はまだ伸び盛りの時期です。

既に曇りがちになり始めた7月の後半。足元には雲海が浮かぶ夕立が過ぎ去った後の夕暮れの空(7/22)。

強い雨が過ぎ去った8月最初の朝。圃場に広がる早生の間からすくっと立ちあがった稲の花が開き始めます。

花弁を下ろす稲の花。実を結ぶ瞬間です(8/1)。

時折晴れ間も見せる夏の空。

南アルプスの上空に低く垂れ込めた雲と、上空の高い空の雲の間にコントラストが出来上がります(8/4)。

台風一過の翌日。夏とは思えない抜けるような青空が八ヶ岳の上空に広がりました(レンズにゴミが…)。

少し黄味を帯び始めた圃場を埋める稲穂には既にびっしりとお米の粒になる実がつくようになっています。

すっかり夏の装いとなった八ヶ岳。夏場はなかなか難しいのですが、雲が取れると、山頂付近まで緑に染まる姿を見る事が出来ます。台風が残していってくれた景色です(8/9)。

お盆を過ぎると、高原の空は高く伸びる雲が混ざる秋の模様を見せはじめます。徐々に実が入り、頭を垂れ始めた稲穂に実りの期待と不安が交る空模様が続きます(8/17)。

高原野菜の畑の上で夏と秋が交じり合う昼下がりの野辺山。陽射しは眩しくとも、涼やかな風が吹き抜けます。

どうしても夏空が恋しくなって長駆すること約4時間。標高2000mオーバーの灌木が広がる山際、雲が目の前を通り抜けていきます。午後4時前には涼しい気温19℃。

漸くの青空に恵まれた、草津白根山の山頂を西側から。6月の初めに入山規制が緩和されたため、漸く山頂近くまで廻り込む事が出来ました(自宅からゲート閉鎖時刻までに辿り着く自信が無い)。

今は通行できない山頂側の登山道前に設けられた解説板。殺生河原以外でも途中、所々で火山ガス臭が漂っており、例え噴煙が上がっていなくても、生きている火山である事を実感させます。

灌木の先に望む草津白根山の山頂付近。森林限界と火山ガスの影響か、山頂付近は荒れたままです。

高い山の空は劇的に変化していきます。西の山際からは雲が沸き立ってきました。

中央分水嶺の一つ、草津白根山の肩に位置する山田峠に設けられた石碑。国道のピークとなる渋峠の少し手前に位置しています。辺りは霧に包まれ始めました。

霧の合間から望む、草津白根山の山頂。緑に覆われた灌木たちも、標高の高いこの場所では、あと1ヶ月も経たずに、秋の色に彩られるようになります(8/19)。

夏空に恵まれなかった今年に名残の一枚(8/10)。

既に秋の足音が夜になると響き渡る八ヶ岳南麓。陽射しが乏しくとも暑かった日々もあと僅かです。

ちょっとマイナーな中央構造線露頭は、ゲートの奥の素敵な小天地(中央構造線、板山露頭)

ちょっとマイナーな中央構造線露頭は、ゲートの奥の素敵な小天地(中央構造線、板山露頭)

中央構造線沿いには、幾つかのジオパークが控えていますが、その最も判りやすいポイントとして挙げられ、色々な解説でも採り上げられるのが「露頭」ではないでしょうか。

有名な観光地になっている糸魚川は良く知られているところですし、かの大鹿村の某博物館界隈には、国道152号線沿いに(この場合は正しくは酷道と書くべきですね)2つの露頭が控えています。

大鹿村に比べるとちょっとマイナーなのが、伊那市内の旧高遠と旧長谷にある露頭。長谷(溝口露頭)に関しては、それでも美和湖の畔にあり、駐車場が完備されていますので、道の駅(ここの手作りパン、特にクロワッサンは絶品です)に寄る序にでも訪れる事が出来ますが、それらに比べると圧倒的にマイナーな露頭がもう一つあります。

杖突街道を杖突峠から高遠に抜けていく途中、もう少しで高遠という場所にあるガソリンスタンド(エネオス)を抜けたすぐ先に、このような看板が立っています(本当は、この先100m程の所にもっと立派な案内看板が立っているのですが、左折すると、短い区間ですがいきなりすれ違い絶対不可の1車線道路に連れ込まれるので、個人的には多少なりとも道幅のあるこちら側から入る方がお好みです)。

暫く走ると、このように案内看板が見えてきます。案内に従って路地に入ろうとすると…。

中央構造線、板山路頭のゲート前

何とゲートで封鎖されています。なにやらゲートに書かれているのでもう少し近寄ってみましょう(道幅狭いので、路駐せずに奥へ)。

「ご自由にお入りください」の表示です。ちょっとほっとして、ラッチを外して中に車を進めます(お願い:ゲートの掲示にも書かれていますように、お帰りの際には「必ず」ゲートのラッチを閉めて下さいますよう、お願い致します。ゲート付き進入可の林道と同じルールですね)。

ゲートを開けたら、チェーンを左右のポールに引っ掛けておけばOKです。ゲート奥の右手が駐車スペースになります。

駐車スペースに用意された周辺案内看板。露頭までは約80mと至近です。

では、てくてくと歩いてみましょう。

ほんの数分歩くと、このように案内看板が見えてきます。すでにこの位置からでも露頭の様子が判りますね。

立派な案内看板が用意された、中央構造線、板山露頭。今まで中央構造線の露頭は5カ所見てきましたが(南アルプスジオパーク内はこれでコンプリートです。あ、程野は麓を通過しただけだった)、一番丁寧に解説された看板ではないでしょうか。こういう看板が糸魚川にも”露頭の目の前”に欲しいのですが…。

北川露頭のような、頭上遥か高くから目の前に迫ってくる圧倒的な露頭ではありませんが、高さは3m弱、視線の正面で見られて、はっきりと判りやすい露頭です。

露頭のアプローチ路の途中で見られるのですが、左側の脆く崩れた岩肌には植生が見られますが、右側の黒い岩肌には植生があまり見られません(僅かに松が岩に食い込むように生えているだけです)。脆く風化しやすい地質では定着するのは本来難しいですが、根を張る事は出来るためにこのような違いが生まれるようです。

南アルプスジオパーク内にある5つの露頭のうち、板山以外の4つは露頭自体の見学が終わればジオサイトとしての見所としてはそこまでですが、板山露頭の場合には、もう二つ、お楽しみが用意されていました。

一旦、駐車場まで戻って、案内板に従って、左側の細い道(階段)を登っていきます。

急な斜面の墓地を抜けると、目の前の視界が開けてきます。正面には、戦後、高遠城内から移築されたと云われる鳥居が立っています。

鳥居を抜けてすぐ先に小さな石柱で区切られた広場が見えてきます。

広場に入ると、狭い谷間を抜ける杖突街道とは一線を画す空の広さ。一気に視界が広がってきます。

正面には比較的最近に建てられた神楽殿。私の住んでいる場所もそうですが、この地方は神楽や農村歌舞伎(すぐお隣の大鹿はとくに有名ですね)の伝統が色濃く残っています。

神楽殿の裏手には、小奇麗な社殿が建っています。昭和23年にこの地に遷された、殿宮神社と呼ぶそうです。

そして、境内の裏手には、足元に杖突街道を見下ろすパノラマが広がります。

殿宮神社から見渡す、杖突街道と中央構造線の解説板。

解説板と同じカットを。杖突峠に向けてうねるように登っていく街道筋と中央構造線、そして左右の山並みの違いが判るでしょうか。

暫し周囲の山々の絶景を堪能した後で、今度は山側の遊歩道を降りていきます。

途中、眩しい新緑のトンネルを抜けていきます。

ぐるっと下っていくと、谷筋の窪地にレンゲツツジの群落が出来ています。

建てられた石柱を見ると、どうやら植樹したようです(三葉ツツジと彫られていますが、案内板にもあるようにレンゲツツジですね)。

下まで降りて、レンゲツツジの群落を。丁度シーズンを迎えて満開となっていました。

非常に綺麗に整備された中央構造線、板山露頭。要所に掲示されているように、南アルプスジオパークの登録に向けた一連の整備事業に依る所が大きいようです。

お天気の良い週末の土曜日、しかもレンゲツツジが見頃という絶好の訪問タイミングにも拘わらず、私が滞在していた小一時間ほどの間に訪れた方は残念ながらゼロ。国道沿いからこんなに近くて、しかも整備されて見やすい場所なのですが、なかなかに難しいジオパーク。杖突街道を見下ろせる貴重な高台に至るにしても、僅かに歩く事、5分ほどです。

高遠にお越しの際のほんのちょっとの寄り道として(実はこの先の小豆坂トンネルを抜けると長谷に通じており(反対側はかの有名な廃集落、芝平からラフロードを登り富士見方面に抜ける事が出来ます)、桜のシーズン、杖突峠側からの渋滞を避けて、逆サイドの美和湖側からアプローチするための抜け道だったりもします)、更にはこの先に繋がる”酷道”ツアーの付け合せに如何でしょうか。

中央構造線、板山露頭の周辺地図です(地理院地図を使用しています)。

<おまけ>

緑の中へ(2017.5.27)

雨上がり、風は強いながらも上々なお天気となった土曜日。

少しずつ冬物を片付けた後、陽射し一杯の午後に出掛けます。

午後の陽射しが差し込む明るい落葉松の人工林。

軽やかな緑が、森の中を染め上げます。

落葉松に囲まれて、黄緑色の新緑を装いう白樺の木。

緑の小路を進んでいきます。

緑に染まる、千代田湖の湖畔。テントを持ち込んで、ランチを楽しむ皆様が湖畔にちらほらと見られました。名物のレンゲツツジ開花はもう少し先。

緑に染まる森の中で包まれる昼下がり。

千代田湖の森を抜けて、谷筋を下ると、一番奥に位置する集落、松倉へ。田植えの済んだ新緑の棚田の向こうに杖突街道に下る谷筋が見えています。

緑の苗の間を抜ける漣。山里に広がる小さな海辺のワンシーン。

長く、長くなった日射しが西に傾く頃、綺麗に植えられた苗が広がる伊那谷のある小さな圃場にて。奥に広がる木々とのコントラストが楽しめるのも、このシーズンならでは。

5月らしい、気持ちの良い風が伊那路を抜けていきます。

 

 

一時休館を迎えた上越市立水族博物館を訪ねて(2017.5.14)

一時休館を迎えた上越市立水族博物館を訪ねて(2017.5.14)

今を遡る事10数年前。

国内業務に戻った後、最初に主担当として受け持った顧客先が立地していたその地には、幾度となく足を運んだものでした。

目の前には燦々と太陽が降り注ぐ見慣れた太平洋と異なり、何処までも深く濃い群青が広がる日本海の海と空をバックに佇む、少し古びたその水族館の前を通るたびに、何れは仕事を忘れてじっくりと訪ねてみたいと、厳しい仕事の僅かな隙間に幾度となく願ったものでした。

その後、自らの立場も住む場所も変わり、かの地に行く事自体が憚られるようになってからも、あの時の想いは心のどこかで燻っていたようです。ニュースで流れていた指定管理者制度の導入と新水族館の建築。そしてあの時、強い印象を残した現水族館の解体という知らせを聞いて、休館前の最後の日に、再び足を運ぶことにしました。

実に13年ぶりに訪れた直江津の海辺に立地する、上越市立水族博物館。

最終日となった5/14には記念式典が催される事になっているようです。

外装は2010年に魚が群有する陶器のパネルを取り付けるなど改装されていますが、本館は1980年に建築された、最近の水族館ブームから見れば、かなり古い施設と言えるかもしれません。

玄関に掲示された休館のお知らせパネル。

ロビーに置かれた、直江津港で採集されたヤシの実と古い新聞記事。

既に2015年からは指定管理者として横浜八景島が運営しており、職員の皆様の垢抜けた対応と、古びたエントランスに置かれたこの水槽のギャップが、今回の休館理由を何となく教えてくれるようです。

館内に掲示された休館を伝えるポスターと水族館新聞。殊更にキャプションされる指定管理者の名称に若干の違和感を感じながら。では、館内に入ってみましょう。

エントランスを入って最初のフロアーに位置する「トロピカルランド」。

1980年のオープン当初はメインとなる水槽であったはずですが、現在の視点で見ると奥行きもなく、照明の色合いを含めて少々古めかしい雰囲気も漂います。

この水槽でメインを張るイトマキエイ。奥行きが無い(岩の後ろにはすぐ壁が見えています)のでちょっと窮屈そうですが、それでも薄暗いフロアーに浮かび上がる、開館当時の流行に添ったパノラマ水槽は、今見ても魅力的です。

トロピカルランドの裏側には、「世界の海のさかなたち」と題された水槽群が熱帯、温帯、寒帯の3フロアに控えています。

当時一般的であった(江ノ島も、下田、油壺にしてもそうでした)、汽車窓スタイルの小さな水槽が真っ暗な壁を埋める展示形態。既に作動しなくなっている例も多い筈ですが、こちらの水族館はちゃんと水槽Noと飼育魚種の表示パネルも動作している点が、古びてはいても、実に丁寧に扱われてきた事を教えてくれます。

こちらは温帯の水槽群。

それぞれが今では家庭用レベル(趣味の方なら尚更)でもあるかもしれないサイズの水槽ですが、飼育魚数がかなり多いので、窮屈を通り過ぎで、よくぞ飼育できているなと、逆に感心してしまう程です。少数の大水槽より、このような小さな水槽を多数管理する方が、余程手間が掛かるのではないでしょうか。

こちらが寒帯の水槽群。前の2つのフロアーに対して、流石に日本海をテーマにした水族館らしく、やや大きめの水槽を配置しています。センターに位置するのはもちろん、カニです。

汽車窓スタイルの水槽が並ぶ中で、ほんの僅かでも生態展示をとの想いからでしょうか、フロアの終わりに設置されたニッコウイワナとアメマスの水槽だけは、照明も明るく、水流を与える事で、流れに逆らって群泳する彼らの姿を見る事が出来ました。

実を言いますと、開館当時の水族館フロアはここで終わり。よくある地方の動物園などに併設された水族館の規模をちょっと上回る程度でしょうか。

階段を上って2階に上がると、特等席に位置するのが、重要文化財でもある、地引網に使われた「どぶね」。その向かいには古びたマルチスクリーンシアターが設置されています。そして、一部で話題にもなっていた、懐かしい科学実験遊具が並ぶコーナーと、如何にもという感じの休憩室と売店。下のフロアーに勤務されている方々と明らかに異なる職員の方が切り盛りするそのフロアーは、施設名にあるもう一つの表題である「市立博物館」である事を色濃く滲ませています。

少し気を取り直して、デッキに出ると、心地よい海風が吹き抜けています。

足元には、ペンギンプールが広がっています。

屋上デッキから望む日本海と、建屋の外に設置された収容200人ほどの屋根付きスタンドを有するマリンスタジアム。夏場になると提携水族館からイルカと飼育員が派遣されて、イルカショーが行われていました。今日の休館式典の会場でもあります。

屋外プールの全景。実はこれらのプールは開館してから大分経った1993年に増設されたもの。

ここに、本水族館が長い議論の末に、(結果的には北陸新幹線の開通に間に合わなかったものの)新たな施設へと飛躍することになるきっかけとなった、飼育されている動物達がいるのです。

昼下がりの陽射しを一杯に受けてエメラルドグリーンに輝くペンギンプール。

幅にすれば僅かに10m程に過ぎませんが、このプールと、そしてここで飼育されているマゼランペンギンたちこそが、この水族館を日本海有数、いや日本のみならず世界的にも著名な水族館としての名声を得るきっかけとなった舞台なのです。

水槽の中を生きよい良く泳ぎ回るマゼランペンギンたち。

この水族館は日本最大、実に126羽ものマゼランペンギンを飼育しており、多くの仲間たちを日本中の水族館に旅出させている、世界的にも傑出したペンギンの飼育技量を有する水族館なのです。

では、飼育熱心だからお堅い場所かと思えば全く逆で、一日何度か実施されるお食事タイムには希望者全員(全員ですよ、全員!)がこんな目の前のデッキから直接ペンギンに餌を与えられる(ケンカになるから、手渡しではなくちょっと投げて下さいね、と)という、流石は市営というフレンドリーさも兼ね備えている点が、この水族館の実に素晴らしい点ではないでしょか。

狭いスペースながらも多くのペンギンが飼育されている事で、これだけの群泳を目の前で堪能出来る(シャッターチャンスもそれこそ幾らでも、後は腕の問題…)貴重な空間。もちろん、群れで暮らす彼らにとっても、飼育環境以外はより自然な姿の筈です。

 

休館前の最後のショーが終わった後、まだまだ食欲旺盛なペンギンたちが餌に群がる中、摂食の様子を観察しながらフリッパーに付けられたNoのカウントを取っていく飼育員さんたち。このような地道な積み重ねが、日本最大の飼育数の実績を支えているのだと実感しながら(見学デッキで、元飼育員さん?だったのでしょうか、以前の事を良くご存知の方が関係者の方とフリッパーのNoを指しながら談笑されていたのが印象的でした)。

マリンスタジアムに設けられた休館記念式典会場に掲げられた横断幕。

休館を聞いて駆け付けた多くの来館者で満員立ち見となったスタンドに手作り感溢れる休館式典と対照的な、来賓者の皆様の微妙さを通り越した挨拶については、ここで述べるのは止めておきます。

式典が終わって再び館内に戻ると、最後のショーが各所で始まっていました。

円筒形の本館部分に接続する形で設置されている「マリンジャンボ」こちらも、屋外のプール同様にバブル崩壊直後の1993年に増設されたもの。餌の周りに遊泳しているのはアジなのですが、まるで熱帯水槽のようなコバルトブルーと黄色系の照明が、魚たちの色を熱帯魚のように見せており、微妙な印象を与えます。

エスカレーターが設置され、フロア2層分を貫く、全方向から見る事が出来る大きな回遊式水槽「マリンジャンボ」。地方の市営水族館としては当時としても破格の設備だったと思われます。そして、熱帯水槽を思わせる照明とショーのスタイルを持ち込んだのは、現在の指定管理者である横浜八景島(この点は、資料でも、前述の来賓発言でもきっちり述べられています。ちなみに、元の照明はパンフレットの写真に掲載されています)。今回の休館により取り壊されてしまうという、当時日本最大の板厚を誇るアクリル板を用いた大水槽。実はこの水槽が設置された年が、奇しくも八景島シーパラダイスのオープンと同年であると聞くと、最後に挨拶に立った、八景島から派遣されてきた現在の館長の言葉が皮肉にも聞こえてくるのは私だけでしょうか。

そして、休館1時間前となる午後4時。びっしりと人で埋まったメインロビーの壁面を彩る、民営から数えて80数年、5代目となるこの施設が開館してから37年間メインを張ってきた円弧型水槽「トロピカルランド」で、全施設を通しての最後のショーが終わりました。

遠く妙高を望む海辺の水族館。

隣では、新しい水族館の建屋建設の真っ最中です。6月頃までにはオープンとなる予定だそうです。

休館記念式典に参加した全員に配られた、この水族館を象徴するマゼランペンギンの羽が織り込まれたしおりと、館内の片隅に静かに置かれていた(式典でも配られていましたが)、こちらも指定管理者とは程遠い、市の推進部署が制作した、手作り感溢れる、カラープリンター印刷のこれまでの歩みと、来年度の完成告知パンフレット。

新しい施設のパンフレットを見ると、これまでのアットホームな雰囲気とは異なり、最先端の展示メソッドをふんだんに盛り込んだ、通年実施可能なマリンショーを軸に置いた、美しいギャラリーのような施設になるようです。なにやら敷居が高くなりそうですが、それでも、これまで待望して止まなかった、「展示数でも日本一を目指す」マゼランペンギンの生態展示が同時に実現することは、水族館が好きな方にとっても、其処に暮らす彼らにとっても望ましい事。

駐車場に戻ると、案内看板を片付けるスタッフジャンパーを着た方々が撤収作業を始めていましたが、そこには明らかに水族館のフロアーに居たスタッフや飼育員とは年齢層の異なる方々が。2階のフロアにいらっしゃった職員の方を含めて、次のオープンの際にはどのようになされているのだろうかなどと考えながら。

水族館を取り巻く環境が激変する中、多くの個性的な水族館が林立する日本海、そして新潟エリアに於いて、それこそ日本だけではなく世界に誇る美しくも「育てる水族館」として、これまで培ってきた実績の先に新たなスタートを切る事を願いつつ、長年の想いを果たして、夕暮れ前の日本海を後にしました。

落穂ひろいですが、飼育されていた生き物たちのうち、メインであったペンギンと海獣は系列の三津および八景島シーパラダイスにそれぞれ一時的に移されていますが、展示コンセプトが大きく変わる為でしょうか、多くの飼育されていた生物たちは戻ることなく上記2館および各地の移譲先に留まるようです。

静かなGWの一コマを、最終日の夕暮れに美ヶ原と霧ヶ峰(2017.5.7)

お天気が不安定だったGW後半。

日曜日の今日も、南アルプスは日射しはあれど雲が多めで残念と諦めかけていた午後、窓を開けて北の空を眺めると、なんと雲が無い。慌てて夕暮れ迫る山並みへと車を走らせます。

車を走らせること暫し、流石に連休最終日とあって通行量もめっきり少なくなったビーナスラインのどん詰まり、美ヶ原の入口、山本小屋の駐車場まで一気に登ります。

日影に当たる場所にはまだ雪が残る美ヶ原。車を降りると、冷たい風が草原を吹き抜けていきます。

遠く蓼科山と南八ヶ岳の峰々が裾野を広げます。東の空には月が上がってきています。

気温は10度を下回り、時折強い風が吹く美ヶ原。上着なしではちょっと危ない状況なので、程々にしながら草原の遊歩道を歩きます。

殆ど人影のない遊歩道を行くと、眩しい西日を浴びる主峰、王ヶ頭の電波塔群と美しの塔が見えてきます。

西日を浴びる東の空には大きな雲が広がります。空の向こうに連れて行ってくれそうな眺め。美ヶ原のハイライトは朝や日中より西日の時間帯なのではないかと、来る度に思うシーンです。

美しの塔の前まで来ました。夕日を狙ってスタンバイしている方もいらっしゃいましたが、上着も持ってこなかった大馬鹿者は此処で撤退。視界の中に人影はほんの数人。折り返しで美術館側にも行ってみましたが、広大な収容800台の駐車場に止まる車は僅かに2,3台(自分含む)。ピーク時には満車となってしまう事もありますが、最終日の夕暮れ時にはひっそりと静まり返っていました。

既に薄暗くなり始めたビーナスラインの東側から和田峠の鞍部を越えて西側に抜けると、一気に夕日が眩しく差し込んできます。

西日を一杯に浴びる霧ヶ峰、高く上った月が西日に照らされて輝いています。

遠くに望む八ヶ岳の上空には、その長い山体に添うように南北に太々とした雲が伸びています。これじゃ周辺の天気が良くなっても、山麓では気が付けない訳です。

そうこうしているうちに、日射しがゆっくりと西の山並みに沈み始めます。夕日が眩しかった草原も谷筋から徐々に暗闇に落ちていきます。

日没。空が昼と夜の境界を渡っていきます。

雲が微妙に山筋で割れたために、再び日差しが差し込んできました。

空は黄砂の影響でしょうか、黄色く霞んでいます。

再び日差しは雲間に沈んでいきます。

もう殆ど人の居ないGW最終日の日没を迎えた霧ヶ峰。

皆様はどんなGWをお過ごしになられたでしょうか。

 

落葉松に浸る午後(千代田湖、日影入林道)2016.11.5

ぐんと冷え込んで、秋らしい好天が続く週末。

お天気が良いと、用事が無くても出かけてしまいたくなります。

p1080954買い物に出かけた途中で振り返ると、落葉松の黄葉に包まれる八ヶ岳がくっきりと見えています。

これだけ色付いていれば、気持ち良い落葉松林に足を延ばしたくなるのが、落葉松好きの性。もう少し標高を上げたいので、八ヶ岳とはちょっと離れた場所に足を延ばします。

p1080995八ヶ岳の向かい側、長く伸びた南アルプスの稜線が諏訪湖に落ち込む突端に位置する杖突峠の裏には、静かな、静かな別天地があります。

シーズンを終えてひっそりと静まり返るキャンプ場が森の中に点在する、千代田湖の畔。

p1080992湖畔の落葉松は見事に黄葉に染まっています。さあ、森の中へ。

p1090027湖畔を彩る落葉松の黄葉は今がピーク。もう少しすると、落葉松のシャワーが降り始めそうです。

p1090053森の中を抜けていくと、小さな沢の畔に一本のモミジが鮮やかに紅葉を魅せています。

p1090052落葉松とモミジの彩を一緒に。

p1090056麓に下って、片倉の集落から見上げると、西に広がる山は色とりどりの紅葉に囲まれています。

遅れていた秋も一気に深まってきました。