この夏、緩やかな旋律に委ねる快適音楽へご案内「GONTITI あまんちゅ!~あどばんす~」オリジナルサウンドトラック

この夏、緩やかな旋律に委ねる快適音楽へご案内「GONTITI あまんちゅ!~あどばんす~」オリジナルサウンドトラック

もう、一曲目のウクレレの「ぽろろ~ん」でやられてしまう。

日射しも眩しく暑くなってくるシーズン、せめて聞こえてくるサウンドだけでも心地よくなりたいもの。

特に高原に住まう身としては、暑さを吹き飛ばすロックというより、風に乗って流れてくるような爽やかなサウンドが欲しくなります。

そんな事を考えながらふと耳に「留まった」サウンド。試聴で聞いてみたらどの曲も心地よさに溢れていて、思わずCDを買い込んでしまいました。

「GONTITI あまんちゅ!~あどばんす~」オリジナルサウンドトラックです。

作品自体は、6月まで放送されていたTVアニメーション作品のサウンドトラック。楽曲を担当するのは何とGONTITIさんです。

是枝裕和監督作品への楽曲提供でも知られる、今年結成40年を迎えるイージーニスリングの大御所でもあるアコースティック・デュオが何でアニメーションのサントラを(多分、ヨコハマ買い出し紀行以来ではないかと)、しかもレーベル違いだぞ(GONTITIさんはEPICソニー、本作はビクター)等と思いながらも、サウンドプロデューサーさんが、同じ原作者、総監督さんでアニメーション化を手掛けたARIAと同じ方と聞いて納得。作品のサウンドに拘る総監督さん(奥様が劇伴演出を担当されます)と高いクオリティのサウンドトラックを指向される音楽制作さんのコラボレーションからの依頼により、レーベルを超えての参加となったようです。

実際には2作目となる今回のアルバム、前回の第一弾の際にも楽曲自体は少し聞いていたのですが、その時にはちょっとピンとこなかったのが事実。作品自体も「日常ドキドキ」といった明るさを前面に掲げていたためでしょうか、楽曲を含めて、ややせっかちでちょっと疲れてしまうイメージが強かったので積極的に聞いてみようという意識があまり働きませんでした。

第二期の放映開始に際して語られた総監督さんのインタビューと、その後のGONTITIさんのインタビュー内容でもその辺りの事が語られており、軌道修正となった本作。楽曲にも、コケティッシュな演出も得意とされる女性監督さん(本作ではシリーズごとに別の監督さんを置かれています)のちょっと抑えた演出にも、その変化が色濃く表れています。

GONTITIさんはアコースティックギターデュオですが、舞台を彩る様々なシーンに合わせる必要があるサウンドトラックの場合にはそれだけでは不足。ギターをメインとしながらも、メインメロディに載せて様々なパターンの楽曲が用意されます。特に全幅の信頼を置いているという、ピアノの黒木千波留さん演奏、ピアノアレンジによる楽曲には、明らかに前作であるARIAのサウンドトラックの影響が強く感じられます。そして、インタビューでも繰り返し述べられていた「間延びしてしまう」とそのオーダーに危惧するほどスローにしつらえ直された旋律は、むしろ四季それぞれに鮮やかに彩られた伊東の海と空の下で、緩やかに流れる時を紡ぐように奏でていくようです。

美しい二人のギターセッションを響かせる曲(#3,21,24)、小気味よいシンセサイザーによるアクセントで如何にも海のリゾートサウンド然とした楽曲(#4,16,18)から、テンポよく歩いていくドラムスで刻む曲(#19)、峠の我が家を思わせる夕暮れをイメージした曲(#6,22)、GONTITIのメロディはそのままに、前作ARIAのイメージにも重ねて奏でられる緩やかなピアノの旋律(#8,23)とワルツ(#13)。インタビューでも答えられていますが、自身のアレンジでありながら、フルオーケストラの演奏に委ねてミックスダウンを行った、メインテーマを用いたグランドエンディングとなるエピローグ(#25ラスト)。本作のボーナストラック、ゲスト収録となる窪田ミナさんの手による、神秘的なコーラス曲(#11)まで。

海辺の町、伊東、伊豆高原を舞台にダイビングをテーマにした作品のサウンドトラックですが、広々とした緑が広がる高原の景色にも似合う、この夏をきっと快適にしてくれる、穏やかな心地の良いサウンドたち。

ちなみに、私のお気に入りの一曲は、ちょっと?夢見心地のシーンで使われた、シンセサイザーの音使いにも懐かしさを感じさせる、#12.CHAKOMONです。フィルム全体を包むまったりとした雰囲気と、ふわっとした跳躍感のバランスの良さが楽曲と見事にリンクする、シリーズの中で一番のお気に入り回でもあります。

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心を編み、彼方へと水面を飛び立ち再び静かに舞い降りる。清々しい旅するアコースティックサウンド(「宇宙よりも遠い場所」オリジナルサウンドトラック)

New!(2018.12.9)

選評者のコメントもこの作品の特性をとても良く捉えているようです。各種の配信サービスで観る事も出来ますので、未見の方は是非。

 

仕事に行くにも買い物をするも、もちろん写真撮影も…何をするにもまずは車に乗らないことには始まらないのが、田舎暮らしの現実。

車に乗っている時間が長くなるとどうしても恋しくなるのが、音楽。特に仕事の行き帰り等でリラックスして運転したいときには、お気に入りのサントラなどを車内で流しておきたくなります。

最近はリリースの数が大分減ってしまったのですが、CDやDLでぽつぽつとサントラを買っている中で、お気に入りとなった一作の紹介です。

今年の1月から3月まで放送されていた、こちらのアニメーション作品のサントラ

作品については色々な形で語られているかと思いますが、オリジナルシナリオで放映当初はあまり注目されていなかった作品。私自体も制作協力として国立極地研究所が携わっていた(というか、作品自体そちら方面からの告知で知ったくらい)ので視聴を始めたのですが、女子高生が民間南極観測隊員として南極を目指すというファンタジーにも拘わらず、極地研の全面協力による現実感を伴った舞台設計と、家族や大人の隊員たちとの関係も描く事で虚構感とのバランスを取りつつ、ち密に描き込まれるストーリー、同じくらいにファンタジーに現実感を持たせる美しい背景描写。往年の作品(バイファムを思い出してしまいました)を思わせる、愛らしくも安心して見続けられるキャラクター造形。あくまでもエンターテイメントとしての視聴者を楽しませる作品の中に、自分の過去を振り返りながら心の機微という形で彼女たちを表現したいと願った女性監督さんが、繊細な演出に織り込む想いが結実した、近年稀に見る良い作品になっていたかと思います。

その現実感と心の機微をサウンド面から支えていたのが、絶妙なタイミングで映像に差し込まれていく、藤澤慶昌さんが手掛ける挿入歌とサウンドトラックたち。

アルバム2枚組相当、OP/EDのボーカルなしアコースティックバージョンを含む全48曲という、13話のTVシリーズとしてはかなりのボリューム。同一のメロディラインで、ちょっと聞いただけでは、あれ、同じ?と思う曲の微妙なアレンジの違い(1-14. ちょっと待ちなさーい!、1-15. 待って待って待ってー!や、1-21. き”も”ち”わ”る”い”…、1-22. あ”ー…のように)を聴き比べるのも、サントラならではの楽しみ。

思わずコスモ…(禁則事項)となった、1-1.南極の太陽で始まるDisc1は主に日常の場面を扱った楽曲たち。ちょっとコケティッシュで楽しそうな、様々な場面を鮮やかに彩る曲。1-6.憩いの自動販売機、1-7.井戸端会議、1-12.軽く死ねますね、1-13.まあなんとかなるんじゃない?等の日常ドラマでもよく使いそうな楽曲も多く収録されていますが、1-2.青春の始まりから1-5.通いあうココロまで、1-9.夕暮れの帰り道のような、伸びやかでアコースティックな楽曲には強く惹かれます。中には、1-11.南極少女のような、少しミステリアスな感じを出す曲や、1-20.何か隠していることはなぁい?といった、作品中で一番?背筋の寒くなる、ここ一番のシーン(おたま、ぺしぺし…です)で使われたホラータッチの曲も織り込まれています。

後半は日常を離れてドラマチックな舞台へと誘う曲たちが続きます。

場面の余白を埋めていくかのようにギターの音色とコーラスが響く、遠くへ旅立つ思いを伝える1-24.大人からのYellからDisc2へ続くアコースティックな楽曲たちは、日常を飛び出したその先に描かれる風景。

光輝く水面を蹴って羽ばたいていく飛翔感が気持ち良い、作品のテーマメロディとなる楽曲の2-15.Bon Voyage! ~Main Theme~、次の場面をゆっくりと押し開けていく2-4.見つけた答えから、2-5.私たちは必ず南極に行く。組み合わされる、落ち着いた雰囲気を醸し出す1-23.確かめたいことがあるからと、1-25.忘れ形見。スケール感を感じさせる楽曲が、ロードムービーとしての雄大な旅の一ページを思い起こさせてくれます。

そして、2-9.消せない記憶をピークに、2-7.もう届かないから、2-13.失われた命まで続く、物語の底辺に据えられた伏流を辿る楽曲。この作品のもう一つのテーマ、独りでは融けない暗く蠢き揺れ動く心が織りなす綾をじっくりと表現しているかのようです。

そして、クライマックスで印象的に使われた、2-6.最後まで諦めないの、疾走しつつも低く抑え込まれる感情。伏線を回収するその後の場面で、悲しさを埋める様に奏でられる、ボーカルを添えられた、2-23.またね。

旅の果てに行き着いたシーンを振り返るように、本編を閉じるシーンで使われた2-20.きっと忘れないを聴いていると、ひとつの旅路がゆっくりと終わりを迎えていく事を感じさせてくれます。

日常から遥か彼方に旅立つ飛翔感と、心の機微に寄り添う繊細な想い、そして再び日常に舞い降りるまでを凛とした清々しいアコースティックな楽曲たちで彩るこのアルバム。海からはるか離れた山里を行き交う時でも、その楽曲たちが奏でる心地よさは、いささかも変わる事はありません。

収録曲の一覧です。旅路の先に、どんなシーンを思い出されるでしょうか。

Disc 1

1. 南極の太陽

2. 青春のはじまり

3. のんびり昼下がり

4. 朝が来た

5. 通いあうココロ

6. 憩いの自販機前

7. 井戸端会議

8. よっし始めようか!

9. 夕暮れ時の帰り道

10. いい天気だねー

11. 南極少女

12. 軽く死ねますね

13. まあなんとかなるんじゃない?

14. ちょっと待ちなさーい!

15. 待って待って待ってー!

16. ホッと一息

17. えーっと…え?

18. 無理無理無理!

19. だぁかぁらぁ!

20. 何か隠してることはなぁい?

21. き”も”ち”わ”る”い”…

22. あ”ー…

23. 確かめたいことがあるから

24. 大人からのYell

25. 忘れ形見

 Disc 2

1. ともだち

2. おもいで

3. ひとりぼっち

4. 見つけた答え

5. 私たちは必ず南極に行く

6. 最後まで諦めない

7. もう届かない想い

8. 心に絡まる鎖

9. 消せない記憶

10. 失った親友の面影

11. 溢れ出す想い

12. ぜっこう

13. 失われた命

14. 親友との約束

15. Bon Voyage ! 〜Main Theme〜

16. 任務遂行

17. 状況説明

18. 予感

19. 緊急事態

20. きっと忘れない

21. The Girls Are Alright! 〜Piano Version〜

22. ここから、ここから 〜Piano Version〜

23. またね

個人的に印象深かったのが、操船経験者として実感が湧く、嵐の南極海を往く8話の、1-21. き”も”ち”わ”る”い”…から始まる一連の船酔いのシーン。気持ち悪さとグルグルしていく想いが重なり合う中で、(本当はいけないのですが)暗闇の中、嵐の甲板へと出ていき、その先に広がる「違う日常」へと、その両方を振り切っていく、c/wのOne Stepへと繋げていくシーンが大好きです。

妹尾武さん久しぶりのサントラはちょっと懐かしい日本映画テイスト入りで(いなり、こんこん、恋いろは。オリジナルサウンドトラック)

妹尾武さん久しぶりのサントラはちょっと懐かしい日本映画テイスト入りで(いなり、こんこん、恋いろは。オリジナルサウンドトラック)

ピアニストの妹尾武さんは、作曲家としても数々のアーティストに楽曲を提供していますが、もう一つ、映画やドラマ、アニメーションのサウンドトラックも手掛けていらっしゃいます。

作品数は少ないのですが、落ち着きのある、ちょっとほっとさせられれるサウンドトラックは、提供したアニメーションに限らず、多くのテレビ番組(特に旅行関係が多いのでしょうか)のバックに用いられていますので、ノンクレジットとはいえ、皆さんも一度はお聞きになったことがあるかもしれません。

そんな妹尾武さんが、5年ぶりに手掛けられたサウンドトラックが、今回ご紹介する一枚です。

いなり、こんこん、恋いろは。オリジナルサウンドトラック1今年の1~3月シーズンに放映されていたアニメーション作品「いなり、こんこん、恋いろは」のサウンドトラックです。

アニメに登場するキャラクターを差し置いて、CDのジャケットでピアノを弾いている妹尾さんを前面に出している、この手のアルバムとしては極めて珍しい構成のジャケットですね。

そして、帯も作品のタイトルは小さめに、妹尾さんのお名前が目立つように書かれています。

それもこれも、このサウンドトラックが実に力を入れて作られた証拠。

ライナーノーツを見れば一目瞭然。通常であればこのようなアニメーション作品(いわゆる深夜アニメの類)のサウンドトラックは、予算や製作期間の制約から打ち込み主体で、参加するアーティストも極めて限られるのが普通ですが、今回のアルバムはなんと、全曲スタジオ録音。しかも一部の曲はオーケストラスタッフまで参加する豪華な製作体制が敷かれています。

アニメーション作品のサウンドトラックを手掛ける会社のうち、本作も手掛けるフライングドッグ(旧ビクター音楽産業)は特にサウンドに拘りを持って制作されていますが、それでもこのような製作体制が敷けたのも、前作(ARIAシリーズ、Choro club feat.Senoo名義)が異例なほどの人気を博したことがあっての事。今回のサウンドプロデュースを手掛けるのもARIAシリーズと同じプロデューサーさんです。

いなり、こんこん、恋いろは。オリジナルサウンドトラック2かわいいライナーノーツとCDのレーベルを。題名通り、キツネのイラストがあしらわれています。

そんな豪華なサウンドが楽しめる本作ですが、テイストは前作のARIAとはちょっと異なります。

メインテーマ(No.03 いつも、こころに、青い空。)の最初のフレーズを聞いて、はっ、とされた方はご明察。ああ、そのまま続くと、某名作中の名作の日本映画(xさん…笑)が始まってしまいそうな、ちょっと懐かしさを感じさせる楽曲が多くみられます(ライナーノーツに服部良一、吉田正、山本直純各氏へのオマージュであることを述べていらっしゃいます)。

前半の多くはそんな懐かしさの漂う楽曲や、コケティッシュな楽曲続きますが(No.05 いなり、はんなり、京ぶらり、No.06 フシミナデシコ七変化)、中には緊張感を漂わせる美しい旋律の曲(No.09 Adagio for Strings,Op.1 -御魂-)があったり、和風音楽とオーケストラサウンドをミックスしてデジタルサウンド風に作りこまれた曲(No.10,11 KYOTO no.43)があったりと、サントラらしく、本来の目的であるアニメーション作品に寄り添うために作られた楽曲も豊富に取り入れられています。

そして、後半に向かうとARIAシリーズのサウンドトラックにも通じる、緩やかで、流れるようなメロディの曲が出てきます(No.16 君想う、星屑の空。、No.19 春色のワルツ、そしてNo.18 あの日の君を忘れないはご本人のピアノ独演で)。夕暮れ時や夜をイメージさせるこれらの楽曲を聞いていると、ちょっとほっとした気分にさせられます。

そして、17曲目の桑島法子さんがボーカルを務める「誰よりも大切な人へ」は妹尾さんが作編曲をすべて一人で手掛けられています。桑島さんのきりっとしたボーカルに妹尾さん演奏するメローなピアノとストリングスが響きあう、美しい一曲に仕上がっています(歌詞カードの下にも注目で)。

ボーカル曲の後はメローな楽曲が続きますが、どれも少し和風なテイストを醸し出しているところが心地よいですね。

最後(No.24 あの日の君を忘れない)は劇場映画のエンディングかと見まごうほどのスケール感のある、包み込むようなラストにふさわしい一曲。

美しい京都の風景(伏見稲荷をイメージして製作されています)に重なるように奏でられるこのサントラは、前作ARIAシリーズ同様に映像と音楽の素晴らしいコラボレーションを見せてくれています。そんな素敵な作品は何時でも楽しみたい、でもアニメーションの方はモニターの前でなければ楽しめませんが、音楽はいつでも楽しめるもの。

ちょっと心を休めたいとき、田舎道を車でのんびり走っているときに何時までも聞いていたい、そんな作品です。

ちなみに最もお気に入りの一曲は、虫の鳴き声の余韻が美しいNo.21 夏祭り、夢花火でしょうか。

ARIAのサウンドトラックたち前作ARIAシリーズのサウンドトラック達。

なんだかんだで、ピアノコレクション(2枚)を含めて、ほぼすべて買い揃えてしまいました(苦笑)。

今でも車で長距離を移動するときのBGMとして欠かせない、愛すべき作品です。