24年に渡った林原めぐみさんの「ハートフルステーション」最終回とフラミンゴスタジオが結ぶ「マミ姉」と「めぐ姉」のラジオコミュニケーション

24年に渡った林原めぐみさんの「ハートフルステーション」最終回とフラミンゴスタジオが結ぶ「マミ姉」と「めぐ姉」のラジオコミュニケーション

昨晩(3/28)、24年に渡って放送された、ラジオ関西をキーステーションにネットされるラジオ番組「林原めぐみのハートフルステーション」が最終回を迎えました。

最終回収録の模様は、スポーツ紙にも掲載されたように、デビュー曲を手掛けた辛島美登里さんを迎えての放送となったようですが、遅れネットとなる当地でこの放送を聞くのは今夜になりそうです(唯一ステレオ放送で聴けるのです)。

所謂「アニラジ」という言葉が成立する以前から放送されていたこの番組。古くは「トピア」や「ラジオアニメック」の時代からラジオに親しんでいた私としては、これらの番組を特にアニメのラジオという点で意識せず、楽しいおしゃべりが聴けるラジオ番組として愛聴していました。

そして、最終回の収録場所のキャプションを観て懐かしい想いが蘇ってきました。「フラミンゴスタジオ」、このフレーズが何を意味するかはリスナーの方によってさまざまかと思いますが、私にとってフラミンゴスタジオといえばもちろん、往年の東海ラジオをキーステーションにネットされていた、小森まなみさんの「mamiのRADIかるコミュニケーション」。

小森まなみさんがその活動の拠点として、25年間の番組が終わる最後まで大切にしてきた同じスタジオで、同じマイクの前で24年間に渡って語り続け、そして最終回を迎えた林原めぐみさん。

アイドルDJからスタートした小森まなみさんと、アイドル化が始まった時代の声優としてスタートを切った林原めぐみさん。お二人のラジオパーソナリティとしてのトークのスタイルは大きく異なるかもしれませんが、そのスタートはとても似ている気がしています。そして、お二人の息の長い活動を支えたベースには、当時としては数少ないファンとのコミュニケーション手段であったラジオがあったと思います。

本来は自分たちの活動をアピールする場所(スポンサー持ち出しの所謂宣伝番組)としてのこれらのラジオ番組なのですが、彼女たちの番組はそのようなスタイルを越えて、リスナーと真摯に向き合い、はがきを通じたコミュニケーションをとても大事にしてきたように思えます。小森まなみさんが好んで使われた言葉「心と心のキャッチボール」。放送自体はOne wayかもしれませんが、はがきを通したリスナーとのTow way communicationをとても大切にした彼女たちの番組。ハートフルステーションが阪神大震災の直後に放送された際には、非難の声も挙がったようですが、それでも番組を通してリスナーの安否を気遣い、その後、須磨の仮設スタジオに駆けつけての放送を敢行。そして20年目の今年、盟友ともいえるラジオ関西の番組(青春ラジメニア、司会の岩崎アナとラジオ関西の震災における特別放送の記録は必見に値します)に再び生放送で登場して当時の想いを語る。

昨今であれば、多様な情報伝達手段が利用できるために、ラジオによるコミュニケーション手段に拘る必要性は薄くなっているのは事実。現に、既存の有償メディアに囚われずに、ストリーミングで自由に番組を作る事すら当たり前になっています。そんな中でもラジオというメディアを大切にしてきたのは、そこがパーソナリティとリスナーたちが集まる「スペース」だからでしょうか。遅れネットなどの時間差はあれど、同じ番組を同じように聞くという、放送だけが有する同時間性が生み出す共有感を大切にしてきた、これら長寿番組たち。

番組製作者や古参のリスナーからはマスコットのように愛され、年下のリスナーからは、少し目上のお姉さんのように慕われた彼女たち。スポン サー持ち出しに近い形態ゆえに、番組構成も進行も比較的自由に組めたであろう点は、昨今続々と終了を迎えている、一社提供番組と同じような構図が見られる ようです。

姉妹番組の方はまだ続くようですが、春を迎えて一つのシーズンがまた想い出の向こうへと旅立つようです。熱心なリスナーの証でもある雑音リスナーとしてではなく、今夜だけはFMでじっくり聴こうと思います。

ICR-SW700林原めぐみと小森まなみのCDジャケット背表紙

<おまけ>

広告
Avanti最終回に想いを寄せて(一社提供長寿番組への望郷)

Avanti最終回に想いを寄せて(一社提供長寿番組への望郷)

今夜、Toyko-FM系で全国ネットされていたサントリー一社提供プログラムである「Suntory Saturday Waiting Bar “AVANTI”」が最終回を迎えました。

番組構成上、前回で既に番組としては終了しており、今回は「その後のAvanti」というコンセプトで、いつもと変わらない番組構成に徹したようですが、製作陣の番組への想いを込めた、最後の教授の一言「じゃあ、また今度の週末に」というセリフは、日常の一コマをテーマとしてきた番組としては最高のラストメッセージだったのではないでしょうか。

1992年と言う、バブル崩壊直後に始まった長寿プログラムに敬意を表するようにTokyo-FMとサントリーの協賛という形で、スペシャルなリスニングイベントを用意して、出演者が最後に登壇して、セッションを行うという(こちらのtogetterをご覧いただければ雰囲気が判るかと)、いう粋な計らいもありましたが、昨年末の山下達郎サンデーソングブック(こちらは複数社提供のプログラムとして残っていますが)に続いて、FMで放送されている一社提供の長寿番組がまた一つ、終わったことになります。

(リスニングイベント後のセッションの模様が動画で上がっています。こちらよりリンクをだどって頂ければ。THANK YOU『AVANTI』presented by JIM BEAM” 2013.3.30 セレモニー完全収録:2013.3.31追記)

一社提供、かつスポンサーの変更が無い全国ネットのFM番組というともはや「ジェットストリーム(こちらも現在は複数提供)」か「キユーピー・ハート・オブ・サンデー」位でしょうか。

21年前のリスナー層を想像すると、多分第二次ベビーブーム前後に生まれた、社会に出始めた人、社会に出る直前を迎えた大学生たちをターゲットに据えていたでしょうし、番組自体もちょっと大人の雰囲気を醸し出させ、背伸びをしたイメージを大事にしていたと思います。

出演者は何度か変わりましたが、ゲストの選定基準としては最終回までそのようなコンセプトは不変で、最終回のゲストの皆様もその道のスペシャリスト(イカがテーマというのは1月のダイオウイカのネタに絡めた事からも判るのですが、何となく番組自体が打ち切りだったのではないかと疑わせてしまいます)が出演していますので、若者をターゲットにしてきたFMのプログラムとしてはある程度知的好奇心を持った「大人」でないと楽しめない、ちょっとリスナー層の偏った構成だったと思います。

出演者のスペシャリティ度、Avantiが存在したとされる元麻布、そしてある程度経済的余裕がないと楽しめないバーという舞台設定、Jazzにスポンサーが最も必要としたウィスキーや洋酒の数々。既にバブルは崩壊を始めていましたが、それでも90年代初頭の高級路線の匂いをどこか残したまま、21年間の番組が紡がれてきたように思います。

そんな一昔前の余韻に浸れる懐かしさもあって、古参のリスナーの方々から圧倒的な支持を受け続けてきたAvantiですが、ここ数年の番組内容の改定はある意味、性急な感が否めなかったのも事実です。

21年前のメインリスナーの多くは既に社会的地位を確保し、自身と自身の大切な人たちの為に時間を費やすことが最も大事になる年代になっているはずです。そう、21年前の教授と同じかもう少しで届くくらいに。

番組から流れてくる「大人」の雰囲気はもう充分に手元に備わっていて、番組、いやスポンサーが提供したいと考えている「洋酒のある生活」を既に手に入れてしまっている方が殆どなのではないでしょうか(私を含めて)。

スポンサーにとっては番組自体も広告宣伝価値として重要な訳ですが、特に一社提供番組の場合、番組構成にも積極的にスポンサーが係る余地が大いにあるわけで、番組構成がその時々の社会動向に大きく左右されるのはある意味当然なのだと思います。

特にAvantiの場合、遥か昔の60~70年代のTVドラマで扱われた手法そのままに直接的な商品宣伝も番組に組み込まれていたため、番組冒頭で教授やその時々のアシスタントを務める出演者たちが頼むオーダーに色濃く反映されていたと思います

(ちょっと追記:下記にあるWebooks倉持代表のbolgに掲載されていますが、アンケートによるとAvantiとスポンサー名の連想性は高かったとの事です。企画自体の秀逸性もそうですが、広告代理店であった博報堂としては面目躍如だったのですね。2013.4.3)

そんな、広告宣伝効果が求められる(もしくは全く度外視される)一社提供番組達はAM/FM/TVを問わずここ数年どんどん減少傾向にあるようです。これだけ価値観が急速に変化していく昨今ですから、一度決めたコンセプト、テーマを長く持続させることは難しくなってきているのかもしれません。

同じくFMの長寿番組である「ジェットストリーム」の方はMCが度々変わってきていますし、現在の番組コンセプトは開始当初の「憧れの海外旅行」から「イージーリスニング」へと内容はさして変わっていないように見えますが、ターゲットは大きく変わってきている(年齢層を大幅に引き上げている)と思います。

もう一つの長寿番組である「ハート・オブ・サンデー」もMCは何度か変わっていますが、番組のスタイルやコンセプトは変わっていません。これはスポンサーが取り扱う商材の影響が非常に大きく、日常生活と切っても切り離せないテーマ、コンセプトは時代が変わってもそう簡単には変わらない事をよく示していると思います(AMで放送されていた同様のコンセプト、スポンサーの番組の多くは残念ながら終了していますが、こちらはMCの年齢的な問題と、AMの方が元々ターゲット年齢が高く設定されているので既にそのターゲット層が市場規模を失っているという構造的な問題もありますね)。

Avantiもある意味「日常」をテーマにしていますが、そこは「日常からほんのちょっと離れたバー」という隣接空間故に、本物の日常生活からは遊離した感があるかと思います。

そんな中で、元々のコンセプト「ちょっと背伸びをした大人の時間」を大切にしながら新たなニーズも取り込もうを試行錯誤を繰り返してきたここ数年のAvantiだったと思いますが、遂にその役割を終える時が来たようですね。

最後に大いに盛り上がったリスニングイベントに参加された皆さんの落ち着いた雰囲気こそが、21年を経て、番組製作者の方々がリスナーと共有したいと望んだ「素敵な大人」そのものであったことを喜ばしく思いつつ、今夜も一杯飲みながら考えているところです。

【Avanti最終回についてのコメントが掲載されているサイト】

Avanti_last_menu2

<おまけ>

告白すると、実はAvantiが苦手でした。社会に出たころは、徹夜の連続でくたくたに疲れ果てて、土曜日にようやく自宅に戻った後に聞く小話は消耗しきった自分には少々荷が重く、すぐにラジオを切ってしまったことも一度や二度ではありません。

南麓に移住してからも、日本では希少な蒸留所を有する白州の近くに住んでいるにもかかわらずウィスキーやバーボンが苦手で、バーの雰囲気にも馴染めない自分にとって今でもAvantiは「敷居の高い場所」に過ぎません。

そんなちょっと遠くから眺めていたリスナーだったのですが、移住した後に車に乗るようになってからほんの少し近づけた気がしています。夕暮れ時の車内に流れるJazzと著名人たちの語り、ちょっと煩い時もあるけれど軽妙な出演者たちのショートドラマは、ハンドルを握り帰宅を急ぐ心をちょっと留めさせて「もう少しゆっくりしていってもいいかな」と思わせる塩梅だったいう事をようやく知ったのは30も後半に差し掛かった頃でした。それだけ「大人」な番組だったのですね