中央道の休憩は縄文の想いに触れるひと時(釈迦堂P.Aと釈迦堂遺跡博物館)

中央道の休憩は縄文の想いに触れるひと時(釈迦堂P.Aと釈迦堂遺跡博物館)

中央高速を東京から西に向かうと、笹子トンネルを抜けた後、急坂を転げ降りるようにして甲府盆地に下っていきます。

緊張を強いられる運転から、少し傾斜が緩くなってほっと一息つける場所にある釈迦堂P.A。

車をパーキングに入れて、丘を見上げると、ちょっと不思議な案内板を見かけます。

釈迦堂P.Aと釈迦堂遺跡博物館丘の上に立つ、大きく「博物館」と書かれた建物と、行き先を示す案内板。

パーキングエリアから博物館?、と首を捻ってしまいますが、とりあえず行ってみましょう。

釈迦堂遺跡博物館外観階段を上り詰めると、一般道。

道を渡った正面に博物館の入口が見えてきます。

ここが、日本でも珍しい「高速道路から直接訪問(も)出来る博物館」、釈迦堂遺跡博物館です。

こちらの博物館、 そのものズバリ、中央道を建設中に発見された縄文遺跡である釈迦堂遺跡の発掘成果を展示する為に建てられた、珍しい施設なのです(同じようなシチュエーションで、もっと大規模な遺跡であった、長野県諏訪郡原村の阿久遺跡には、残念ながら併設の博物館は存在しません。遺跡の脇に立つ収蔵庫内の一部の収蔵品が、遥か山懐に立地する、村立八ヶ岳美術館に展示されています)。

釈迦堂遺跡博物館から中央道を俯瞰館内の喫茶室や展望室からは、このように釈迦堂P.Aの様子や笛吹の市街地を望む事が出来ます。

釈迦堂遺跡博物館内部1では、さっそく見学してみましょう。

縄文土偶にお詳しい方ならご存知の、この博物館の名物が出迎えてくれます。

何と、こちらの博物館はカメラOKなので、お好みの写真を撮る事も出来ます。但し、フラッシュ厳禁ですのでスマホ撮りの際にはご注意を。

釈迦堂遺跡博物館内部2奥の陳列棚にずらっと並ぶこの名物、さあ近づいて観てみましょう。

釈迦堂遺跡博物館内部3目の前を埋め尽くす、顔、顔、顔…。

この博物館の名物、それは国内で発掘された出土数の1割近くを占める、膨大な土偶たち。

目の前にびっしりと並べられた、土偶の顔を始めとしたパーツ類が見学者の皆様に向かって一斉にご挨拶です。

釈迦堂遺跡博物館内部4個性豊かな土偶たち。ちょっとおかしかったのが、真ん中の土偶にカメラの顔認識がばっちり反応した事(大笑)。縄文人の感性は、現代のエンジニアリングにも共鳴してくれるようです。

釈迦堂遺跡博物館内部5豊富な顔のバリエーション。どんな想いでこれらの顔を生み出していたのでしょうか。

釈迦堂遺跡博物館内部7土器の縁につけられていたと考えられる人面たち。

ちょっとお気に入りが左の2つ。どこかで見た事がある様な顔つきではありませんか…?

釈迦堂遺跡博物館内部6宇宙人のような土偶の顔達。こちらの遺跡では多数の土偶が出土していますが、これらのように破壊されたり、一部のパーツだけの状態の土偶が殆どで、国宝土偶が2つも揃う、尖石のような華やかさはありません。

釈迦堂遺跡博物館内部8華やかさが無いと言いましたが、特徴的な出土物には事欠かない釈迦堂遺跡。

こちらのような、出産シーンをそのまま土偶にしたと考えられる、極めて貴重な出土物もあります(江戸時代までの出産同様、中腰の姿勢で出産していたと考えられています)。

釈迦堂遺跡博物館内部9そして、館内を奥に進んでいくと、この博物館のもう一つのお宝が見えてきます。

釈迦堂遺跡博物館内部10ガラスケースの中で、周りを威圧するように静かに佇む、この博物館でも大物、縄文土器としても大きな逸品中の逸品、水煙文土器。土偶には興味があるけど、土器はちょっと…という方でも、納得の迫力を持った芸術作品と言いたくなる土器です。

釈迦堂遺跡博物館内部11水煙文土器の後ろには、同時に発掘された土器たちがオープンスペースに展示されています。

もちろん、手に取る事は出来ませんが、ガラス越しではなく、縄文土器の肌合いを直に感じる事が出来ます(この展示方法は、尖石でも実施されています)。

釈迦堂遺跡博物館内部12これらの土器を作った際に余った粘土を序に焼き上げたのでしょうか、指跡が残る粘土や、粘土を入れていたと思われる、編んだ網の跡が残る粘土も出土されています。大量に土器、土偶が生産されていた事を示す、貴重な発掘物です。

釈迦堂遺跡博物館内部13そして、こちらも貴重な土鈴。

生活に汲々としていたわけではなく、豊かな文化性を持ち合わせていた証拠。このような出土品は極めて珍しく、こちらの博物館では、名物の「桃の箱」にこの土鈴のレプリカを入れたノベルティも用意されています(土偶の顔が入っているバージョンも…欲しいですか?)。

釈迦堂遺跡博物館内部14縄文の世界から、ちょっと薄暗いエントランスを通って現代へと。

中央道のドライブに少し疲れた時にちょっと寄り道して、ひと時のタイムトリップなど如何でしょうか。

釈迦堂Jomonコレクションパンフタイミングが悪かったのが悔やまれますが、夏休みを前にした7/15から、発掘35周年、重文指定10周年を記念した特別展示が開催されるそうです(第一期、9/7まで。普段は閉鎖している特別展示室が使われるはずです)。メインは大型土器。縄文土器ファンの皆様には必見の展示になりそうですね。

<おまけ>

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「仮面の女神」国宝指定記念で無料公開中の茅野市尖石縄文考古館へ

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New!(2015.5.6):昨日の放送、尖石縄文考古館の紹介が少なくて、ちょっと物足りなかった感もありましたが、ここで朗報。5/18は国際博物館会議(ICOM)が提唱する国際博物館の日に当たるそうで、それを祝して前日の5/17(日)は入館無料となります。残念ながら国宝土偶2体は、善光寺御開帳を記念して長野県信濃美術館に貸し出し中ですが、番組では伝えきれなかった尖石と八ヶ岳西麓の魅力を是非この機会に(テキストにも山梨の取材だなんて一言も書いてなかったのに…)。

New!(2015.4.26):春のNHK Eテレ新番組「趣味どきっ!」火曜日に放送中の橋本麻里さんがナビゲーターの「国宝に会いに行く」第6回“国宝一年生”縄文土器「縄文のビーナス」と「仮面の女神」 で、茅野市の尖石縄文考古館と富士見町の井戸尻考古館が採り上げられます。放送は5/5(火)21:30~より。

New!(2015.1.2):日本の、そして世界の美術品、作家たちを丁寧に紹介するNHK Eテレの日曜美術館。年末年始のスペシャル編「巡る、触れる、感じる~井浦新”にっぽん”美の旅~」で、案内役の井浦新さんが、八ヶ岳山麓の史跡を探訪。尖石縄文考古館に訪れて、2体の国宝土偶たちと縄文美術を語ります。既に本放送は終了していますが、1/3朝6:35~から再放送が予定されていますので、見逃された方は是非。番組のホームページはこちらです

New!(2014.8.21):手続き上の問題で遅れていましたが、漸く「仮面の女神」が正式に国宝に指定されました!茅野市の公式プレスリリースはこちらです

New!(2014.6.12):尖石縄文考古館の公式ページにも無料公開の情報が掲載されました。

「仮面の女神」国宝記念特別展 縄文の「お母さん」です。

6/14(土)から10/13(月)までの企画展です。6/14(土)から6/25(水)は国宝指定記念として2回目の無料開館が実施されます。国宝指定後初めての地元、尖石での公開です。

New!(2014.5.30):国立博物館に貸し出されていた「仮面の女神」が6/14に尖石縄文考古館に戻ってきます。

国宝指定を記念した特別展示が10/13迄の予定で開催されますが、オープニングの6/14から6/25までの期間中、再び無料公開が予定されています。縄文土偶を代表する二つの国宝を同時に見られる、貴重なこの機会に是非お越しください(ソースは信濃毎日新聞WEB版のこちらより)。

 

 

先週以来、報道等で紹介されていますように、茅野市にある茅野市尖石縄文考古館に収蔵されている重要文化財「仮面の女神」がこの度、国宝に指定されることが決定しました。

茅野市尖石縄文考古館に収蔵される国宝は「縄文のビーナス」に続いて2体目となります。これを記念して、3/19から3連休を含めた3/23までの期間、茅野市尖石縄文考古館は無料公開となっています。これまで全然行くことが出来なかったのですが、せっかくなので(無料なので…)午後遅い時間に訪問させて頂きました。

尖石縄文考古館・玄関茅野市尖石考古館の玄関です。無料公開という事もあり、駐車場が満車になってしまうほどの来館者で溢れていました。

尖石縄文考古館・館内館内の様子です。入り口に表示が出ていますが、撮影禁止の表記が出ている展示物以外は撮影OKです(主に、他の博物館より借用している展示物には撮影禁止の掲示がされています)。

尖石縄文考古館・土器展示室正面には土器を展示している広い展示室(展示室C)があります。圧倒的な出土物の数々を間近で眺めることが出来ます。一部にはケースもありません(画像クリックでフルサイズ表示になります)。

尖石縄文考古館・国宝展示室そして、こちらが国宝「縄文のビーナス」と、この度国宝に指定される「仮面の女神」を展示する部屋(展示室B)です。中央には「縄文のビーナス」が神々しいほどに輝いています。なお、仮面の女神は4月からの国立博物館での展示に向けて貸出し中とのこと。残念ながらこちらに展示されているものはレプリカになります(画像クリックでフルサイズ表示になります)。

尖石縄文考古館・解説ガイド展示室にはガイドの方が常駐(黄色いベストを着ていらっしゃいます)。パネルとモデルで紹介された出土状況や国宝指定に至るまでの経緯など、興味深いお話を聞くことが出来ます。撮影禁止なので、写しておりませんが、右手には他の国宝指定土偶のレプリカも展示されています。

尖石縄文考古館・特別展示室そして、こちらが特別展示室。今回の国宝指定を記念して、発掘当時の状況を解説したパネルや同時に出土した土器も展示されています。ケースの奥に今回国宝指定を受けた「仮面の女神」(複製)が見えています。

仮面の女神こちらが「仮面の女神」(複製)です。

写真で判りますように、右足が取れているのが判ります。手前に置かれているのが同時に発掘された右足の部分です。故意に外されていたと考えられています。

こちらの「仮面の女神」は「縄文のビーナス」同様、ほぼ完全な形で発掘された(多くの土偶は破壊された状態で発掘されます)非常に珍しい例で、それだけでも国宝指定に見合う価値があるそうですが、それ以上に重要なこととして、こちらの「仮面の女神」は墓と思われる場所に副葬物として収められていたと考えられており、祭祀を司った本人、もしくは本人が極めて身近に置いていたものではないかと考えられているようです。

尖石縄文考古館・前庭考古館を出て、前庭へ。眩しいい早春の夕日を浴びるこの雪の下にも縄文遺跡が眠っています。

数千年以上前の縄文の人々も、この風景を望んでいたのでしょうか。そんなロマンが溢れるのも八ヶ岳の魅力かもしれません。

<おまけ>

ご訪問される前に、縄文土偶についてちょっと予習をするのであればこちらの本は如何でしょうか(今回ご紹介した2体の土偶ももちろん紹介されています)。