夏になると必ず訪れたくなる場所。そこは昔過ごした夏休みの想い出が詰まった場所。
高校、大学の学生時代に幾度となく訪れた懐かしい場所。
何時も夕立でずぶ濡れになりながら遊んだり、走ったり、夜になるとロケット花火を投げ合ったり(危ないので止めましょう)、飲んだり朝までしゃべり尽くしたり…。
そんな想い出を探すために、今年もロングドライブでその場所に向かいます。
群馬県嬬恋村。ご存じのように、本当にキャベツと浅間山しかない場所です。
キャベツの出荷の為に作られたパノラマラン沿いには、延々とキャベツ畑が広がります。
遠くに浅間山を望む山肌には、びっしりとキャベツが植えられています。
雨に打たれて瑞々しいキャベツたち。この風景を眺めたくて、夏になると度々嬬恋村を訪れます。
それまで食べるのがあまり好きではなかったキャベツを食べるのが大好きになった場所。
合宿をしていた宿舎で朝に夕に取り放題で出される採れたてのキャベツの美味しさは格別。この場所で、この広々とした空の下でキャベツの柔らかさ、瑞々しさを教えてもらったと思います。
場所こそ違え、今もこうして高原地帯に居を構えている、憧れの原風景がここにあるのかもしれません。
そして、ひたすらキャベツの苗が畑に続く台地の上。周囲は霧で真っ白になっています。
嬬恋のキャベツ畑でもどん詰まりのひとつ。集荷場のあるここより上側には一般車が入れる道路はありません。
キャベツ畑の裏手には運動場。そして、谷間には小さな湖とキャンプ場が広がっています。
嬬恋村の西端に位置するバラギ高原。今は無印良品のキャンプ場が出来たり、綺麗なスキー場(二度目の破産も…)もありますが、元々は辺鄙な開拓途上の避暑地、スキー場。ここに来るのは余程の物好きか、さもなければ関係者…。
そんな関係者だった頃を懐かしみながら、今も変わらず地平線まで伸びるキャベツ畑を眺めに来たくなるのです。今の自分をもう一度見つめ直すために。
少し感傷に浸りながらも折角ここまで来たので、もう一か所寄り道です。
吾妻川を挟んで反対側。浅間山の麓、鎌原にある嬬恋村の郷土資料館です。
表の看板にありますように、こちらは浅間山の天明大噴火に関する資料を展示しています。
少々お疲れ気味の建物、展示内容ですが、館内でご覧いただけるCGを組み合わせた天明大噴火の解説ビデオは、火山との共存を訴えている意味で未だ色褪せていません。
そして、資料館の裏手には、日本のポンペイとも呼ばれ、浅間山より発した「土石なだれ」によって石段が埋められたことでも有名な鎌原観音堂があります。
観音堂にある発掘の模様を示した解説版。詳細と発掘成果の一部は郷土資料館の内部に展示されています。
大分埋もれてしまっていますが、橋の下には発掘で掘り返した「土石なだれ」で埋まった石段を掘り起こした跡を見ることが出来ます。流れ出した噴出物は6m以上も積もったと謂われています。
今は静かな浅間山。でも、おびただしい破壊力を秘めている山でもあります。火山と寄り添って生きていくことは日本人の宿命。防災の観点を含めて生きた研究素材でもある浅間山とその麓に広がる高原地帯は、表側の軽井沢と違って、観光やお買い物にもあまり恵まれず、見所も少ないのですが、歴史的背景からくる、その素朴さと雄大さから、何故かいつも気になる場所でもあります。
お土産で買った、群馬大学の早川由紀夫先生による噴火地図(こちらは1:50000、他に1:25000もあり)。ジオパーク関係の地形図でおなじみの、荻原佐知子さんの手による美しい鳥瞰図の色分けを眺めながら、繰り返される噴火の様子を頭に思い浮かべて(こちらの地図はハザードマップとしては作られていません。あくまでもフィールド解説用です)。