キーボード付き端末で敢えて外付けキーボードとマウスと使ってみる(BlackBerry PassportでBluetoothキーボードとマウスを)

キーボード付き端末で敢えて外付けキーボードとマウスと使ってみる(BlackBerry PassportでBluetoothキーボードとマウスを)

スクエアの大画面にキーボード付きという異端のスタイルが楽しいBlackBerry Passportですが、OS10.3.1から新たに採用されたBluetoohプロファイルにより、外付けキーボードとマウスを利用する事が出来ます。

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こんな感じで、簡単にペアリング可能ですが、Class2対応のデバイスでないと、動きがぎくしゃくしてしまいますので、デバイスの選択は要注意です。

ちなみに、外付けキーボードのプロファイルに日本語がありませんので、本体側のキーボードを使って日本語入力モードにしても、外付けキーボードからは強制的に英語入力となってしまいます(残念)。

BlackBerry Passportでマウスとキーボードこんな感じで、なんちゃってデスクトップ環境も作れてしまいます。

残念ながらキーボードは実用になりませんが、マウス操作は結構快適で、PCが無いときでも、大画面のメリットもあってデータブラウジングは快適そのもの。

もちろん、ホイールによるスクロールにも対応しています。

BlackBerry Passportのマウスポインター画面上には、こんな感じで、三角形のマウスポインターが表示されます。暫くすると消えてしまいますが、マウスを動かすと再び現れます。

BlackBerry Passportスワイプダウンマウスポインター1画面の上端にマウスポインターを持っていくと、設定画面を出すスワイプダウンを指示する歯車マークのポインターに変化します。

BlackBerry Passportスワイプダウンマウスポインター2この状態で、マウスを左クリックすると、メニューバーが少し引きずり出されますので、そのまま引き下ろせば設定メニューが表示できるようになります。

BlackBerry Passport スワイプマウスポインターでは、BlackBerry OS10の特徴である、スワイプによるページめくりを行う場合はどうするでしょうか。

実は簡単で、画面下端にマウスカーソルを持っていくと、マウスポインターがページめくりマークに変わりますので、そのまま左ボタンを押しながら画面をめくる動作を行う事で、ページをめくる事が出来ます。

意外と、便利で簡単なBlackBerry Passportでの外付けマウスとキーボードの利用。

普段はめったに使わないでしょうが、ちょっとした裏技として如何でしょうか。

 

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BlackBerry OS10.3.1リリースで何が変わったの(OS7ユーザーへの橋渡し)

BlackBerry OS10.3.1リリースで何が変わったの(OS7ユーザーへの橋渡し)

BlackBerry Passportのご紹介はこちらにて。

New!2015.2.23 : 一応ご報告までですが、当方所有のPassportで当該バージョンを使用すると、かなりの高頻度で設定画面の縦スクロール中に画面がフリッカー状態となり、スクロールを停止すると画面がブラックアウトする障害が発生しています(スクロールを再開するとフリッカー状態に)。現時点では、設定画面、カメラ、音楽で発生していますが、他の部分でも発生する可能性はあります(BlackBerry HUB及びtwitter、ブラウザでは発生していません)。類似の現象についての報告がBlackBerryのファンサイトN4BBにアップされています。気になる方は、fix版が出るまで、アップデートは控えた方が良いでしょう。

昨年後半から意欲的に新端末のリリースを再開したBlackBerry。

大本命のClassicを迎えて、旧来ユーザーの取り込みに改めて取り組み始めたようです。

そんな中で登場したBlackBerry OS10.3.1。巷のニュースではBlackBerry BlendやAmazon AppStoreによるAndroidアプリが使えるようになった…などという、何時の話だと、首を傾げるような紹介を受けていますが(プリインストールという意味らしいです)、新しいリビジョンが登場する事自体は喜ばしい事。操作性やアプリケーションなどメインの話題は他のサイトにお譲りして、どこが変わったのか、ポイント確認をしてみたいと思います。

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アップデート前の確認表示。

この機能拡張の文面だけ見ていると、前述の紹介が正しいことになりますが、ちょっと微妙。

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容量は500Mbyteを越えますので、ナローバンドな田舎だと、それなりに覚悟が要ります。お時間に余裕があるときに実施しましょう。

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再起動を促されますので、素直に従います。アプリケーションを終了してからでも再起動は可能です。

なお、再起動後の待ち時間は相応に掛かります。特に再起動画面で表示されるインジケーターが100%に到達した後で、更に5分ほど待たされますので、焦らず、ゆっくり待ちましょう。

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再起動が終了すると、壁紙がデフォルトに戻されてしまいますので、お気に入りの壁紙を入れてみます。

あ、キャプチャーは取れませんが、パスワード入力画面も変わっていますね(でかでかと「デバイスパスワードを入力」と表示されるようになりました。この部分は、時にパスワード入力画面が表示されなくなるバグがあったので、直っていてほしい所です。

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まず初めに気が付くのは、BlackBerry HUBで地味にキャプションが日本語化されていたりして、ちょっと微笑ましいです。また、「更に選択」を選んだ場合の選択表示にチェックボックスが付加されるようになりました。これは嬉しい変更ではあるのですが、一方で選択カラーが濃くなった関係で、コントラストを確保する為にアイコン自体が縮小化。視認性には疑問が残ります(この辺りのアイコンサイズとバックグラウンドカラーの視認性のお話は、東京メトロの新しいデザインシステムを事例として「駅をデザインする」で詳しく語られてますね。

では、引き続き変更点を観ていきましょう。

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バージョン表示です(左右に並んで表示されている場合、左が10.3.0です)。

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同じくバージョン表示ですが、大きな変化として、FlashとAdobe Airのバージョン表示が無くなりました。

他のブラウザーの潮流に倣って、ここでもFlashを排除する方向性が垣間見られます。

代わって用意された、ソフトウェアバージョン08という、あまりにありきたりな表示が少々気になります。

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次に機能面を観ていきたいと思います。

まず、ストレージの部分でUSBの接続方法のメニューが、これまでのマスストレージとして使用するかの可否から、充電のみモードも選択できるように独立しました。但し、OS7のように、USB接続時に切り替えメニューが表示されて切り替えられる訳ではありませんし、USBマスストレージと排他選択です。更に、マスストレージとしてマウントできるストレージは、外部のフラッシュカード側のみとなります。

また、デフォルトのネットワークドライブとしてマウントする際にも、ローカルIPアドレスが任意に設定できるようになりました。

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データ管理では、アカウント毎にデータ通信容量(すなわち画像ダウンロード)の容量制限が設定できるようになりました。

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アカウントを選択すると、アカウント編集画面の各通信方式における、データ容量設定のページに飛ぶようになっています。これもOS7では、自動的にダウンロード容量を規制していた機能(冒頭だけ表示されて、スクロールダウンすると続けてダウンロードが出来る)を盛り込んだ形になります。

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表示系で大きな変更となったのは、ソフトウェアキーボードの表示色が、UIに応じて、これまでの黒バックと、新たに用意された白バックの2通りに自動で変更される機能が追加されました。

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白色系の端末をお持ちの方は、白色表示固定にしても良いですね。

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表示の部分でもう一つ、スクロール時にアクションバーを表示する選択が出ていますが、実際にアクションバーを表示する機会が無いので効果は判りません。

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表示設定の詳細では、コントラスト反転が漸くサポートされました。使用することはないですが、OSとしては備えておくべき機能ですね。

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次に、入力機能ですが、遂にとって良いのでしょうが。外部キーボードがサポートされました。

Bluethoothキーボードを持っていないので、どんな事が出来るか判りませんが、とりあえず機能が用意されたという事で…(ちなみに日本語キーボードの選択は用意されていません)。

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そして、大きく変わったのが通知機能。

ユーザーが新たに作り直すことを前提とした、プルダウンからプロファイルを選択、編集するメニュー方式から、OS7時代に用意されていた初期プロファイルを提示した上で、詳細に機能を制御する方式に戻されました。

また、設定されたプロファイルを登録し、クイックメニューに表示される通知アイコンをタップすることで、常時プロファイルが選択できるようになっています。これも、OS7時代に便利に使っていた機能の再来です。

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USB接続と同様に、直感的に操作や編集が出来る点がBlackBerryの大きな美点。

スマートフォンに対するアプローチとして、アプリケーションが豊富に選べることは大きなメリットですが、操作系がばらばらになる点はいただけません。

一方、Windowsphoneのように、全てのアプリケーションをMetro UIに統合してしまうと、ユーザービリティが良ければ構わないのですが、現状の操作性はあまり褒められたものではありません。

BlackBerry OSの美点は、アプリケーションの通知の部分だけを統合化することで、一貫性のある通知機能をユーザーに提供するという、ページャー(ポケベル)由来の端末メーカーらしいアプローチ。OS10に切り替えた際に、ちょっと忘れかかっていたこの美点を再び思い出しつつあるようです。

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アプリケーション毎の通知も、プロファイルにぶら下げられるようになっています。

そして、嬉しい変更点は、BlackBerry使いなら誰でもその便利さを実感できるLEDによる通知機能。

今回のアップデートで、再びアプリケーション単位でのLEDカラー切り替え機能が、標準機能として使えるようになりました。これで、使用しているアプリケーションに応じて、LEDカラーを変更可能になります。なお、この変更に伴い、連作先毎の通知設定作成は別メニューとして独立しています(プロファイルと連動するかを選択)。

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ここからは、追加の機能です。

高度な機能として、手に持っている間は画面スリープに入らないようにする機能が追加されました。

バッテリー駆動時間を気にされる方には、画面スリープ時間の短縮と併せる事で、効果を発揮しそうです。

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そして、バッテリー節約モードも新設されています。

常時節約モードを効かせるか、一定の容量以下で機能を開始させるかの選択があるのは他のデバイス同様ですが、高度な操作をオフにするという選択肢があるのが、ちょっと面白いかもしれません。

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最後に、キーボード好きなBlackBerryファンの方(しかいないかぁ…)、お喜び下さい。

キーボードショートカットの編集画面が用意されました。

26文字分、とりあえず画面を上げておきますので、入手された際にはどうぞ思い切ってカスタマイズされて下さい。

操作性自体も、画面切り替えがクイックになったり、変換確定時の表示も少し高速化(どちらもぬるぬる感は逆に減少)したりと、使用感も向上したOS10.3.1。ちょっと挙動に疑問がある点もみられますが、実用性は大きく進歩したようです。その進歩の形は、ちょっと厳しめに言えば、OS7時代の快適性再現。

OS10を登場させた際に、これまでのユーザー層をある意味切り離してでも、新たなユーザー体験を求めたBlackBerryが、Classicを観て、もう一度BlackBerryを使ってみたいと思った、旧来のユーザーを裏切らないために用意した、端末メーカーとしての視点に立ちかえった、今回の改良だったのかもしれません。

異端者へと追いやられたBlackberryが繰り出した、異端な一台(Blackberry passport)

異端者へと追いやられたBlackberryが繰り出した、異端な一台(Blackberry passport)

このページをご覧のBlackBerryオールドユーザーの皆様へ。

長い雌伏の時を経て、遂に皆様が期待するQWERTYキーボードがついて、キャンディバーで、しかもトラックパッドと4ボタンも用意されている….。

今時のスマートフォンを笑い飛ばすかのような古典的フォーマットが再び帰ってきました!

その名も自虐心溢れる「BlackBerry Classic」です!

ITmediaの紹介記事はこちら

New!(2015.1.10):流石に早い!お馴染み、週刊アスキー副編集長様が地下室から贈る、週アスPlusのスピンオフ。週刊リスキーでレビューが紹介されています(LINEはAndroidのアプリが使えるらしいですよ)。

下のPassportの紹介をご覧頂く前に、まずはClassicのご検討を。

iPhoneにも浮気せず、Androidは危険と考えて、BBを深く愛用されいる皆様、きっと皆様が欲しかったものはClassicにすべて揃っているはずです。

BlackBerry OSの新しいバージョン、10.3.1の新しい機能紹介はこちらにて。

—本文ここから—

スマートフォンの始祖ともいえるNokiaのブランドが消滅し、携帯端末が世界的にAppleとGoogleの2大エコシステムに集約されつつある昨今、既に忘れ去られて久しいBlackberryですが、これまでの戦略を先鋭化させることで生き残りを図る覚悟を決めているようです。

今や話題にも上らないBlackberry OSに対して、ハードウェアの方はBlackberryのアイデンティティを漸く思い出したかのように、旧来のOS7モデルに対して、正当進化を図るモデルを送り出す準備を進めているようです。

そんな忘却のかなたにあるBlackberryが試行錯誤の最中に送り出した、極めて特異な一台が、今回ご紹介するモデルです。

BBPassportパッケージ相変わらず、素っ気ないパッケージ。でもその素っ気なさが逆にアメリカンらしくて好きだったりします(いや、カナディアンか)。

BBPassport開封1

開封状態です。パッケージ内部は高級感を漂わせるように、シボの入ったトレイに収められています。

BBPassport開封2パッケージの中身です。簡易マニュアルと、解説シート、ヘッドフォンとUSBケーブル、充電器です。こちらはUKモデルなので、充電器は三つ又プラグですから、アダプタ変換器が必要です。

豪華な簡易マニュアルが印象的ですが、英語、仏語、スペイン語?の次にアラビア語表記が続く点が、現在のBlackberryの置かれた位置を明快に表しているようです。

BBPassport正面BBPassport背面

本体の正面と背面です。キーボードは全世界共通で、シンボルは普通の英語キーボード(US)に統一されています。

背面の上側が取り外せるようになっていますが、バッテリーの交換は出来ません。

BBPassportと9790BBPassport背面2

本体のサイズをBlackberry9790と比較します。長さは2cmほど、幅は実に倍ぐらい違います。

背面は9790とほぼ同じ、バックスキン調のコート処理がされていてますので、グリップに不安はありません。

BBPassport厚さBBPassportトップ

本体の側面にはボリュームボタンと、Baackberry Assistant起動ボタン(ミュートにも使用)が用意されています。

幅は9790よりわずかに薄い程度ですが、重量がありますので、手首への負担は相応です。

本体のトップにはヘッドフォンジャックと電源ボタンが用意されています。

最近のボタンを極力排したスマホと一線を画す、操作ボタンの多さ(そもそもキーボード付き)が印象的です。

BBPassportスロット本体上側のカバーを外した様子。

Micoro SDカードと、nano SIMスロットが付いています。電子認証方式を採用していますので、電波関係の認証刻印はここにはありません(設定画面中で確認できます)。

BBPassportセットアップ画面1BBPassportSIM挿入BBPassportID入力

一応気にされる方もいらっしゃると思いますので、セットアップ中の画面も少し載せておきます。

最初から日本語を選択することが出来ますので、殆ど苦も無く設定できると思います(入力切替で苦しまれる方へのアドバイス、日本語と英語の切り替えは、画面下側に表示されるソフトウェアキーボードの「、/,」(カンマ)長押しです)。

一応SIMなしでもセットアップできますが、Blackberry IDの認証を求められますので…(以下省略、Wifiでも良い)。

BBPasportソフト更新BBPassportセットアップ完了

ソフトウェアの更新を聞いてきますが、後ででも大丈夫です。

セットアップが完了すると、チュートリアルが始まります。特異な操作系を採用しているので、焦らず充分練習しておきましょう。

(チュートリアルはメニューから起動できますので、後で再確認することも可能です)

BBPassportユーザーガイド画面表示が日本語になったとしても、操作が判らないときはどうしたらよいか…、悩む必要はありません。何といってもそこはBlackberry。ちゃんと日本語版マニュアル(PDF/HTML)が入手可能です。

ScrShot_14ScrShot_8

では、画面表示のご紹介です。

左がメイン画面。縮小表示がタイルで並ぶ、Blackberry OS10特有の表示が印象的です。

1440x1440pixelのスクエア画面が新鮮です。

画面を右にスワイプするとBlackberry HUBと呼ばれる、統合メッセージ表示エリアに切り替わります。これは、Blackberry OS6時代から続く、メール統合表示の延長に位置する機能で、各アプリケーションからの通知を一括して表示、処理できる、旧来からの優れた機能です(画面はご勘弁を)。

今となってはプッシュ通知が当たり前となってしまいましたが、ポケベルを発祥とするBlackberryならではの大きなアドバンテージでした。

右側は画面を下にスワイプした時に表示されるメニュー画面です(アプリ起動中は指2本でスワイプ)。メニューに表示させる機能は選択可能です。OS7では制約の大きかったホットスポット(デザリング、ネットワーク共有)も簡単に切り替えられます(但し、強制的にwifiがoffにされますので要注意)。

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プレインストール状態のアプリケーション一覧。

単にブラウジングとメール、SNSを使うには何も追加が要らない状態ではあります(LINEは無い)。

エコシステムの構築に失敗したBlackberryですが、OS10ではAmazon Appstoreを利用する形で、kindleの、即ちgoogle Androidが養ったエコシステムに寄生する形でアプリの確保を図っています。

その手法の是非は置いておきますが、ネイティブアプリの少なさはWindowsphoneのそれを更に上回る絶望的な少なさなので、これはこれでやむを得ないことかもしれません。

現時点で、wordpressとTuneln Radio、乗換案内はAndroidアプリを使用しています。

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ロック画面の例。背景は好きな画像を張り付ける事が出来ます。

左端に通知アイコンが表示されて。タップすると、宛先表示(ヘッダー表示も化)が出てきます。

例が出せなくて申し訳ないのですが、伝統の赤星マークと、赤い通知LEDの表示も健在です。

そして、多くの方が期待される入力機能ですが…あまり期待しない事を正直に申し上げておきます。

まず、キーボードの位置関係上、入力時にバランスを取ることが難しく、安定して入力を続けるには少々コツが必要です。

端末重量もそれなりにありますので(194.4g)、両手で持っていても、入力中にかなりの重さを感じてしまいます。

次に、入力キーを極力絞ったせいで、ファンクションやcapslock、altキーに頼った入力に慣れていると、面食らうこと間違いなしです。

上記の2つは慣れで解消しそうなのですが、このようなレガシーな入力方法に対して、アンチテーゼ的に採用された機能が実は決定的な問題となってきます。

既に言われているようにBlackberryの日本語入力はIMEという概念を離れて、英語版の機能を延長した、予測入力に特化した変換アルゴリズムを採用しています。その結果、とても悲惨な事実が発覚します。通常、変換効率の低いIMEを使用している場合、狙った単語が得られなければ、単漢字変換を重ねることで、文字列として単語表記を仕上げてしまうという処理が出来ますが、予測入力を前提にしたBlackberryの変換体系では…

「入力予測可能性が優先されるため、単語や単漢字入力が無視されるより、入力と不一致でも文意が優先される」

という、おぞましい仕様が採用されています。

右の画像で例を示しますが、「充実」という言葉を入力したいにも関わらず、音の優先順位で「じゅう」より「きゅう」が上にあるため、完全一致した「充実」以外、変換候補が全て「きゅう」で始まる言葉で埋め尽くされてしまいます。これは、単語完全一致でも頭の音節の優先度が低いと変換候補に表示されない危険性を示すもので、実際に「重要」とか、「重視」といった単語は前後文節効果が得られない限り、決して単語入力では選択肢に現れないという、恐ろしい仕様です。

たぶん、流行の音声入力にシフトした変換体系を採用した結果だと思うのですが、回避方法が存在しない(予測変換のOFFが出来ない)ため、入力しながら絶望感に苛まれること多々である事だけは事実です。

予測変換に裏切られた時のため、自らが予測変換を逆手に取れるように、漢字の音読み、訓読み、複合語のあらゆるパターンを頭に叩き込んでおきましょう。

<追記2014.11.11>

ローマ字入力方法に誤りがあるのではないでしょうかとのご指摘を頂きました。

上記の例はその通りのようですので、記載はそのままにしておきますが、実際の濁音入力例の一覧を用意しておきます(ご指摘、ありがとうございます)。

  • ぎゃ:gya ぎゅ:gyu ぎょ:gyo(正しく判断される)
  • ぐぁ:gwa ぐぅ:xxx ぐぉ:xxx(が と判断される)
  • じゃ:jya じゅ:jyu じょ:jyo(いや、きゅうorじゅう、きょ と判断される)
    • 上の場合の対処 -> じゃ:ja じゅ:jy じょ:jo で正しく判断される
  • ぢゃ:dya ぢゅ:dyu ぢょ:dyo(しゃ、しゅ、しょ と判断される)漢字では使われない筈
  • でゃ:dha でゅ:dhu でょ:dho(しゃ、でゅ、ちょ と判断される)漢字では使われない筈
  • びゃ:bya びゅ:byu びょ:byo(にゃ、にゅ、にょ と判断される)
    • 上の場合、びゃく、びょう と続く場合には正しく判断される。

他のパターンもあるかもしれませんが、対照表がある訳ではないので、あくまでも参考まで。

BBPassportとノートPCBBPassportとWebブラウズ

あと、キーボード付きのファブレットとして、文字編集や入力に便利だろうとお考えの方にも、再考を促しておきたいと思います。

画面左がwordpressの編集画面で、履歴一覧を表示していますが、文字情報の縮小には視認性の限界があるため、解像度が同じ程度でも、画面サイズによって規制される情報量の少なさをカバーすることは困難です(dpiが高いため、品位が向上するというメリットはあります)。

一方、ブラウザの画面など、一覧性を主に画像から得ている表示の場合、後で拡大表示する前提であれば一覧性に大きな違いはなく、高解像度とスクエア画面の利便性が充分に発揮されます。ただし、この用途はキーボードと相反する需要ですね(単なるタブレットやファブレットでも良いことに)。

BBPassportとスタンドスタイルBBPassportオーディオ再生

なので、キーボードの優位性から少し離れて、Blackberry passportのメリットを考えてみると、元々、googleやoutlookといったクラウドベースのサービスと親和性がかなり高いので、それらのサービスを活用したブラウザとして考えると、表示エリアの広さやスクエア画面のメリットが見えてきます。

カレンダーやスケジュール、スプレッドシートなどの一覧性を求められる表示、PDFやプレゼンテーションの資料チェックといった4:3や横長画面の資料の確認など、解像度の優位性が発揮できる分野では、大きなメリットが得られると思います。

ブラウザやSNSの確認にもかなりの威力を発揮するはずです。

特に、キーボードの下には静電容量型の平面センサーが仕込まれているようで、画面上の縦横のスクロールをキーボード上で行う事が出来ます(英語版であれば、アルファベットキーの上をなぞると、予測変換が発生するらしいですが、未検証)。

この機能を使うことで、Blackberryの大きな特徴であった、ホームポジションから指を離さずに画面操作が行えるメリットを、その大画面表示を操るために活用できますし、T/Bキーによるスクロール制御など、これまで慣れた操作系をある程度再現できるはずです(あとはマウスカーソル機能さえあれば….)。

ちなみに、横方向のスクロールはアプリケーション側が殆ど対応していないため、実質的には縦方向スクロール用です。

また、意外なメリットとして、スクエア画面は動画(本体をわざわざ横倒ししなくて良い)や、CDのパッケージイラストを表示するのに都合がよく、以前より評判の良かったヘッドフォンアンプや内蔵されるステレオスピーカーと併せて、ストリーミングや音楽を聴くのに好都合という、本来のBlackberryに期待される用途と全く別のメリットを見出すこともできます(アルバムライブラリーが満足に作れない、一部の動画やAACがフォーマット依存で再生できないなど、この辺りが得意そうな筈なのに絶望的にダメなwindowsphoneとは好対照)。

blackberry passportカメラ写真例最後に内蔵カメラの撮影例を。

かなり暗めの室内ですが、手振れ補正はかなり強力です。10Mpixelと充分以上な画素数と、6×6版を思わせるスクエアな画面構成(4:3と、16:9も選択可能)を巧く使いこなすと面白い写真が撮れそうです。

スマホ遍歴キーボード付きスマホ一族流石に、これだけ変態端末に付き合ってくると、何が来てもあまり動じないのですが、それにしても正に異端な一台。

どうやって付き合っていくか、しばらく試行錯誤が続きそうです。

<おまけ>

  • 今回の端末入手にご協力を頂きました、お馴染みPocketgames様に感謝いたします(お昼休みの真っただ中に投下するなんて卑怯ですよ…思考停止状態になったじゃないですか(泣笑))
  • あ、ちなみにBand6対応ですので、何やらをご期待の方を決して裏切らない、Blackberryの美点はしっかり継承されていますよ(笑)

Nokia Refocusはデジカメを越える面白いアプローチ

Nokia Lumia1020を使い始めて早一ヶ月。カメラにつぶやきに大活躍の日々です。

スマートフォンを越えるカメラ機能を全面に打ち出したLumia1020には、Nokiaから提供される様々な撮影支援アプリが用意されていますがその中でも面白いのが、最近公開されたNokia Refocusです。

機能自体はブラケッティング撮影の際に通常であれば露出を振る所をフォーカスを振って複数の焦点距離の画像を同時に取り込むだけなのですが、ここから先がNokia Refocusの凄いところ、非常に高度に制御された手振れ補正機能と画像処理を組み合わせて累進焦点画像を作り出そうという野心的なアプリケーションなのです。

論より証拠、こちらの画像を見て頂きましょう。

Created with Nokia Refocusデスクの上に置いた、モデルプレーン達。この画像では一番手前のANAのB747にフォーカスが合っています。

Created with Nokia Refocusそして、、画面内でフォーカスを合わせたい位置でタップすると、タップした位置にフォーカスが合った画像が「撮影後」に観ることが出来ます。どんなカメラでもフォーカスは撮影前に合わせるもの、といった常識を打ち破る操作です。

上の画像のように、撮影後に一番後ろ側のカーテンにフォーカスを移す事が可能です。

Created with Nokia Refocusそして、こちらが多点フォーカスで撮影された画像(多分6焦点くらい)を一枚の画像に合成した画像です。この画像は撮影後に僅かにワンクリックで得ることが出来ます。

フォーカス段階の中位に存在する部分などはどうしてもボケてしまうのですが、それでも前に載せた2枚の画像と比べると圧倒的に全体のフォーカスが合っている画像に見えるのではないでしょうか。

これはF2.2と極めて解放値が大きい代わりに被写界深度の浅いLumia1020にとって、絞り込み撮影と同じ効果が得られる事になります。前述のように合成画像故の弱点もありますが使い方次第では、新たな表現も可能となります。

Created with Nokia Refocus機能としては更にフォーカスが合った場所だけカラーを残して、それ以外の部分をモノクロに仕上げる機能もあるのですが、こちらはちょっと使い勝手が難しそうですね。

これ以外にもクラウド上に多焦点画像を公開する機能もあるのですが、個人情報を開示する必要があるので…まあ、必要ないかな、と。

Nokia、そしてLumiaシリーズはPure Viewというコンパクトデジカメを凌駕するほどの高画質な撮像系を得て、スマートフォン、ビデオ、そしてデジタルカメラの枠組みを超えていくアプリケーションを次々と登場させています。今後もどんどん楽しそうなアプリケーションを繰り出してきそうでわくわくさせられますね。

特にアプリケーションの変更/追加で全てのLumiaシリーズにも同一の機能を提供していく点は、実にPC的でスマートフォンとPCの中間を狙っているwindowsphoneらしいアプローチだと感じます。

Lumia1020ファームウェアアップデート(Rev.3050)

一部で話が出ていたLumia1020のファームウェアアップデートですが、私が持っているオーストラリア版でも配布が始まりました。

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新旧のファームウェアバージョンを並べてましたが、OSのリビジョンは上がっていません(今週発表のあったUpdate3待ちのようですね)。ファームウェアのバージョンは3049から3050に上がっていますので、メジャーな改良があったと思われますが、使用感は特に変わったという印象はありません。

一番最初に気が付く変更点は、ホームスクリーンに置いておいた「Nokia Camera」のアイコンが無くなっていた点でしょうか。

wp_ss_20131026_0007もちろん、Nokia Camera自体が無くなってしまったわけではなく、ちゃんとメニューの方には残っていますので、登録しなおせばよいだけですし、多くの方はシャッターボタンにアプリ起動を割り当ててらっしゃるでしょうから、ちょっと驚くかもしれませんが、不都合はない筈ですね。

では、なんでそんなことになってしまったのかはNokia Cameraを立ち上げてみれば判ります。

wp_ss_20131026_0006画面右、カメラ/ビデオを切り替えるアイコンにもう一つ、連写アイコンが増えているのが判るでしょうか。

そうです、Nokia CameraからSmart Camへ直接に切り替えられるようになったのです。

拘りのマニュアル操作が特徴的なNokia Cameraと豊富な画像処理で写真を楽しめるSmart Camがシームレスに行き来できるようになったのは大切な変更かと思いますね。

私自身は動きのある写真を撮らないので、Smart Camの機能(マルチシャッターによるベストショット選択、重ね撮り、モーションロック、顔認識連動によるベストショットの合成、画面内の特定被写体カット)は余り使う余地がないのですが、機能としては楽しいですよね。発表通りであれば、次のアップデートの際にはRAWファイル対応(スマートフォンのカメラに必要かどうかはさておき…)とFocus shiftを活用した多点focus画像の合成(というか多重焦点画像の配布?)も実現するようですので、ますます「Camera」なスマートフォンの道を爆走していくLumiaシリーズです。

さよならNokiaそして、こんにちはLumia1020

さよならNokiaそして、こんにちはLumia1020

8月に発表があったMicrosoftのNokia携帯電話事業の買収、非常に驚きました。

Appleの成功を横目にMSがハードウェア企業に対する何らかの買収工作を進めるであろうことは既に周知の事実だった訳ですが、よもや超巨大企業であるNokiaの部門ごと買収するとはさすがに国際的企業のスケール感の違いを実感させられたわけです。

Nokiaの買収や今後の流れについてはこちらのページをご覧いただければ書いてあると思いますが、Nokiaが無くなる訳でも、MSがNokiaのブランドをすぐに使えなくなる訳でもないため、当面はこれまで通りNokiaブランドで携帯電話が供給され続けることになるかと思います。

しかしながら、MSのNokia買収の影響は徐々に出始めており、すでにご承知の通りNokiaが開発中であったとされるAndroidタブレットとWindowsベースのタブレット(Lumia2520?)が発表直前で中止となったor延期との噂が出ていますね。

そんな訳で混乱が続くNokiaにとって、MS買収直前に発表されたのが今回ご紹介するLumia1020です。

Nokia lumia1020斜陽真っ只中のBlackberry使いですから、今更Windowsphone位はなんの何の。しかも、何と言っても最初から日本語装備なのでお気楽、極楽です。

lumia1020-1パッケージの写真。

最近出回っている香港版のパッケージは最初からカメラグリップバッテリーが付属としてついてくるのでそれなりのサイズですが、こちらは本体だけなのでこじんまりとしています。

lumia1020-2パッケージサイド。RM-875というのがモデルコードですね。LTEは5バンド対応(この山奥では無縁ですが)、3Gに850MHzとあるので、すわ「プラスエリアか」とご期待の皆様もいらっしゃるかと思いますが、残念ながら非対応です。

lumia1020-3パッケージを開けると、いきなり噂の41Mpixelカメラが、こちらに睨みを利かせています。

lumia1020-4本体を取り出すと、トレイの下にはSIMカードトレイを抜くpinが。ちゃんとNokiaのロゴが入っているところが嬉しいですね。

lumia1020-5付属品をテーブルの上で展開してみます。

簡易マニュアル、インナータイプのイヤフォンとUSBケーブル、そして丸型アダプタ。これで全てです。シンプル、シンプル。

lumia1020-6背面には41Mpixelを誇るZEISSレンズのカメラ「Pure view」控えています。

触った感じはすべすべでも、しっとりでも、ひんやりでもなく、さらさらした感じで、仕事柄で言えば「テフロン管表面の梨地処理」そのものなのですが、一般の方には判らないかと思いますので…。

もう少し一般的な表現で表すと、色を含めて「漆喰」みたいな感じ(どこが一般的だか)で、ちょっと独特な質感を醸し出しています。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAカメラ部分のアップ。かなり本体から出っ張っているのが判るでしょうか。

レンズはフィルターの奥、メカニカルシャッターによって保護されています。

lumia1020-7スタート画面(既にモディファイ済みで、標準ではコバルトカラーです)。

所謂「Metro」デザインで統一されています。今となってはiOS7がアイコンデザインをシンプル化してきたので、どっちがどうのという事は言えなくなりつつありますが、恐ろしくシンプルなデザインである事は間違いありませんし、好き嫌いもはっきり分かれるかと思います。

lumia1020-8タッチスクリーンガラスの周囲は柔らかなラインで僅かにラウンドしていますので、非常にグリップしやすいです。カメラの出っ張りの下に指を引っ掛ける感じが最も落ち着くようですね。上のボタンがシーソー式のボリューム、真ん中のボタンがロック、下のボタンがカメラのシャッターです。

Lumia1020 Glassスクリーン上部にはカメラが備えられています。ガラス自体もラウンドしているのが判りますでしょうか?上面の丸い穴はイヤフォン端子です。

そして、色々な所で言われるwindowsphoneのUI、そもそもの根本であるMetro UIですが、前にも書きましたようにシンプルすぎるという意見は尤もかと思います。

その上で、使ってみて判った事があと一つ、このUIは「フォント」でデザインされているという事です。

例としてメディアプレイヤーを表示してみると

lumia1020-16こちらが日本語表示の際の例です。

摩訶不思議な縦書きのメニュー表示と、その上に鎮座する余りにもアンバランスな「ミュー」という表示。これが製品のUIなの?と首を捻ってしまう方は多くいらっしゃるかと思います。

lumia1020-16-2では、同じメニューの英語表示。

バックのグレーのグラデーションに横書きの英字で段組み&フォントサイズが調整されたメニュー表示はシンプルで機能的に見えてきます。

そう、アイコンという概念を取り払って、文字自体をアイコンとして認識させる手法、それがMetro UIのもう一つの狙いだったようです。

意味が分からないアイコンで混乱させることを避けるために直接文字で表現する、この手法を取るためには統一されたフォントデザイン、Size、表示エリアが必須なのですが、残念ながら、この部分で逆に「多言語化」のジレンマに突き当たってしまったのが皮肉な感じがします(駅の案内板などで、英語表記が省略され過ぎで判らないように。横浜駅など省略が過ぎて頭がクラクラしてきてしまいます)。

この状態では、UIに関しては世界一といっていいほど厳しい目を向ける日本人向けにWindowsphoneが提供されないのもやむを得ないことかもしれません。

Outlook.comとは最初から連携が前提(Microsoftアカウントが必須という訳ではないですが)なので、メールの移行はスムーズ(電話としては使わないので連絡先の移行は考慮せず)。ブラウザがIE頼みなので弱い点以外、大抵のソフトは揃っているし、日本語入力も(タッチパネルで入力しなければならない極悪さはさておき…)全く問題ないので、取り敢えず英語UIに切り替えてぼちぼち楽しみ始めたところです。

<おまけ>

一応、こういうのも気にされる方もいらっしゃるかと思いますので、情報まで。

lumia1020-13lumia1020-15

Nokia909が正式な名称なのですね。

通信事業者はオーストラリアとなっていますが、日本語(一部所謂中華フォントが混じる)表示および、かな漢字変換は問題なく行えます。入力言語と表示言語は分けて設定できますので、他言語表示でも日本語の入力は可能です。

ソフトは一部アップデート済みです。

RM-875、アジア及びオセアニア仕様ですね。

OperatorはAU(オーストラリア)ですがcode 00すなわちSIMフリーです。

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まあ、そういう訳で4Gも選択は可能ですが、繋がる環境に住んでいませんし、共有についても、お気に召すままで…。

<おまけの2>

私にとってNokiaはもはや腐れ縁ともいえる間柄です。最初に買った携帯がIDOのD315でその次がMotorolaののSTAR TAC(わざわざデジタルからアナログに行く奴)、その後すぐにアナログが巻き上げられてしまったので、長らく日立のデジタルを使った後、更に巻き上げを食らってtalby、更に3度目の巻き上げ(IDO->auさんには本当に助かりました、いえ、タダで端末2度も取り換えて頂いて…)を食らう前にはメインはE61からE71、そして現在のBlackberry9790へと変遷しています。Nokiaが独立した携帯電話メーカーとしての命脈が断たれた今、最後の独自開発モデルを購入しておくのも、長年のNokiaユーザーの定めかと。

他の手持ち携帯の紹介は以下のページにて。

Limia1020 and old Nokia's phone

今月の読本「愛しの昭和の計算道具」(ドクターアキヤマ 東海大学出版会)ある大学教授が愛する計算道具達の変遷

今月の読本「愛しの昭和の計算道具」(ドクターアキヤマ 東海大学出版会)ある大学教授が愛する計算道具達の変遷

私のページでは所謂「電子小物」を扱うので、ご覧いただいている皆様の中には「電卓」に興味がある方もいらっしゃるかもしれません。

そのような方の中で、既に中年の域に差し掛かっていらっしゃる方には1991年にNHKで放映された「電子立国日本の自叙伝」という、テレビシリーズをご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今となっては貴重なインタービュー、映像記録の数々と出演者(番組ディレクターとアナウンサーが素材資料で埋め尽くされた編集室でVTRを眺めながらトークを進めていくという型破りなスタイルですが、その後のドキュメンタリー番組の多くが製作者自身のリアリティを演出するために採用した「編集装置に流れる映像をバックに語る」というスタイルを始めて持ち込んだ作品かもしれません)。

バブル最後の年に放映されたこのシリーズは、当時はやっていた金融業界の理系学生大量採用、今となっては夢物語でもある「青田刈り」の風潮に強烈な一石を投じ、番組を通じて半導体業界に強い興味を持ち、その後業界に飛び込んでいった当時工学部に在籍していた大学生の方も多くいらっしゃったと聞いています(その後の業界の進展において、現在苦境に立たされている方も多くいらっしゃるかとは思いますが)。

私自体はもう少し下の年代(バブル崩壊後に研究室在籍→社会に出た人間です)でしたが、この番組にとても惹かれたことを今でもはっきりと覚えていますし、何だかんだで今でも業界の片隅で飯を食っている一つの理由は、この番組に影響を受けたからでしょう。

そんんな極めて影響力のあった「電子立国日本の自叙伝」の中で、後半のキーとして出て来るのが「電卓戦争」です。

もはや歴史物語で語られる世界になってしまいましたが、戦後、日本が主役となって世界で展開された家電製品の一大普及期の後半に当たる1960年代後半から80年代初頭の迄の20年ほどの間に展開されたもう一つの日本製製品の大躍進が電卓でした(この後に来るのが家庭用VTRですね)。

この「電卓戦争」によって市場に大量に出回った電卓により、半導体産業が大きく進展、そして半導体の微細化、低消費電力化が強力に推し進められることになったことはよく知られている事です。もちろん、今や家庭用テレビのすべてがそうなってしまった「液晶」も、遂に普及期を迎えようとしている「太陽光発電」も、元を辿れば熾烈な電卓戦争における低消費電力技術開発によって民生に進出してきた技術です。

そんな、半導体技術の進展と切っても切り離せない「電卓」なのですが、そもそもは「計算するための道具」ですよね。これまで「電卓」を扱ったお話は、前述のように半導体関連の技術史だったり、電卓戦争にまつわる人間物語だったりする訳ですが、計算するための道具としての電卓のお話はあまり見かけないようですね(20世紀の教科書には結構いい本があったのですが…もはや爺ですね)。そこで今回の一冊を紹介してみようと思います。

愛しの昭和の計算道具

表紙からして殆ど主題をイメージできませんし、題名からしてちょっと不思議な「愛しの昭和の計算道具」、つまり電卓のお話(だけでは)ありません。

著者の経歴もこの手の本からするちょっと不思議な東海大学の現役教授の方ですが、一方で「ドクターアキヤマのレトロな計算道具たち」などというブログを主催されている、計算機コレクターの中では結構有名な方のようです。

本書の内容も、ブログにおけるちょっと不思議な(大学の研究者の方にはよくあるパターンではありますが)ノリそのままに、計算に用いられる道具たち、特に昭和期に日本で生産された(一部逸脱あり)計算道具に特化して、道具の紹介というより「こんな風に使ったんですよ」という背景説明に力を注いでいる一冊です。

そのような意味では、電卓だけに興味のある方にはかなり物足りない本かと思いますし(本文のノリからしてなるべく軽めに記述されることを心がけていらっしゃるようですので)、計算機コレクターのコレクションガイドとして読んでも内容は薄めと捉えられてしまうかと思います。

本書はそのようなある意味「マニア」向けの一冊ではなく、あくまでも「計算する道具ってどんな物」という事例を、講義の形を借りて優しく(柔らかく?)語っていこうという趣旨の一冊です。

但し、そこはコレクターでもある著者の事です。扱われる計算道具の数々はマニアでも思わず身を乗り出してしまう一品ばかりで、計算機コレクションガイドとしても立派に役立つ一冊となっています(巻頭にはカラーでの紹介もあります)。

扱われている計算機の範疇は順序はバラバラなのですがそろばんから始まって計算尺、手回し式計算機、手動/電動加算器、電卓、ポケコン、電子手帳とかなり広範にわたっていますが、いずれの章でも当時の背景、使い方、使われ方、コレクションに加わった経緯等が漏れなく語られており、ボリュームの割にはしっかりと読むこともできるように配慮されています。

特に計算尺の使用方法や手回し式計算機の算術処理方法についてはちょっと細かめに説明されているので、初めて見た方でもいきなり???にならないような配慮がなされている点は嬉しいところです。

ところで、一番悩んでしまったのは、この本の読者ターゲットです。

表紙自体から計算機の本である事をイメージすることはちょっと難しいですし、如何せん取り扱っている版元は、かの天皇陛下も執筆陣に加わり、クニマスですっかり有名人になられた京大の中坊徹次先生が編纂する巨巻「日本産魚類検索 全種の同定」をフラッグシップに擁する東海大学出版会です。

どうしてこんなジャンルに手を出す気になってしまったの?という編集者の方への抑えがたい疑問を必死に抑えつつ、それでもどのような意図があったのだろうかと…ちょっと眠れなくなってしまうほど不思議な一冊なのでした。

<おまけ>

  • 昨年が丁度電卓誕生50周年であったことから、電卓にまつわる何冊かの本が出ていますが、その中でもデザイン性に特化した内容にこだわった一冊が、こちら「電卓のデザイン」(大崎眞一郎著・太田出版)です。著者は著名な電卓コレクターなので、それこそ数千種類に及ぶ電卓を所持されているそうですが、その中からデザインの秀逸さで選ばれた電卓の美しい写真の数々が掲載されている一冊です。この写真集を見ているとよく判るのですが、我々が電卓(計算道具)や電子小物に惹かれるのは、何と言っても「手元にある道具ほど使い込むし愛着が湧きやすい」そこにインダストリアルデザインが発生する余地があるのだなと強く思わせる一冊です。また、本書にも出て来るのですが電子小物とノベルティは今も昔も相性が抜群なのだなと感慨深く見入ってしまいます
  • 著者が所属する大学は、本文中でも度々ぼやかれているようにちょっと不思議な学部構成があったりしますね。著者の所属も「工学部応用化学科」という、一見理学部にありそうなのに工学部に所属しているからこそ、このような書物(研究内容は?)が出て来るのかと思います
  • 著者以外でも同大学の関係者で、ご本人ではないのですがこの方面で有名な方は、こちらの本で取り扱われてる方も該当するかと思います。私も過去にはお世話になった方だったりします(色々な意味で…ああ、大根)