霧に沈む秋色(2017.10.15)

好天だった日々から一転、週末にかけて天候が崩れてしまいました。

秋雨前線の影響と云われていますが、既に外は深まる秋の景色。

刻々と彩を変える秋の景色を求めて、降りしきる雨の中、再び山へと足を向けます。

すっかり色付いてい来た小海の白樺林。こんな天候ですが、登山客の方を乗せた白駒池に登っていくシャトルバスが、目の前を通り過ぎていきました。

山から霧が下ってきた八千穂レイク。

この時期、ピークを迎えた紅葉を愛でつつ竿を振る釣り人が集まる湖畔も、今日はひっそりと静まり返っています。

湖畔に広がる白樺林もすっかり色が濃くなってきました。

雨の白樺林の中、しっとりとした赤い葉を魅せる紅葉。

白樺林の中を覗き込むと、雨に濡れた紅葉が彩を増しています。

ピークを迎えた白樺の紅葉。モミジの赤い紅葉がアクセントを与えてくれます。

撮影を続けていると、白樺林にも徐々に霧が降りてきました。

霧に沈み始める白樺林。

昼下がりの時間にも拘わらず、霧で真っ白に染められた白樺林は薄暗くなってきます。

霧に溶け込む紅葉した白樺の木。

冷たい雨が降りしきる白樺林は、霧の中に静かに沈んでいきます。

八千穂高原を更に登って麦草峠を越える頃には気温は5℃、地上とは全く違う世界が広がっています。

八ヶ岳を東側から西側に抜けて、何時もの場所。山から繰り返し霧が降りてくる、午後の奥蓼科、御射鹿池へ。

湖畔の彩も深くなってきました。

白樺の紅葉は今がピーク、そろそろ落葉松の色付きが始める頃です。

撮影している間にも、霧が山から迫ってきます。

湖畔の彩も、一週間前と比べると深みを増してきています。

霧に包まれる御射鹿池。今日もたくさんの観光客の方がお見えになっていました。

天気予報では、あまり優れない空模様が続く予報となっている今週。

霧と雨の中で秋の彩を探しながら。

 

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暖かな秋の朝に、奥蓼科(2017.10.9)

初秋を思わせるほどに少し暑くなった連休二日目。

随分遅くに床に就いたのですが、暖かさに目が覚めた早朝。

お休みなので二度寝もいいのですが、折角だからと、夜明けを前に車を西に走らせます。

日の出直前に到着した、奥蓼科、御射鹿池。

霧が降りてきて、朝露に濡れた遊歩道を歩くと、静かな湖面に映る紅葉した木々が見えてきます。

連休で昼間は連日大賑わいの筈ですが、流石に日の出前ともなると多少は観光客方も少なく(その代わり、三脚の放列が並ぶのですが)、静かに眺める事が出来ます。

周囲の木々は既に紅葉に入っていますが、まだ中盤戦。落葉松の黄葉は緑を残す一方、黄色い白樺と赤いツタウルシはまだ鮮やかな色を保っています。湖畔が一番彩に溢れる頃合いです。

朝霧の中に彩を増しつつある、御射鹿池の紅葉。

昨年から湖畔に降りる事が出来なくなった御射鹿池。

今年からは、広々と綺麗に整備された駐車場から繋がる、湖岸の遊歩道から静かな湖面を眺める事になります。

時刻は6時。霧が晴れて、湖面にも光が差し込み始めました。

周囲の落葉松はまだまだ色付き始め。御射鹿池の紅葉は晩秋の10月末頃まで彩を変えながら楽しむ事が出来ます。

日が昇って来たので、湖畔を離れてひっそりと谷筋に降りていく道を歩いていくと、朝露にしっとりと濡れた紅葉する木々が連なっています。

紅葉が始まった周囲の山々に挟まれるように、谷筋に滝が見えてきます。

僅かに硫黄の香りだだよう、明治温泉の裏庭。

日射しが差し込み始めた、おしどり隠しの滝の周囲も紅葉が始まっています。

周囲には流れ落ちる滝の音だけが響く、ゆったりと暖かな秋の朝を迎えました。

山を下ると、日がすっかりと昇って眩しい日差しの朝を迎えました。

刈り入れの終わった田圃に「わらの立て」が連なる谷筋の圃場。陽射しを受けて周囲の森は朝の吐息を始めています。

拍子抜けするほどに暖かな秋の朝。今日も行楽日和になりそうです。

 

秋色と空は移ろいながら(春日渓谷and大河原峠)2017.10.8

秋の週末連休。前日からの崩れた天候がなかなか回復しなかった土曜日から一転して、好天に恵まれた日曜日。少し暑いくらいの日差しの中、秋色を求めて、八ヶ岳の東側を廻ります。

色付きが進んできて秋の装いが深まってきた、清里、東沢大橋から望む八ヶ岳。

昨日と今日は甲府一高の強行遠足の日。生徒たちの一群が、それぞれのペースで山道を連なって登っていきます。

野辺山まで登って来ると、八ヶ岳の上空を覆っていた雲が取れはじめてきました。

一週間前と比べて、八ヶ岳の色あいも大分深まってきました。

山肌が目立ち始めた東側から望む八ヶ岳。

裾野を覆う落葉松林も徐々に色濃くなってきています。

更に八ヶ岳を東に廻り込んで、大河原峠に上がる蓼科スカイラインへ。

途中、鹿曲川林道が長期閉鎖中の為入る事が出来ない、春日渓谷を望める対岸から紅葉を眺めます。

まだ、緑が多めですが、山肌に彩が広がります。

大河原峠側を望むと、谷筋は黄葉に染まっています。

正面の尾根筋に点々と見える建物が、とある方の紹介で有名になってしまった、標高1800mに広がる廃墟謎の別荘地、蓼科仙境都市の別荘群(実働中)です。

暫くしていると、蓼科の麓から霧が上がってきました。

辺りには、あっという間に霧が広がってきます。

霧に追い立てられるように紅葉の森の中へ。

鬱蒼とした森の中に入り込むと、彩に溢れていました。

標高1800mを越えるこの場所は、もう秋真っ盛りです。

実は、この後に大河原峠を通過したのですが…物凄い車の列で駐車するどころの騒ぎではなく(予想はしていましたが、連年増えていく)、そのまま夢の平林道側へスルー。途中のエスケープゾーンに車を止めて、今まで上がって来たルートを俯瞰します。

付近は秋色真っ盛りです。

麓側の落葉松の森の中に、新しく建設が進むJAXAの深宇宙探査用地上局が見えているのが判りますでしょうか。

大河原峠を見上げます。

華やかな秋色に包まれる蓼科の山並みです。

そうこうしているうちに、再び霧が降り始めてきました。

霧に沈んでいく大河原峠へのアプローチルート。

全山が紅葉に包まれています。

霧の晴れ間に山並みをアップで。

大河原峠まで登っても、まだ落葉松の黄葉は始まる前。山は華やかな3色に包まれています。

女神湖まで降りてきました。

空は複雑な雲が浮かぶ、ちょっと秋らしくない天気。周囲の山々に広がる落葉松は、鮮やかな黄金色に色付く前の、暗く沈んだ色合いに包まれています。

落葉松以外の落葉樹たちは色付きの真っ最中。軽やかな色合いに森の中は輝きます。

麓まで降りてくると、八ヶ岳の西麓は、眩しい日差しと広がる青空。

あっけに取られながらも、山の天気だからと妙に納得しながら。

お天気に恵まれた連休の中日、どのように過ごされましたか。

軽やかな黄金色の小路へ(八千穂高原の白樺林)2017.10.1

今日から10月、8月の終わりから11月の末まで続く、長い長い八ヶ岳の秋もそろそろ折り返し地点。

山々の色付きが本格的に始まるシーズンに突入します。

昼下がりの野辺山。

東に広がる秩父の峰々はまだ夏の装いを脱ぎ始めたばかり。広がる圃場では、長い冬に備えて牧草の刈取りが進んでいます。

八ヶ岳を東に廻り込んで、小海へ。

小海町高原美術館の裏側に広がる高原野菜の畑は、最後の収穫のシーズンを迎えています。朝の最低気温が0度に迫る10月の初旬、霜の降りるタイミングと睨み合いながらの日々が続きます。

標高1500m、八千穂高原まで上がってきました。

周囲の山々はまだ緑が残りますが、目の前に広がる白樺林は、既に黄葉が始まっています。

白樺以外はまだ色付き始めの八千穂高原界隈。

緑と黄色のコントラストが見られるのは、この時期ならでは。

周回道路沿いの白樺林は、もうすっかり色付いています。

他の木々より1週間ほど早い、白樺の紅葉シーズンはもう見頃を迎えています。

では、黄金色に染まり始めた白樺林の中にご案内。

白駒池の大渋滞(駐車場が満車なので、麓からシャトルバスが走っているらしいです)をよそに、訪れる方もそれほど多くない(レンゲツツジのピーク時より少ないです)、少し早い八千穂高原の秋色は、軽やかな白樺が彩ります。

午後の陽射しが差し込む湖畔の遊歩道。

色付きの季節はゆっくりと他の木々にも移ってきています。

八千穂高原を離れて、更に八ヶ岳の山懐へ。

佐久から八ヶ岳で2番目に高い車が通過できる峠となる大河原峠に上がる蓼科スカイラン。飴色になった落葉松林が続く中腹に、ISASが建設した臼田の64mパラボラアンテナに代わる、JAXAの新しい深宇宙探査用地上局となる、54mパラボラアンテナが建設中です。完成は2年後、現在飛行中のはやぶさ2の管制でデビューの予定です。

まだ秋本番にはちょっと早い八ヶ岳。

少し足を延ばして、標高1800m、大河原峠の入口まで上がってみましたが、一面黄色に染まる別荘地の木々はまだ緑が多く残る状態。

それでも、曇り空となって乏しい日差しの中、木々の色付きは着実に進んでいきます。

秋色始まる八ヶ岳の山懐。

これから冷え込みが強くなる度に、木々の色付きが濃くなっていくはずです。

彩り始める秋の入口に八ヶ岳を添えて(2017.9.29)

ぐっと冷え込んで、気温がひとケタまで下がった朝。

お休みを頂いた金曜日、少し気分転換に、馴染みの場所を朝からゆっくりと巡ります。

すっきりとした秋晴れの下、色褪せはじめた山頂部と緑を残す裾野のコントラストが描き出される甲斐駒を望む圃場は、順々に刈り入れが進んでいます。里山の秋の一ページ。

赤い橋でおなじみの、清里、東沢大橋の展望台から八ヶ岳を望みます。

すっきりと晴れ渡った空の下、色褪せはじめた山肌がくっきりと見えてくるようになりました。

標高1000mを越える場所ですが、紅葉はまだまだといったところです。

更に標高を上げて、1200mを越える野辺山。

高原野菜の畑では、この時期になってもまだまだ収穫が続いています。

緑を湛える野辺山の牧草地の向こう、昼下がりの眩しい日差しを浴びて、秋色の八ヶ岳が裾野を広げます。

佇むだけですべてを忘れされてくれる大好きな場所は、今日も、ただ風の音だけが響いています。

山肌が目立ち始めた八ヶ岳。

裾野に広がる落葉松林も、飴色に染まり始めています。華麗な秋の装いに移り変わるまでには、あともう少し。

平沢峠から望む、昼下がりの八ヶ岳。

広大な裾野を覆う落葉松の木々が染まるのは10月も中盤に入ってから。ぐっと重い色合いになった緑が広がります。

森の中に入ると、早くも黄葉を始める木々が目に入ってきます。

黄緑色から黄色、そして青空へと続くグラデーションとコントラストが眩しいです。

眩しい日差しを受けて、木の葉の先の方から秋の装いが始まります。

真っ青な秋空の下、黄葉が早く進む白樺の木の先端は、既に落葉を始めている木も見られます。

午後の八ヶ岳、雲が少し出始めてくると、山裾には深いグラデーションを作り上げられます。

再び山を下り始めて、八ヶ岳大橋から望む、赤岳と権現岳。

裾野の前を包む落葉松の木々もすっかり暗い色合いになってきました。

午後の西日を受け始めた八ヶ岳を麓の圃場から望みます。

刈り入れを待つ圃場の稲が、山裾に黄色の帯を曳いています。

振り返ると、西日を浴びて輝く稲穂が圃場に広がります。

鮮やかに黄金色に色付く稲穂たち。

台風の影響で倒れた稲穂がまるで渦を巻くように圃場を埋めています。

甲斐駒を遠く望む秋の山里に現れる、実りを待ち望む黄金色の波間。

日暮れを迎えると、白い花が落ち始めた蕎麦畑の向こうに、桃色に染まる霞んだ八ヶ岳が浮かび上がります。

穏やかな秋の夕暮れ。

日没を迎えて、圃場を埋める稲穂の上には夕闇が迫ってきました。

穏やかな秋晴れの一日に、感謝を告げて。

今月の読本「トラクターの世界史」(藤原辰史 中公新書)大地を駆る鉄馬に連環する3つの筆致と農への想いを乗せて

今月の読本「トラクターの世界史」(藤原辰史 中公新書)大地を駆る鉄馬に連環する3つの筆致と農への想いを乗せて

題名からして惹かれる一冊、しかも著者は近現代の食と農に関する論考を近年積極的に発表されている気鋭の研究者とくれば、当然期待も高まります。積読溜まり気味の中ですが、細かい事は考えずにとにかく読むが先決と、発売直後に手に取った一冊(書店様、いつも入れて頂きありがとうございます)。

今回は「トラクターの世界史」(藤原辰史 中公新書)をご紹介します。

本州における機械化農業の先駆地でもあり、各施設でも大切に往年の車体たちが飾られる清里(晩秋のポール・ラッシュ祭にお越し頂ければ、現役の車両たちへの乗車体験もありますよ)、そして日本に於けるトラクターのスケールを遥かに凌駕する大陸的なビックサイズのトラクター(やはりジョン・ディアが多い!)がそれこそ国道を縦走する風景が日常に溢れる野辺山を目の前にする場所に住する身にとって、トラクターは特に身近な「道具」。そんな道具達の歴史が綴られる本書ですが、そこには著者のこれまでの著作との強い関連性が認められます。

本書の著者は、近代史において、日常の生活の中に見出される政治的な指向性を浮かび上がらせる事に成功した、快作の呼び名の高い「ナチスのキッチン」を著し、その後も戦前の旧大日本帝国におけるジャポニカ米の品種改良と植民地における農業政策を結びつけた「稲の大東亜共栄圏」、食に関する広範なテーマを扱ったエッセイ集「食べること考えること」と立て続けに上梓されています。

農学者ではなく、農業史を標榜する人文学系統に属する研究者ならではの筆致に惹かれる方は多くいらっしゃるかとおもいますが、本書に於いても「トラクター」を題材として、近代史における農業の変化する姿を、上記の3冊のエッセンスを存分に注ぎ込んで描いていきます。但し、あくまでも人文学的見地に立った議論であり、トラクター自体のメカニズムや機械化農業(農耕)効果に対する詳細な検討といった工学及び農学的な視点は余り言及されていない点には理解が必要です(この辺りの釈明は、ご自身の生い立ちを添えてあとがきに述べられています)。また、本書は世界史と題されていますが、扱われるテーマとその地域はかなり限定されます(多くのトラクターが活躍している感もある南半球は全く扱われません。北半球のトラクター史ですね)。更には、本書では著者の研究テーマに沿ったトラクター発祥、導入からの物語が描かれるため、それぞれの舞台によって明確に異なる筆致で綴られていきます。

当時の文学作品や風刺から見る、農家の生活とその中に進出してくるトラクターを農民たちがどのように受け止めていたかを描く事に注力する、発祥と発展の地、アメリカ。その強力な能力と引き換えに大きな投資と維持にコストが掛かる点を逆手にとって、小農や富農を集団営農へと転換させる起点、象徴としてのトラクターをプロパガンダ、更には実際の集団化に用いようとしていく反動の暗側面を描き出していく、旧ソビエト、そしてナチス・ドイツ。幻想の集団営農と強靭な東側のトラクターに魅せられる農業指導に渡ったアメリカ人の視線と、毛沢東の集団営農への想いと文革後に再び小農体制へと後退を綴る中国。そして、牧歌的に偉人伝と企業史としてのトラクター開発物語が語られる日本。

対応する国、地域、政治体制それぞれに呼応するように、これまでの著作の筆致そのままに当てはめられて描かれていくストーリー。それぞれは全く異なるストーリーにも見えますが、著者の筆致の魅力でもある、通読していくと一本のストーリーとして繋がっていく、連環する筆致が本書でも見出されていきます。本題でもあるトラクターの歴史、アメリカで勃興したトラクターを軸とした産業としての農業機械は、その系譜を受け継ぐ世界中の合従連衡の上に現在も発展している事に気が付かれるはずです。

発祥のアメリカを今も地盤として、農家と向き合い、改良を重ねて巨大化と多彩化の波を生き抜く、農業機械の巨人、緑のジョンディア(日本ではヤンマーが扱い)。巨大資本と自動車産業の効率的な製造手法を持ち込み、更には政治力で世界の市場を席巻したブルーのフォードとニューホランド、伝統と技術力を誇り、北米で確固たる地位を築く赤いIHにシルバーのランボルギーニの各社は、それぞれのブランドを維持したままオレンジのフィアット資本の下に国際企業として集約。プラウの三点支持を生み出したファーガソンシステムの祖、マッセィ・ファーガソンはAGCOへ(野辺山、川上界隈では最近この真紅のボディが目立ってきた。大型は井関にOEM供給も)。ディーゼルをリスペクトする、狭隘で硬く締まった圃場に特化した小さな歩行用トラクターから始まった日本のトラクターたちは、彼らと提携しつつも、その雄たるクボタは彼らの故郷の地、アメリカと多様な機種が展開されるヨーロッパを目指して巨大化の道へと歩み出し、世界の農業機械産業一角を占めるに至ります。発祥は違えども、大地を駆り耕すという同じ役割を与えられたトラクターたちは、時に戦車に、更には産業そのものが軍需に転用されながらも、地域を問わず世界中に展開していきます。

そして、著者のこれまでの作品とも通貫するテーマ。トラクター発明以前の農耕から語り始める冒頭から述べられる、農業と大地への想いがそれぞれのストーリーの中でも綴られていきます。

強力な耕耘力が生み出す深耕と、過大な重量が生じさせる土壌の破壊に対する憤り。巨大な力と引き換えに世界経済に巻き込まれる事になる燃料と大地へ化学肥料を与え続ける事への負担。人と大地を繋ぎとめ、地力を与える存在であった役畜(農耕馬・牛)への農民たちの想いと、トラクターに対する懐疑の眼差し、対比されるトラクター運転手へ憧れる若者の描写。そして、農業の産業化の象徴となったトラクターが生み出す、営農集団化の足取と挫折の物語に随伴する農業政策への眼差し、プロパガンダとしての女性が農業で活躍する舞台道具に設定されたトラクターというアイコンと現実の深いかい離。

トラクターという存在を少し離れて終章で一気に畳み掛けていく物語の先には、著者の想い、農業を基盤とした大地と人の繋がりの受け皿となる営農集団と、その鎹としての協業の象徴、トラクターというイメージへの飽くなき想いが情景として滲んでいるようです。

著者の想いとそのイメージは、既にダストボウルの先に消え去った幻影に過ぎないかもしれません。特に日本に於ける現代の農業の姿とは、なかなか相容れるものではないかもしれませんが、トラクターをテーマに、これまでの著作同様に、農業と大地との絆に対する深い想いを込めて描く一作。ちょっと薄味気味かもしれませんが、トラクター、農機具ファンの方にも歴史物語として楽しめる一冊かと思います。

実りの彩(2017.9.8~16)

秋9月に入って天候も比較的安定してくる中、西から徐々に寄せてくる台風に戦々恐々する3連休。

観光関係の方には大打撃ですし、もう間もなく収穫を迎える農作物を前に、気が気でない状況を迎えています。そんな心配事一杯の週末ですが、圃場では遅れていた実りも天候の回復と併せて漸く本番を迎えています。

雨上がりの朝。甲斐駒を望む朝の圃場を埋める真っ白な蕎麦の花。

8月の終わりから始まった蕎麦の花のシーズンもピークを迎えています(9/8)。

蕎麦の花で埋め尽くされる八ヶ岳を望む圃場。

お天気の良い午前中には、八ヶ岳の周囲に点々としている開けた圃場で美しいコラボレーションが楽しめます(9/9)。

少し雲が多めながら晴れてきた空。お祭りの音に誘われて路地の中に迷い込むと、提灯が吊り下げられている路地に行き当たりました。伊那や南信の古い街並みに見かける、路地を跨ぐワイヤーの付いたこのような鉄の門構え。使っている様子を見るのは初めてです(塩尻、平出)。

秋の眩しい陽射しが雲間から零れる午後。そろそろカメラのスタンバイ。

陽射しを一杯に受けて、実をいっぱいに付ける垣根仕立ての葡萄畑。美しく整備された葡萄の木々が開けた台地の上に並びます。

振り返ると、棚仕立ての葡萄畑。眩しい日差しが差し込む木漏れ日の中に、笠を掛けられた葡萄が甘い香りを漂わせています。名物のナイアガラ収穫はもう暫く後との事で、後ろ髪引かれながら撤退です(9/10)。

台風の到来が伝えられた今週。既に標高の低い武川の辺りでは先週末から稲刈りが始まったと伝えられていましたが、2倍ほど標高が高い甲斐駒を望む圃場にもコンバインが乗り入れ、早生の刈り入れが始まったようです。慌ただしい秋の収穫シーズンが始まります(9/13)。

圃場の脇に降り立って稲穂の群れを眺める朝、甲斐駒の上空から雲が昇っていきます。稲穂たちは静かに熟す時を待ち続けます。

綺麗に晴れ上がった空の下、実りの彩に包まれる圃場。

遠望する八ヶ岳も少し色褪せて、秋の装いの準備に入ったようです(9/14)。

週末に向けて天候が崩れ始める朝。うっすらと雲を吹き上げる八ヶ岳も少ししっとりした表情を見せはじめます(9/15)。

昼過ぎから台風の余波で雨の降りだした週末。圃場を埋める稲穂たちも、雨を受けて重たく頭を垂れています。

標高1000mを越える圃場に広がる蕎麦畑。目の前に重く垂れこめた雲の下を稜線沿いに足早に雲が流れていきます。

日没を迎えて雨脚が強まってきた連休の夜。どうか無事に通過してくれますように。