南八ヶ岳周辺の博物館・美術館の企画展情報(2019年秋版)

南八ヶ岳周辺の博物館・美術館の企画展情報(2019年秋版)

本ページは、企画展の情報等を逃して悔しい想いを何度もしている自分の為に用意した備忘録です(地元に住んでいても情報は全然入って来ませんし、今日までで終了の企画展でも気が付けなかったものがいっぱいある…涙々)。私自身が訪れた事のある施設を中心に掲載しておりますので、かなり偏った掲載内容になっている点はご容赦ください。

情報のソースは各施設、観光案内施設やショッピングモールなどで配布されている展示会の公式パンフレット、地元新聞社、放送局による紹介、SNS等による発信内容を用いていますが、最終的な確認については各施設のホームページ掲載内容に基づきます。

なお、南八ヶ岳周辺にある各施設の概要についてお知りになりたい方は「八ヶ岳ミュージアム・リング」(八ヶ岳ミュージアム協議会)という公式サイトがありますので、そちらをご覧ください(但し、更新頻度が極めて低く、企画展などの情報もありません)。

【八ヶ岳東麓(小海、野辺山方面)】

【八ヶ岳南麓(清里、長坂、大泉、白州方面)】

  • 清泉寮やまねミュージアム
    • 中央高速、長坂インターから清里、八ヶ岳高原大橋方面へ北上、八ヶ岳高原大橋を越えて登坂車線付きの道を登った先にある「清泉寮」方面看板の指示に従って進む。国道141号線方面からは清里の交差点を越えた先の、清里トンネル東交差点を曲がり、清里トンネルを抜けた先にある同じ看板の指示に従って進む。小海線、清里駅からは観光周遊バスが利用可能です
    • 現在開催中の企画展 : 開催中の企画展はありません。次回のギャラリートーク「研究員に聞け! 冬の巻」は、ヤマネの冬眠期間中となる来年2/9(日)です
  • 清里フォトアートミュージアム
    • 国道141号線、丘の公園交差点を入った先ですが、ルートがやや複雑なので、心配な方はナビへの入力ないしは、事前に地図をご用意の上で、お越しください
    • 現在開催中の企画展 : ロバート・フランク展-もう一度、写真の話をしないか。(2019/6/29~2019/9/23)
      • ピーター・バラカン Live DJ「ロバート・フランクの写真・アメリカ・それから」9/21(土)
    •  次回の企画展 : 山本昌男「手中一滴」展(2019/10/5~2019/12/8)
      • 出展者によるアーティスト・トーク10/26(土)
  • 北杜市考古資料館
    • 長坂インターから清里方面に北上、若林交差点を小淵沢方向に左折、旧大泉村役場跡の向かい側にある図書館を過ぎた先の交差点を看板の指示に従って谷戸城跡方向に左折して1分程。中央本線、長坂駅から市民バスも利用可のですが本数は僅か
    • 現在開催中の企画展 : 共同企画展「ワンダフルジャーニー 星降る八ヶ岳山麓の縄文文化」(2019/7/6~2019/11/24)
  • 北杜市郷土資料館
    • 七里岩ライン、長坂駅手前のガードを潜った先の交差点を白州方面へ左折、谷筋を越えた先にある「清春白樺美術館」の案内看板が出ている交差点を右折してすぐ。国道20号線方面からは台ヶ原中交差点を曲がって峠道を登り切った先にある前述の看板に従って左折してすぐ(清春白樺美術館の向かい側)。中央本線、長坂駅から市民バスも利用可能ですが本数は僅か
    • 現在開催中の企画展 : 「動物の神様」(2019/7/13~2019/10/27)
      • ギャラリートーク : 9/14(土):終了、10/13(日)
      • 講演会「御坂のニホンオオカミ頭骨と甲斐周辺の狼信仰」10/6(日)
      • 馬の史跡めぐり10/26(土)
  • 北杜市オオムラサキセンター
    • 七里岩ライン、日野春陸橋を越えた先にあるオオムラサキセンター交差点を曲がってすぐ。中央本線、日野春駅から徒歩1分
    • 現在開催中の企画展 : 特別展「太古の虫たち」(2019/9/10~2019/12/27)
  • 藪内正幸美術館
    • 国道20号線、鳥原の交差点を曲がって、サントリー白州蒸留所へ。工場に入る手前の交差点を左折、200m程先にある案内看板に従って右折して1分ほど。バスは韮崎駅から国道20号線経由の下教来石行きに乗車して松原下バス停で下車、もしくは小淵沢駅から発着するサントリー白州蒸留所行きの見学バス(3月~11月の主に土曜休祝日とGW、夏休み中の運行)に乗車して工場から徒歩、いずれも15分ほど
    • 現在開催中の企画展 : 2019年度後期企画展「おなじみのどうぶつたち」(2019/7/20~2019/11/30)

【八ヶ岳西麓(富士見、原村、茅野、諏訪方面)】

  • 井戸尻考古館
    • 国道20号線、下蔦木の交差点を曲がってすぐの場所にある「信濃境」方面への案内看板が出ている交差点を曲がり3分ほど。小淵沢IC方面からはインターを出て左折、久保交差点を曲がって10分弱ほど走った先で突き当たりとなる、高森交差点を左折、中央本線のガードを越えたら左折して突き当たりを右に曲がって(左に曲がると信濃境駅)坂を下った先にある看板に従う。中央本線、信濃境駅からは徒歩15分
    • 現在開催中の企画展 : 共同企画展「ワンダフルジャーニー 星降る八ヶ岳山麓の縄文文化」(2019/7/6~2019/11/24)
    • 「高原の縄文王国収穫祭」10/20(日)
  • 富士見町高原のミュージアム
    • 中央高速、諏訪南インターからテクノ街道を富士見方面へ、南原山交差点を国道20号方面へ右折、200mほど進んだ先にある案内看板に従って左折してすぐ(町立図書館に併設)。中央本線、富士見駅から徒歩5分ほど
    • 現在開催中の企画展 : 画業50周年「井上直久展~世界はこんなに美しい~」(2019/7/13~2019/9/16):終了
  • 八ヶ岳美術館(原村歴史民俗資料館)
  • 茅野市尖石縄文考古館
    • 中央高速、諏訪インターから国道152号線(メルヘン街道)方面、芹ヶ沢南交差点を八ヶ岳エコーラインの富士見方面へ右折、尖石考古館西交差点を左折して1分ほど。諏訪南インターからは八ヶ岳ズームラインを八ヶ岳方面へ、深山交差点を八ヶ岳エコーラインの白樺湖方面へ左折、10分程で尖石考古館西交差点へ。本数は少ないですが、中央本線、茅野駅からバスもあり
    • 現在開催中の企画展 : 企画展「速報!辻屋遺跡」(2019/7/13~2019/10/14)
    • 第19回尖石縄文文化賞受賞者、西野雅人氏による講演会、縄文文化大学講座「縄文時代の食を語る」10/12(日)
  • 茅野市八ヶ岳総合博物館
    • 中央高速、諏訪インターから国道152号線(メルヘン街道)方面、ビーナスラインと分岐する御座石神社前交差点を越えた先、諏訪東京理科大と博物館への案内看板を曲がってすぐ。本数は少ないですが、中央本線、茅野駅からバスもあり
    • 現在開催中の企画展 : 特別展「川村養川と堰と人々の生活」(2019/7/13~2019/9/16):終了
  • 神長官守矢史料館
    • 中央高速、諏訪インターを降りて右折、陸橋脇をビーナスライン方面に入ってすぐの荒井交差点を右折、突き当たりの高部東交差点を右折して1分ほど、高部交差点の先。中央本線、茅野駅からバスもあり(茅野駅から徒歩でも行く事は可能ですが、お勧めしません、凡そ40分)
    • 現在開催中の企画展 : 守矢文書に見る 改元・元年の古文書(2019/8/3~2019/10/14)
  • 諏訪市博物館
    • 中央高速、諏訪インターを降りて左折、飯島交差点を諏訪大社方向に左折して5分弱。中央本線、上諏訪駅からバスもあり(茅野駅から徒歩で行く事も可能ですが、お勧めしません。凡そ45分)
    • 現在開催中の企画展 : 企画展「仏法紹隆寺-諏訪の真言道場 古刹の歴史-」(2019/9/14~2019/11/24)
      • 講演会「仏法紹隆寺の仏像-普賢菩薩騎象像と不動明王立像について-」10/13(日)
      • 展示説明9/15(日):終了、10/12(土)
  • イルフ童画館

他にもご紹介したい施設は沢山ありますが、とりあえず此処まで。

広告

深まる秋への入口で(2019.9.8~15)

台風の襲来により大きな被害が出た関東地方。

山々に囲まれた此処、八ヶ岳山麓では夜半に強い雨が降った程度で農作物などへの被害はありませんでしたが、台風がもたらした南からの暑い風に再び包まれる、夏のぶり返しのような日々となりました。

台風の到来を前にした日曜日の朝。

雲に覆われる甲斐駒を望む蕎麦畑。満開の蕎麦の花々が迎えてくれました。

急な暑さから逃げるように八ヶ岳の山裾を北へと向かい、野辺山へ。

まだまだ続く高原野菜のシーズン、眩しい日射しの中、レタスの葉は瑞々しい緑を湛えています。

大きく育ったキャベツたち。

台風を前にして抜けるような空の色となった昼下がりの野辺山。

レタスの栽培が多い野辺山界隈では珍しい、冬の野菜である白菜の畑。

夏場がシーズンのように思われる高原野菜ですが、温暖化の影響でしょうか、今では初雪の便りも聞こえてくる11月の始め頃まで収穫が続きます(2019.9.8)

強い風を残して去っていった台風が通り過ぎた後の圃場。

青空が顔を覗かせる中、南アルプスの上空は分厚い雲が尾を曳いています(2019.9.9)

秋らしく目まぐるしい天候の変化を続ける日々。少し涼しくなって、清々しい秋晴れとなった土曜日。甲府に降りた戻りで通りかかった白州から眺める八ヶ岳。

圃場の稲穂も、もう少しで刈り入れの時期を迎えそうです(2019.9.14)

南からの低気圧に乗って、再び熱を帯びた風が吹く日曜日。

部屋の中の蒸し暑さを逃れるように夕暮れになって外に出ると、柔らかな日差しを残して入笠山に夕日が沈んでいきます。

一杯に背を伸ばした蕎麦の花もそろそろ終わり。圃場は刈り入れのシーズンへと向かっていきます。

柔らかな夕暮れの空。

夕焼けの色も夏の赤い空から、黄色がかった空へと移り変わっていきます。

6時を過ぎるとどっぷりと暗くなる夕暮れ。

夏がぶり返したかのような気温の高い日もありますが、空の移ろいは確実に秋の深まりを教えてくれます。

来週は秋分、秋も本番です。

実りを待つ初秋の圃場で(2019.9.3~7)

暑かった夏が過ぎて朝夕は肌寒くなってきた八ヶ岳南麓の9月。

夏の日射しに育まれた作物たちも、そろそろ実りの季節を迎えます。

甲斐駒を望む朝の圃場。

雨上がりの朝、少し湿った空気を纏った圃場一杯に蕎麦の花が咲き揃います(2019.9.3)

秋を迎えて天気が目まぐるしく移り変わる中。

再び夏を思わせる眩しい日射しが差し込む朝、八ヶ岳西麓、網笠山を望む圃場も蕎麦の花に包まれます。

可憐な小さな花を付けた蕎麦の花々。陽射しを受けようと競う様に空へ向かって伸びていきます。

夜になると霧が降りて朝になると雲に包まれる南アルプスの山々。

朝になって眩しい日射しが差し込むと、雲は徐々に空へと昇っていきます。

圃場を埋める蕎麦の花々。満開となった蕎麦の花はこの後数週間すると刈り入れとなります(2019.9.6)

眩しい日射しが差し込む週末。

標高の高い原村の圃場、まだ緑が多い状態ですが、色付き、しっかりと実の入った稲穂が頭を垂れ始めています。

八ヶ岳の懐近く、小泉山の裾野に刻まれた谷戸に拓かれた棚田と圃場。

そろそろ実りの季節を迎えそうです。

振り返って八ヶ岳を見上げる圃場に並ぶ稲穂の群れ。

しっかりと田圃に根を張った稲たちはずっしりと頭を垂れしています。実りの嬉しさまであともう少し。

満開の蕎麦の花の向こうには、雲が沸き立つ霧ヶ峰の長い盾が広がります。

八ヶ岳の裾野に広がる稲穂の群れ。

眩しいほどの日射しの中、台風の余波でしょうか、時折、強い風が吹き抜けていきます。

夕暮れになって雲が出てきた西の空。

雲間と山の端の間から差し込む西日が、満開の花を咲かせる蕎麦畑を照らし出します。

再び暑くなった9月最初の週末。

明日からは台風の余波を受けて天気が悪くなる予報です。秋を迎えて実り始めた作物たちに災いが降り注がない事を願って。

 

過ぎゆく夏の空に(2019.8.25,31)

8月も今日で最後。高原の空の色は既に秋模様となってきました。

標高1000m、網笠山を目前に望む圃場の蕎麦畑。8月末になると蕎麦の花が咲き始めます。

すっきりと晴れ渡った空の下に広がる蕎麦畑。ひんやりとした風が吹く朝はもう秋の心地です。

夕方、思い切って車山の肩まで一気に車で登っていくと、西の空に広がる雲間から琥珀色の光芒が伸びていきます。

御嶽山の方向に沈んでいく夕日が雲を焦がす草原の夕暮れ。夜7時前ですが、標高1800mの鞍部を越えていくビーナスラインでは既に気温17℃と、ひんやりとした風が吹き抜けていきます(2019.8.25)

酷い夏風邪で寝込んでしまった今週。

まだ立ち上がると頭がくらくらする最悪な体調ですが、日射しが戻ってきた週末の夕暮れ。買い物へ出る途中に圃場に寄ると、雨上がりのウエットな空の下、蕎麦の花が満開を迎えていました。

八ヶ岳を望む蕎麦畑をぐるりと廻り込んで。

2段目の花が咲き揃った蕎麦畑、雨上がりでちょっと霞んだ空の下、最も美しい瞬間です。

夏色に染まる八ヶ岳をバックに広がる蕎麦畑。

八ヶ岳西麓の初秋を彩る景色です。

午後の青空の下で花を開く小さな小さな蕎麦の花たち。

買い物を終えて家路につく頃、西の空は赤々とした夕日が雲を焦がしています。

蕎麦の花が広がる圃場の脇に車を止めて暫し夕暮れを見送ります。

夏の前にはあれほど長かった日暮れも、8月最後の日となると6時半を過ぎてあっという間に暗くなってしまいます。

昼間はまだまだ暑い日が続きますが、季節は秋、明日から9月のスタートです。

 

今月の読本「金魚と日本人」(鈴木克美 講談社学術文庫)身近過ぎて忘れがちな「魚」に凝縮された自然を愛でる想い

今月の読本「金魚と日本人」(鈴木克美 講談社学術文庫)身近過ぎて忘れがちな「魚」に凝縮された自然を愛でる想い

夏になると縁日等で頻繁に見かける「金魚」

もう、金魚売りが家々を廻る事はないかと思いますが、それでも夏の風物詩として語り継がれる風景に重ねられる、赤金色に輝く魚が涼しげな桶の中を群泳する姿は、ちょっとした懐かしさも添えた一服の涼。

最近では綺麗な金魚鉢や江戸時代に回帰してしまったかのような小さな鉢の中で金魚を飼うのが静かなブームにもなっていますが、そもそもなぜ、日本人は金魚を飼育し、飼い続けたのでしょうか。

そんな疑問の一端に答える、真夏を迎えて文庫へ収蔵された一冊のご紹介です。

高原は既に秋空ですが、盛夏の最中に読み続けていた「金魚と日本人」(鈴木克美 講談社学術文庫)です。

著者の鈴木克美先生は、戦後最も早い時期にオープンした民間の水族館である(旧)江ノ島水族館開設当初のスタッフとして、その後、現在のテーマパークの先駆けとなった娯楽施設、金沢ヘルスセンターに併設された金沢水族館を立ち上げ、科学教育機関と本格的な水族館の融合を目指した東海大学海洋科学博物館の館長、東海大学海洋学部の教授を務められた方。同時にスキューバ(アクアラング)を使用した水中写真撮影の先駆者として数多くの写真集、書籍を著されている方です。

水族館学、魚類生態学が専門の著者作品群ではちょっと異色な文化史をテーマにした一冊。原著は1997年刊行とほんの少し古い作品ですが、唯一無二と言っていい、魚類学と文化史としての日本の金魚を同時に語る貴重なポジショニングが評価されたのでしょうか、この度、版元さんを超えての文庫収蔵となったようです(このようなポジショニングにある作品は、著者も「鯛」をテーマに一冊を執筆されている、法政大学出版局が刊行を続けている「ものと人間の文化史」というシリーズがあります)。

生物学、遺伝学的な好奇心から始まる日本への金魚伝来と在来魚種とのルーツを探る内容から始まる本書。今回の文庫化に当たって新たに用意された、金魚絵師(金魚養画)、深堀隆介氏による美しくも涼やかな表紙と帯の内容に惹かれて文化史の本だと思って手に取られると、少々面食らう内容も挿入されていきますが、魚類としての金魚、更には品種改良の歴史を理解するためには必須の内容。むしろ著者の専門分野である魚類生態学をある程度封印して、専門外とも思われる日本、更には中国における歴史的な金魚の扱われ方、江戸の文化史をそれこそ該博な知識を以て伝説から物語、実録を含めてふんだんに拾い上げていきます。

本書を読んでいて驚く点、それは日本人にとって最も馴染みが深い魚(今では鮪、サーモンの方かも…)、江戸の文化史ではあらゆるシーンで語られ、現在は何処でも簡単に手に入って見る事が出来る金魚ですが、意外な事に伝来のタイミングも、大流行した江戸時代における金魚生産の姿も、現在はある程度固定化されている品種固定の過程も、文化史の根底になくてはならない背景、そのほぼすべてが「判らない」という事実に突き当たります。

本書では一般的に流布しているこれらの言説について、著者が直接の教えを乞うた金魚研究の第一人者と呼ばれた故・松井佳一博士の説を含めて各種の書籍や言説を比較しながら検討を加えていきますが、特に江戸時代における江戸近郊での金魚の育成、供給の実態ついては全く判らないと述べています(上野、池之端の件については本文中で繰り返し検討を行っていますが結論には至らず)。名付けについても「りゅうきん」「おらんだししがしら」などの名称が直接琉球やオランダから渡って来た訳ではないとはっきり否定した上で、日本人特有の舶来指向(唐物指向)や長崎方面から伝わった事を示す表記であることを示唆します。また品種改良の歴史についても、江戸時代のそれは中国で営々と続けられてきた品種改良の歴史と比較して、珍しい物が偶然に現れる、単に飼育していたに過ぎないと、魚類学者としてやや厳しめの断定をしていきます。

更に著者は、中国における金魚の飼育史と好まれる品種の違いからその経緯を見出していきます。

赤い色、金色を尊ぶのは中国も日本も同じですが、中国で春節の際に貼られる金魚の切り絵のように目が上を向いた姿を珍重する、成長と上昇志向の現れ、珍奇な物を秘蔵する文士層の存在が素地にある中国における金魚の姿。一方で日本に於いては疱瘡除けとしての願いをその色に込める一方、生き物の美しさを小さな鉢の中で楽しむ、植木や朝顔と同じような、自然を矮小化して愛でる江戸の住人たち、特にそれらを広大な屋敷の中で飼育し、実際に副収入の糧としていたのではないかと推察する江戸の御家人層や、地方から転がり込むように都市に集住した欠落農民層が往時の姿を鉢植えや水鉢の中に見出していたのではないかと考えていきます。

第一線の水族館運営を長く続けた著者から見る、日本人と金魚を愛でるその姿。

用水の溜池や庭の池から、水鉢、金魚鉢から観魚室と水槽(紀伊国屋文左衛門の天井水槽は強度/防水構造上も有り得ず、フィクションだとも)そして水族館へ。日本人の群衆指向と見世物好き、舶来崇拝。その根底に伏流する厳しい自然と折り合う姿を美しくも矮小化した様式として昇華させた、箱庭の自然美を突き詰めた一つの姿としての金魚を愛でる日本人の嗜好。

その扱いが水族館では蔑まされ、学術的にも疎外されている感が長く続いてきた点に対して、当事者の一人として、魚が好きになった著者の原風景を回顧しながら贖罪の想いも込めて綴られた一冊。

実は近年の分子遺伝学の分野で、金魚の遺伝子系統分析が顕著に進んできている点を文庫版のあとがきで述べて、著者の想いが僅かながらも後継の研究者達に受け継がれている事に喝采を与える本書は、科学的な理解が飛躍的に進む中でも、生活のほんの片隅を捉えて自然を愛おしむ事を忘れられない、日本人が抱く心の原点を思い出させるきっかけとして、再び登場する機会が巡って来たようです。

著者である鈴木克美先生には多数の著作がありますが、その水族館人生を綴った自伝的な一冊「水族館日記 いつでも明日に夢があった」(東海大学出版部)も併せてご紹介させて頂きます。

盛夏から風吹く晩夏へ(2019.8.13~18)

暑い日が続いた今年のお盆休み。今日が最終日の方が多いでしょうか。

酷暑から台風そして再びの暑さ。でも標高の高いこの八ヶ岳山麓はもう次の季節の足音が聞こえ始めています。

そんな日々のカットから。

八ヶ岳と美ヶ原を望む山裾に拓かれた溜池。

空の青が水面に映り込んでいきます(2019.8.13)

台風へと流れ込む風が次々と運んでくる雲たち、蓼科山の上空で渦巻く夕暮れ。

時折青空が覗く中、山裾は激しい雨が断続的に降り続きましたが、同じ諏訪地域でも盆地の底になる諏訪湖の花火大会会場は殆ど雨が降らなかったそうです(2019.8.15)

台風が過ぎ去った翌日の午後。

まだ風が残る圃場から望む、雲巻く八ヶ岳の上空。

風が止んだ夕暮れ。

台風が残していった湿った雲が柔らかな薄桃色に染まります(2019.8.16)

雲が晴れて再び厳しい暑さとなった週末。

山並の向こうに沈む、光芒を曳く夕日が雲を焦がします。

雲がゆっくりと切れて、どっぷりと日が暮れた後。

暗くなると急に急に気温が下がり始め、足元の畔端からは虫の音が響いてきます(2019.8.17)

再び雲が多めとなった日曜日の午後。

八ヶ岳の山裾は沸き立つ雲にびっしりと覆われます。西の端、蓼科山方向。

沸き立つ雲の更に上まで上昇気流が昇っていきます。

東から吹き込む風で沸き立つ雲。

南八ヶ岳は真っ白な雲に覆われていました。

西の空に広がる雲から零れる日射しが、夏の湿った空気を照らし出す午後。

すっかり高くなった青空に向かって、光と雲が重なり合って伸びていきます。

雲間から広がる光芒が射す中で。

足元に広がる圃場。風に揺れる稲穂。

結実が進み、重たくなった頭を垂れる稲穂が広がり始めると、季節はもう晩夏。

雲を沸き立たせた、ひんやりとした東風が吹く中、少し寂しい夏の終わりを感じさせる夕暮れです。

 

 

嬬恋村のキャベツ畑にて(2019.8.13)

このページは全くの個人的に好きで撮っているカットのみですのであしからず。

嬬恋村のキャベツ畑2019_1浅間山をバックに。

嬬恋村のキャベツ畑2019_2

もう一枚、浅間山をバックに。

嬬恋村のキャベツ畑2019_3

時折、雲の切れ間が覗く昼下がり。嬬恋村、千俣。

嬬恋村のキャベツ畑2019_4草津白根山を望むキャベツ畑を何枚か。

嬬恋村のキャベツ畑2019_5雲がどんどんと流れていきます。

嬬恋村のキャベツ畑2019_6一面にキャベツが広がる、嬬恋村を象徴する姿。

嬬恋村のキャベツ畑2019_7緑に染まる夏の一コマ。