『カヤネズミの「害獣」は濡れ衣だった!』Web記事とカヤネズミ研究者、畠佐代子さんからの映像素材引用への疑問について(2018.3.3)

2016年7月に産経新聞の西日本発記事のWebページに掲載された、京都在住のカヤネズミ研究者、畠佐代子さん(滋賀県立大環境科学部非常勤講師、全国カヤネズミ・ネットワーク代表)の研究成果。これまで稲を食い荒らす農家にとって害獣だと思われていたカヤネズミが、糞のDNA分析の結果、実は田圃に生えてくる雑草を主に食しており、稲そのものを主食とする訳ではなかったという研究成果が掲載されました。

また、同年10月にNHKの人気動物番組、「ダーウィンが来た!」においても、この研究成果が放送され、大きな反響となりました。

このニュース、とても大きな反響があったために、今でも繰り返し引用される事がありますが、一方で少々困った事も出てきているようです。

2018年2月の末頃より、再び冒頭の記事の引用が拡散したようですが、その中で、上記の例に見るような、あからさまに演出されて撮影された映像が一緒に引用されていたようです。

海外の動物関連の映像ではおなじみのシーンかもしれませんが、これは撮影上の演出を越えた「フェイク」。映像表現としては否定しませんが、研究者の立場から言えば、野生動物本来の生息する姿を故意に歪める事に繋がる、肯定しがたい映像として捉えられるようです。

また、前述の記事の内容についても既に論文掲載となっていますが、時間の経過とともに、内容が若干食い違って理解される様な状況が生まれてきているようです。

以下に、今回の件について、畠佐代子さんご本人が綴られたTLを記載しておきます。

本来、このようなリンクの列挙はtogetterで行うべきでしょうが、個人的な記録の為にも、稀にご訪問頂く書評をご覧になられる皆様の為にも、一連のコメントのTLを本ページでも掲載しておきます。

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また、カヤネズミにご興味のある方は、上記の滋賀県立大学のホームページで公開されているPDFパンフレット『知ってる?田んぼのカヤネズミのくらし』、又は本ページでも概要を掲載させて頂いておりますが、著書『カヤネズミの本-カヤネズミ博士のフィールドワーク報告』(世界思想社) をご覧頂ければと思います。豊富に掲載されている写真から、「カヤネズミ」の名称通り、人の生活に寄り添うように暮らす、彼らの本当の姿に触れて頂ければと思います。

すぐ身近に生息する野生生物への視線とその姿は、キャッチーなコンテンツとしての映像と大きな違いがある事をまずはご理解頂ければと。

書評を通じて相互フォローをして頂いている事もあり、通常とは異なるフォーマットではありますが、今回の経緯の記録として掲載しておきます。

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